調剤薬局で働く薬剤師の平均年収は？年齢・地域・雇用形態別に徹底解説

• 自分の年収が同年代の薬剤師と比べて適正なのか気になる
• 今後のキャリアでどれくらい年収が上がるのか不安
• 子育てと両立しながら収入を増やしたい

20～30代の薬剤師の中には「今の収入でこのまま続けていいのだろうか」と感じている方も多いのではないでしょうか。

結婚や出産、転職など将来を見据える時期だからこそ、いまの年収やキャリアを見直すことが大切です。

この記事を読めば、自分の市場価値を把握でき、年収アップに向けた一歩を踏み出すことが可能です。

調剤薬局薬剤師の年収は経験や役職で大きく変動します。年収アップには現職での昇進や資格取得だけでなく、副業や転職も有効な選択肢です。

調剤薬局で働く薬剤師の年収の全体像

調剤薬局で働く薬剤師の年収に関する以下の4点を解説します。

• 調剤薬局薬剤師の平均年収
• 年齢別の年収の推移
• 地域による年収の違い
• 雇用形態による年収の違い

調剤薬局で働く薬剤師の平均年収

調剤薬局で働く薬剤師の平均年収は500～650万円です。厚生労働省の調査結果によると、調剤薬局で働く薬剤師の平均年収は薬剤師全体の平均とほぼ同水準です。

調剤薬局で働く薬剤師の平均年収はドラッグストアや製薬会社で働く場合と比べると、少し低くなる傾向にあります。

厚生労働省の統計調査 によると、薬剤師全体の平均年収は約595万円。新卒や20代前半の若手薬剤師の年収は350～450万円です。

年齢別の年収の推移

調剤薬局で働く薬剤師の年収は経験やスキル、役職に応じて上がり、多くの場合40～50代前半でピークを迎えます。

年齢が上がるにつれて、管理薬剤師やエリアマネージャーといった責任のある役職を任される機会が増えるためです。

薬剤師の初任給は他の職種と比べて高い傾向にありますが、昇給は比較的ゆるやかでキャリアアップが年収を大きく左右します。調剤薬局で働く薬剤師の年代ごとの年収は以下のとおりです。

• 20代：450～550万円
• 30代：550～650万円
• 40代～50代前半：650～750万円以上

地域による年収の違い

調剤薬局で働く薬剤師の年収は同じ仕事内容や経験年数でも、勤務地が違うだけで100万円以上の差がつく場合もあります。

高年収の求人が見つかりやすいエリアは以下のとおりです。

• 北海道
• 東北地方
• 四国地方
• 九州地方

東京や大阪、福岡などの都市部では薬剤師の数が多く競争が激しいため、年収は全国平均と同程度かやや低い傾向があります。

勤務地を選ぶ際は年収の額面だけでなく、勤務地のある土地の家賃や物価といった生活コストも考慮して総合的に判断しましょう。

雇用形態による年収の違い

調剤薬局で働く薬剤師の年収は、正社員やパート、アルバイトといった雇用形態によって大きく変わります。

正社員は月給に加えてボーナスや昇給が見込めるため、長期的に安定した収入を得たい方におすすめです。正社員の薬剤師の年収相場は450～700万円で、福利厚生も充実しています。

契約社員の薬剤師の年収相場は400〜550万円です。契約社員の薬剤師はボーナスが出ない職場もあるので、契約内容をよく確認する必要があります。

ですが、多くの場合派遣社員はボーナスや退職金がありません。

パートやアルバイトの薬剤師の時給は2,000～2,500円が相場です。パートやアルバイトは勤務時間や日数を調整しやすく、扶養の範囲内で働きたい方や子育てと両立したい方に人気の働き方です。

調剤薬局で働く薬剤師の年収を左右する要因

調剤薬局で働く薬剤師の年収を左右する要因は以下のとおりです。

• 勤務先の規模
• 役職
• 保有している資格
• 労働時間

調剤薬局で働く薬剤師の年収は働く環境や個人のスキルによって大きく変動します。

勤務先の規模

勤務先の薬局の規模は薬剤師の年収に大きく影響します。一般的に大手チェーン薬局よりも中小規模の薬局の方が、平均年収は高くなる傾向があります。

年収に差が生まれる理由は大手と中小では給与の仕組みが異なるためです。

中小薬局は個人のスキルや経験が評価されやすく、高年収につながる可能性があります。

人手が不足している地域や店舗では、即戦力として採用される場合に高い年収を提示されるケースも少なくありません。

役職

調剤薬局では役職が上がるにつれて年収も大きくアップします。

調剤薬局で役職に就くと、スタッフの管理や店舗運営といった責任の大きい仕事を任されるようになるため給与も高くなります。

薬剤師が調剤薬局で就ける役職は以下のとおりです。

• 管理薬剤師
• 薬局長
• エリアマネージャー

管理薬剤師は医薬品の管理責任者で役職手当が付くため、年収が数十万円上がります。

薬局長はひとつの薬局全体の責任者で、年収600～700万円以上を目指せます。エリアマネージャーは複数の薬局をまとめる役職です。責任は重くなりますが、年収800万円以上も望めます。

