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薬剤師不足の現状と原因|地域差や転職のメリットデメリットを徹底解説

  • 薬剤師として今の職場の給与や待遇に満足できない
  • 薬剤師は人手不足と聞くけど本当のところが知りたい
  • 地方への薬剤師転職に興味があるけど失敗したくない

「薬剤師は人手不足」とよく言われますが実態は地域によって異なります。現状を正しく理解しないまま転職活動を始めた結果、入職後にミスマッチが生じるケースは珍しくありません。

この記事では薬剤師不足の地域へ転職するメリット・デメリットや、転職を成功させるためのポイントを紹介します。記事を読めば薬剤師不足の実態を客観的に把握し、自身のキャリアプランに生かす具体的な方法がわかります。

薬剤師は地域によって人員不足が顕著です。薬剤師が不足している地域では自治体が好待遇を保証している場合があります。情報収集が苦手な薬剤師は転職エージェントを活用することで、好待遇での転職が実現しやすくなります。

目次

薬剤師不足の現状

薬剤師不足の現状について以下の項目を解説します。

  • 薬剤師の有効求人倍率
  • 施設別の薬剤師の数
  • 年齢別の薬剤師の数

薬剤師の有効求人倍率

薬剤師の有効求人倍率は高く、仕事を見つけやすい「売り手市場」が続いています。薬剤師の求人が求職者数を大きく上回っていることが薬剤師不足の理由です。全職種の平均と比べても薬剤師の需要の高さは際立っています。薬剤師1人に対して2〜3件の求人が存在する状況です。

薬剤師1人に複数の求人がある状況から、薬剤師は社会で常に必要とされていると言えます。

施設別の薬剤師の数

薬剤師が最も多く働いている勤務先は薬局ですが、以下の多様な場所でも専門性を発揮しています。

  • 病院や診療所
  • 医薬品関連企業
  • 大学
  • 行政機関

薬剤師の勤務先の約8割は薬局や病院といった医療現場です。特に薬局は全体の半数以上を占め、地域住民に身近な存在となっています。しかし、薬局や病院では処方箋対応や患者への服薬指導など薬剤師の業務量が増加しており、需要に対して人員が追いついていない状況です。

医薬品企業や大学、行政など多様な勤務先がある一方で、現場の偏在が薬剤師不足をさらに深刻化させています。

年齢別の薬剤師の数

薬剤師全体の平均年齢は47.8歳と高く、経験豊富な中堅・ベテラン層が多く活躍しています。薬剤師の年齢階級別人数は以下のとおりです。

年齢階級人数(人)構成割合(%)
29歳以下34,18313.5
30~39歳66,62726.3
40~49歳57,64522.8
50~59歳48,39619.1
60~69歳33,36313.2
70歳以上12,9845.1
合計253,198100.0

今後は高齢の薬剤師の引退が進み、若手の数だけでは補えないため、さらなる人材不足が予測されます。すべての年齢層で女性が多数を占めており、結婚や出産による離職・時短勤務も薬剤師不足に拍車をかける要因となっています。
» 厚生労働省「令和4年 薬剤師統計の概況」(外部サイト)

【都道府県別】薬剤師不足の現状

薬剤師の地域分布には明らかな偏りがあります。東京や大阪などの大都市圏に薬剤師が多く配置される一方で、地方の中小都市では薬剤師が少ない「都市部偏在」の構造が深刻です。都道府県別の薬剤師不足の現状について、詳しく解説します。

薬剤師の数が多い都道府県

薬剤師の数は人口の集中や医療機関の数、教育機関の分布が影響しており、大都市圏や西日本の一部で薬剤師の確保が進んでいます。人口10万人当たりの薬剤師数は全国平均202.6人です。薬剤師数は徳島県が244.0人と最も多く、次いで兵庫県236.6人、東京都235.7人となっています。

東京都や兵庫県、大阪府など都市部は医療機関や調剤薬局の数が多く、薬剤師の需要が高いため相対的に配置が進んでいる状況です。徳島県には徳島大学や徳島文理大学の薬学部があり、多くの薬剤師が毎年輩出されているため地域内での人材供給が安定しています。
» 厚生労働省「都道府県別にみた人口10万対薬剤師数」(外部サイト)

薬剤師の数が少ない都道府県

一部の都道府県では、人口10万人当たりの薬剤師数が全国平均を大きく下回り、深刻な人材不足が続いています。薬剤師が不足している背景には、地方から都市部への人口流出による地域間の人口偏在があります。薬剤師の人数が全国平均(202.6人)を大きく下回っている都道府県は以下のとおりです。