調剤薬局で働くうえでキャリアアップを目指して役職に就くことは、年収を上げるための重要な手段です。

保有している資格

薬剤師としての専門性を証明する資格を持っていると年収アップにつながります。専門的な資格は調剤薬局から高く評価されるためです。

年収アップに役立つ資格は以下のとおりです。

専門的な資格は自分のスキルを証明するだけでなく、より良い条件で働くための強みとなります。

認定資格について詳しく解説した記事もありますので下記リンク記事もご覧ください。
» 【認定薬剤師とは】キャリアアップと収入アップの実現方法を解説！

労働時間

調剤薬局で働く薬剤師の年収は働く時間の長さや時間帯によって大きく変わります。正社員は残業時間の長さ、パートや派遣社員は勤務時間が給与に直接関係します。

残業代の支払われ方や特別な手当が付くかどうかも、調剤薬局で働く薬剤師の年収を左右する要因です。

働いた分だけ残業代が支払われる残業代全額支給か、あらかじめ給与に一定時間分の残業代が含まれるみなし残業制度かによっても年収に差が出ます。

調剤薬局の薬剤師と他業種・他職種の違い

調剤薬局で働く薬剤師と以下の業種や職種との違いを解説します。

• 製薬会社勤務薬剤師との比較
• ドラッグストア勤務薬剤師との比較
• 他の医療職種との比較

調剤薬局で働く薬剤師の年収や働き方の特徴を理解するには、他の職場で働く薬剤師や医療職種との比較が重要です。

製薬会社勤務薬剤師との比較

製薬会社で働く薬剤師は調剤薬局の薬剤師と比べて年収が高い傾向にあり、仕事内容や働き方、求められるスキルも異なります。

製薬会社は新薬開発などの専門的な業務が多く、企業の利益も大きいため給与水準が高い点が魅力です。

調剤薬局の薬剤師の仕事は患者への調剤や服薬指導が中心です。製薬会社では研究開発やMR(医薬情報担当者)、学術といった専門分野がメインで、患者と関わる機会はほとんどありません。