  • 沖縄県:149.4人
  • 福井県:163.6人
  • 青森県:167.2人
  • 愛知県:176.0人
  • 山形県:176.9人

医療機関の数や薬学部の有無といった医療インフラや教育資源の格差が、薬剤師の供給に影響を及ぼしています。

薬剤師が不足していると言われる理由

薬剤師が不足していると言われる理由は以下のとおりです。

  • 薬局の数が増えている
  • 薬剤師に女性が多い
  • 薬剤師資格がいらない仕事に就く人がいる

薬局の数が増えている

薬剤師不足の背景には、薬局数の増加が続いていることが挙げられます。薬局が増えるほど薬剤師の需要と供給のバランスが崩れ人材不足が深刻化します。厚生労働省の調査によれば薬局数は年々右肩上がりに増加し、2022年度末には全国で6万施設を超えました。

薬局の数が増えている背景には、以下の国の政策や社会の変化があります。

  • 国の政策による医薬分業の推進
  • 高齢化に伴う在宅医療の需要拡大
  • 調剤部門を併設するドラッグストアの増加

高齢化や在宅医療の拡大により地域密着型の「かかりつけ薬局」の重要性が高まっている点も、薬局数増加の要因です。薬剤師による服薬情報の一元管理や在宅医療制度の整備が進み、受け皿となるかかりつけ薬局の新規開設が各地域で加速しています。
» 厚生労働省「薬局薬剤師に関する基礎資料」(外部サイト)

薬剤師に女性が多い

薬剤師に女性が多い点も人手不足に影響を与えています。女性は結婚・出産・育児などライフイベントによって一時的に仕事を離れるケースが多く、復職の際に以下の壁に直面します。

  • 長時間勤務や夜間対応が負担となる
  • 一定期間のブランクで知識やスキルに不安を抱く

薬剤師資格がいらない仕事に就く人がいる

薬剤師資格を持ちながら他職種を選ぶ人の増加が、人材不足の一因となっています。調剤業務以外の環境で薬剤師の知識や経験を生かし、キャリアアップを目指す人が増えているためです。薬剤師の専門知識が役立つ職種は以下のとおりです。

分野職種例特徴・ポイント
製薬会社MR (医薬情報担当者)
MSL (メディカル・サイエンス・リエゾン)
開発職
営業・研究職として活躍できる。医療知識は必要だが薬剤師資格はいらない。
治験関連CRA(臨床開発モニター)
CRC(治験コーディネーター)
臨床試験の管理やサポートを担当する。理系出身者が有利になる。
一般企業医療系ライター医療知識や文章力・ITスキルを生かせる。資格不要で転職者も多い。

医療分野の知識を生かしつつ幅広いキャリアの選択肢や柔軟な働き方を求める人は、薬剤師資格が不要な仕事に就く傾向があります。
» 薬剤師の資格を生かせる異業種の転職先を解説!

薬剤師が不足している都道府県に転職するメリット

薬剤師が不足している都道府県に転職するメリットは以下のとおりです。

  • 待遇が良くなる可能性がある
  • 地域医療に貢献できる
  • ワークライフバランスを実現しやすい

待遇が良くなる可能性がある

薬剤師が不足している地域へ転職すると待遇が良くなる可能性があります。人手不足の地域では薬剤師を確保するために、都市部よりも好条件を提示するケースが多いためです。薬剤師が不足している都道府県に転職すると、以下のような優遇措置が用意される場合があります。

項目公的制度・事例
奨学金返還支援県内の薬局・病院で一定期間勤務した薬剤師に奨学金返還の一部助成
» 沖縄県「薬剤師確保対策事業・奨学金返還支援制度」(外部サイト)
奨学金返還免除型(修学資金) 指定医療機関に3年間勤務で返還免除等を定める条例
» 福井県「薬剤師修学資金貸与制度のご案内」(外部サイト)
住居手当病院薬剤師等を含む県職員に住居手当を支給
» 鳥取県「職員の給与・手当について」(外部サイト)

薬剤師が不足している地域へ転職すると、経済的な負担を減らしながらキャリアアップを目指せます。

地域医療に貢献できる

薬剤師が不足している地域で働くことで、地域医療に直接関わる機会が増え社会貢献につながります。都市部に比べ薬剤師の数が少ないため一人ひとりの役割がより重要となり、かかりつけ薬剤師としての存在感が増すからです。医師や看護師など他職種との連携も密になり、チーム医療の一員として地域を支える実感を得やすくなります。

在宅医療への対応や地域イベントへの参加、学校薬剤師として子どもの健康を守る活動などを通じて地域に深く関われます。地域に根差した活動を通じて住民から感謝の言葉を受ける機会が増え、やりがいを感じられる点が薬剤師不足の地域で働く魅力です。

ワークライフバランスを実現しやすい

薬剤師が不足している地域へ転職すると、仕事とプライベートを両立させやすくなります。人手不足の職場ほど貴重な人材である薬剤師に長く働いてもらうため、働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいるからです。子育てや家庭の事情に合わせた柔軟な働き方が薬剤師に認められるケースも多く見られます。

薬剤師が不足している地域では時短勤務や残業なしといった勤務条件や、パートや契約社員など多様な雇用形態を選べます。都市部と比べて通勤ラッシュが少なく、通勤時間を短縮できる点も薬剤師が不足している地域で働く魅力です。薬剤師不足の地域では生活とキャリアを両立しやすく、長期的に安定した働き方が実現できます。