調剤薬局は薬剤師資格があれば未経験やブランクがあっても転職しやすい職場です。

製薬会社は修士・博士号や営業力、語学力など高い専門スキルが求められるので、採用のハードルは高くなります。

ドラッグストア勤務薬剤師との比較

調剤薬局とドラッグストアで働く薬剤師は年収や働き方に大きな違いがあります。ドラッグストアの方が調剤薬局より年収は高い傾向にあります。

ドラッグストアでは調剤業務だけでなく、市販薬(OTC)の販売や店舗運営にも関わるためです。

調剤薬局はカレンダー通りに休みやすい職場が多いですが、ドラッグストアはシフト制が基本です。ドラッグストアでは土日祝日や夜間の勤務も多くなります。

調剤薬局では管理薬剤師や専門薬剤師など専門性を深めることが可能です。

ドラッグストアでは、店長やエリアマネージャーといったマネジメント職へのキャリアも目指せます。
» ドラッグストア薬剤師の平均年収とメリット・デメリット

他の医療職種との比較

調剤薬局で働く薬剤師の年収は他の医療職種と比較しても高い水準にあります。薬剤師は国家資格であり、専門性の高さが給与に反映されているためです。

調剤薬局で働く薬剤師は医師のような高収入ではありませんが、多くの医療専門職よりも安定して高い収入を目指せます。

診療放射線技師や臨床検査技師、理学療法士といった職種と比較しても調剤薬局の薬剤師の年収は高い水準です。

調剤薬局の薬剤師は看護師より高い年収を得られる傾向にあり、夜勤やオンコールが少ないという働き方の違いもあります。

詳しい金額の違いについては、下記リンク記事をご覧ください。
» 【最新版】薬剤師の年収について徹底解説！

調剤薬局で働く薬剤師が年収を上げる方法4選

調剤薬局で働く薬剤師が年収を上げる方法は以下のとおりです。

• 昇進を目指す
• 資格を取得してキャリアアップする
• 副業で収入を増やす
• 転職を検討する

昇進を目指す

調剤薬局の薬剤師は薬局長やエリアマネージャーといった役職に就くことで、給与が大きく上がります。

調剤薬局の薬剤師が昇進するには普段の調剤や服薬指導のスキル、店舗を運営するマネジメント能力が求められます。

薬剤師としての評価を高めるために、日々の業務で以下の点を意識しましょう。

後輩の指導や在庫管理、売上管理などを自ら進んで担当すると評価を高められます。

資格を取得してキャリアアップする

薬剤師としての専門性を高める資格を取得すると資格手当が支給され、昇進の機会も増えるためキャリアアップにつながります。

調剤薬局で働く薬剤師の年収アップに役立つ資格は以下のとおりです。

• 専門薬剤師・認定薬剤師
• 研修認定薬剤師
• 在宅療養支援認定薬剤師
• 漢方薬・生薬認定薬剤師
• スポーツファーマシスト

自分の興味や将来のキャリアプランに合った資格を選ぶことで専門性を高められ、着実な収入アップを目指せます。

調剤薬局の薬剤師におすすめの資格をまとめた記事もありますので下記リンク記事もあわせてご覧ください。
» 薬剤師のキャリアアップにおすすめの資格と特徴を徹底解説！

副業で収入を増やす

薬剤師の資格や知識を生かせる副業は以下のとおりです。

• メディカルライターや記事監修
• 単発・スポット派遣薬剤師
• オンライン服薬指導や健康相談
• ブログやSNSでの情報発信
• 家庭教師や国家試験対策のメンター

自分に合った副業を見つけることで収入を増やせるだけでなく、キャリアの選択肢も広がります。

おすすめの副業をまとめた記事もありますので、下記リンク記事もあわせてご覧ください。
» 薬剤師におすすめの副業、メリットとデメリットを解説！

転職を検討する

これまでの経験やスキルを正しく評価してくれる職場へ転職することで、基本給が数十万円以上アップする可能性があります。

転職を検討する際は薬剤師専門の転職エージェントを利用すると、非公開の高待遇の求人を紹介してもらえます。

年収の交渉を代行してもらえる点も薬剤師専門の転職エージェントを利用するメリットです。自分の状況に合わせた転職活動をすることが、着実な年収アップにつながります。
» 薬剤師が転職を考えたら誰に相談する？おすすめの相談先3選

調剤薬局で働く薬剤師の年収に関するよくある疑問

調剤薬局で働く薬剤師の年収に関するよくある疑問は以下のとおりです。

• 調剤薬局薬剤師が年収1,000万円を稼ぐことは可能？
• 転職での年収交渉のポイントは？

調剤薬局で働く薬剤師が年収1,000万円を稼ぐことは可能？

調剤薬局で働く薬剤師が年収1,000万円を達成することは不可能ではありません。調剤薬局で働く薬剤師が年収1,000万円を目指す方法は以下のとおりです。

• 薬局を開業して経営者になる
• 大手や中堅の薬局でエリアマネージャーや役員を目指す
• 薬剤師が不足しているへき地や離島で高い給料で働く
• 経営の知識を身に付けて会社の幹部候補として活躍する
• 副業で収入を増やす

キャリアの選択肢を広げたり、今の仕事にプラスの価値を加えたりすることで調剤薬局でも年収1,000万円を目指せます。
» 薬剤師で年収1,000万を超える職場と給与を上げる方法を解説！

転職での年収交渉のポイントは？

年収交渉の際は自分の価値を正しく伝え、入社後の活躍をイメージさせることがポイント。

これまでの経験やスキル、実績を整理して自分がどれくらい評価されるべきかを理解しましょう。

応募先や業界の年収相場を事前にリサーチし、現実的な希望額を設定します。交渉を切り出す最適なタイミングは、内定が出て正式な条件が提示された後です。

給与だけでなく、ボーナスや手当、福利厚生などの総合的な待遇も確認しましょう。

調剤薬局で働く薬剤師の年収を理解してキャリアアップに生かそう

薬剤師の年収は年齢や地域、勤務先の規模、役職などで変動します。調剤薬局で働く薬剤師は市場価値を理解することで具体的なキャリアプランが立てられます。

調剤薬局で働く薬剤師の年収アップの方法は現職での昇進や専門資格の取得、転職など。20～30代のうちはキャリアの方向性を自由に選びやすいタイミングです。

調剤薬局の年収相場を理解し、自分に合った働き方を見つけることで将来の収入とライフスタイルの両方を安定させられます。