薬剤師が不足している都道府県に転職するデメリット

薬剤師が不足している都道府県に転職するデメリットは以下のとおりです。

  • コミュニティが狭くなる
  • 都会より不便な生活になる
  • 薬剤師求人の選択肢が少ない可能性がある

コミュニティが狭くなる

薬剤師が不足している地域では人口が少ないため、人との関係が密接になりやすい傾向があります。人口が少ない地域では人との距離が近く、生活と仕事の場が重なりやすいからです。職場や地域住民との関わりが密接になり、日常生活でも顔見知りに会う機会が増えます。

勤務時間外に相談を受けたり、プライベートと仕事の境界があいまいになったりするケースもあります。薬剤師が不足している都道府県への転職を考える際は、コミュニティが狭くなることも理解しておきましょう。

都会より不便な生活になる

薬剤師が不足している地域へ転職すると、都会での生活に比べて不便さを感じる場面が多くなる可能性があります。交通網や商業施設、医療機関などの社会インフラが十分に整っていない点が不便さを感じる要因です。多くの地方では車社会が根付いているため、車を持たずに生活していた人は変化に戸惑うことがあります。

飲食店や娯楽施設が少なく医療や教育の選択肢が限られる点は、地方で暮らすデメリットです。薬剤師が不足している地域へ転職するなら、都会とは違う暮らしに順応する必要がある点は事前に理解しておきましょう。

薬剤師求人の選択肢が少ない可能性がある

薬剤師が不足している地域では求人の選択肢が少なくなる可能性があります。地方では薬局や病院の数自体が少なく、特に大手調剤薬局や大規模病院の薬剤師の求人は見つかりにくいことが実情です。企業で働きたいと考えても、地方ではそもそも企業薬剤師の求人が存在しない場合もあります。

都心部と比べて薬剤師のキャリアアップの選択肢が狭まる点もデメリットです。薬剤師が不足している地域では都市部のように多様な働き方を選びにくいため、転職を検討する際は注意してください。

薬剤師が不足している都道府県に転職する際のポイント

薬剤師が不足している都道府県に転職する際のポイントは以下のとおりです。

  • 引っ越す前に下見をする
  • 収入だけで転職先を選ばない
  • 薬剤師特化の転職エージェントを活用する

引っ越す前に下見をする

知らない土地への薬剤師の転職で後悔しないためには、現地の下見が欠かせません。インターネットや地図の情報だけでは、実際の街の雰囲気や生活のしやすさがわからないからです。子育て中の場合、日々の暮らしやすさは周辺の環境に大きく左右されます。引っ越す前の下見では以下のポイントを確認しましょう。

  • 通勤経路・所要時間
  • 生活施設の利便性
  • 街の雰囲気・治安
  • 学校や塾などの子育て環境
  • 交通の便

事前に現地を訪れておけば新しい生活を具体的にイメージでき、思わぬ違いによる後悔を防げます。

収入だけで転職先を選ばない

薬剤師が不足している地域への転職を成功させるには、収入以外の要素も総合的に見て判断することが必要です。高収入だけを基準に職場を選ぶと、入社後に仕事内容とのミスマッチで後悔する可能性があります。薬剤師の給与が高くても労働環境が悪かったり、やりがいを感じられなかったりすると長期勤務は難しくなります。

転職先の給与の高さだけを見るのではなく、家賃相場や生活費も考慮して実際に手元に残るお金をシミュレーションしましょう。収入以外の要素を確認することで、自分に合った職場を見極め、薬剤師として長く働き続けられます。

薬剤師特化の転職エージェントを活用する

薬剤師不足が深刻な地域での転職を円滑に進めるには、薬剤師特化の転職エージェントの活用が効果的です。自分人では難しい情報収集や待遇交渉を薬剤師特化の転職エージェントが代行してくれます。薬剤師特化の転職エージェントに登録すると以下のようなサポートを受けられます。

  • 非公開求人の紹介
  • 職場の内部情報の提供
  • 給与や条件など待遇面の交渉代行
  • 書類添削や面接対策
  • 面接日程の調整
  • 子育て支援のある求人の紹介

転職に不安を抱える人にとって薬剤師特化の転職エージェントの支援は大きな助けになります。

薬剤師不足の現状を理解したうえで後悔のない転職を実現しよう

薬剤師不足の実態は地域ごとに大きな差があります。薬剤師不足の地域で働く魅力は好待遇を得られるだけでなく、地域医療への貢献にもつながる点です。地域に根ざした医療活動を通じて住民の感謝を得ることは、薬剤師としての市場価値を見直す機会にもなります。

後悔のない転職には収入だけでなく生活環境や子育て支援などを含め、ワークライフバランスを総合的に考慮することが必要です。自分の優先事項を整理し、薬剤師不足の状況をうまく生かして理想の働き方を実現しましょう。

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