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スポーツファーマシストになるには?資格取得の方法と仕事内容

  • スポーツファーマシストになるには、どのような資格や条件が必要?
  • 資格取得にかかる費用や期間は?
  • 資格取得後はどんな働き方ができるの?

この記事では、そんな疑問をすべて解決します。

「薬剤師の資格を活かして、スポーツの世界に関わりたい」「日々の業務にプラスαの専門性を身につけたい」——そんな薬剤師に注目されているのが、スポーツファーマシストです。

アスリートの薬物使用を正しくサポートし、ドーピング違反を防ぐ専門職として、2025年4月1日時点で全国に13,114名が認定されています。薬剤師全体の約4%にあたる希少な存在として、その需要は年々高まっています。

スポーツファーマシストとは

薬剤師資格を持ちつつ、アンチ・ドーピングに関する専門知識を持つ薬剤師のこと。

通常の調剤業務に加え、アスリートが安心して薬を使えるよう支援する役割を担います。

この記事では、スポーツファーマシスト取得の流れから、費用・更新方法や実際の活躍の場まで、現役薬剤師の視点でわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • スポーツファーマシストの資格取得方法と必要な費用、更新手続きの詳細
  • アンチ・ドーピングに関する専門知識を活かせる具体的な仕事内容と活躍の場
  • 資格取得に向いている人の特徴と、キャリア形成におけるメリット

目次

スポーツファーマシストの基礎知識

スポーツファーマシストに関して以下の基礎知識について解説していきます。

スポーツファーマシストとはアンチ・ドーピング規則に関する知識を持つ薬剤師

スポーツファーマシストとは、一般社団法人日本スポーツフェアネス推進機構(J-Fairness)公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が共同で認定する、アンチ・ドーピングに関する専門知識を有する薬剤師のことです。

2025年度からは運営主体がJ-Fairnessに移管され、従来のアンチ・ドーピング規則に加えて、スポーツ薬理学・スポーツ医学・スポーツ科学のカリキュラムも追加されています。

ドーピングとは、競技能力を高めるために禁止薬物を使用したり、禁止された方法を用いたりする行為で、スポーツの公平性を損なう重大な違反行為として国際的に厳しく規制されています。

アスリートは風邪薬やサプリメントなど、日常的に使用する製品にも禁止物質が含まれている可能性があるため、細心の注意が必要です。

スポーツファーマシストは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が定める禁止物質リストや治療使用特例(TUE)などの制度に精通しており、アスリートが安全に医薬品を使用できるようサポートします。

常に禁止される物質・方法(競技中・競技外を問わず)
  • 同化ステロイド(筋肉増強剤)
  • 成長ホルモン
  • EPO(赤血球を増やす薬)
  • 血液ドーピング
  • 遺伝子ドーピング
競技中のみ禁止される物質・方法
  • 興奮剤(アンフェタミン、エフェドリンなど)
  • 麻薬性鎮痛剤(モルヒネなど)
  • カンナビノイド(大麻)
  • グルココルチコイド(経口・注射など一定経路)
特定の競技でのみ禁止される物質
  • β遮断薬(ゴルフ、射撃など精密競技で禁止)

一般的な市販薬・処方薬でも禁止物質を含むことがあり、知らずに使用してしまうケースも多く報告されています。

知らずに使用してしまうケース(うっかりドーピング)
  • かぜ薬に含まれるエフェドリン・プソイドエフェドリン
  • ぜんそく吸入薬のサルブタモール(一定量以上)
  • 鎮痛薬のコデイン
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こうしたリスクを防ぐために、スポーツファーマシストが薬剤の成分を確認し、代替薬や投与方法を提案します。

治療使用特例(TUE)との関係

もしアスリートが病気治療のために禁止物質を使用せざるを得ない場合は、「治療使用特例(TUE: Therapeutic Use Exemption)」の申請により、WADAや各国アンチ・ドーピング機関から許可を得たうえで使用できます。

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スポーツファーマシストはこのTUE申請のサポートも行います。

資格制度が開始された2010年度には796名だった認定者が、2024年度には12,929名に増加しており、この資格に対する関心の高まりがうかがえます。

スポーツファーマシストの仕事内容

スポーツファーマシストの主な仕事は、アスリートに対する薬物相談とアンチ・ドーピング教育です。

2025年度からは、アンチ・ドーピングに加えてスポーツ薬理学、スポーツ医学、スポーツ科学のカリキュラムが追加され、様々な場面でスポーツを楽しむすべての人をサポートする資格へと進化しています。

薬物使用に関する相談対応

アスリートや指導者から寄せられる医薬品やサプリメントに関する質問に答えます。

「この風邪薬は競技前に飲んでも問題ないか?」「このサプリメントに禁止物質は含まれていないか?」といった相談に対して、最新の禁止物質リストと照合しながら適切なアドバイスを提供します。

アンチ・ドーピング教育活動

学校や地域のスポーツチーム、実業団などで講習会を開催し、ドーピングの危険性や正しい薬の使い方について啓発活動を行います。

医療機関における薬剤業務

病院や診療所でアスリートの診療をサポートし、医師と連携して競技に影響を与えない治療方法を提案します。

スポーツファーマシストになるメリット

スポーツファーマシストになるメリットがいくつか挙げられます。ひとつひとつ解説します。

アンチ・ドーピングの専門知識が得られる

スポーツファーマシストの資格を取得することで、世界アンチ・ドーピング規程、禁止物質リスト、治療使用特例申請、ドーピング検査の仕組み、さらにはスポーツ薬理学・医学・科学など、通常の薬剤師業務では触れることの少ない専門領域を深く学べます。

この知識は、スポーツ選手への対応だけでなく、一般の患者への服薬指導にも応用できます。

趣味でマラソンやトライアスロンに参加する患者に対して、大会前の薬の使用について適切なアドバイスができるようになります。

医療機関やスポーツ団体で活躍できる

スポーツファーマシストの資格保有者は、以下のようなスポーツと医療が交差する現場で活躍の機会が広がります。

  • スポーツ医学を専門とする医療機関
  • 国立スポーツ科学センター(JISSなど)
  • プロスポーツチームの専属薬剤師
  • 実業団チームの医療スタッフ

これらの現場では、アスリートの健康管理や薬物使用の安全性確保、競技力向上をサポートする重要な役割を担います。

大学や専門学校のスポーツ学部で教育に携わる道も開けます。また、地域のスポーツ協会や体育協会と連携して、地域スポーツの発展に貢献できます。

アスリートと関わりが持てる

スポーツファーマシストとして活動することで、オリンピック選手や世界大会出場者など、トップアスリートと直接関わる機会が得られます。

選手の健康管理や競技パフォーマンスの向上に貢献できることは、大きなやりがいとなります。

自分がサポートした選手がメダルを獲得する瞬間は、何物にも代えがたい充実感をもたらします。

医療従事者として、スポーツという特別な舞台で人々の夢を支える仕事は、非常に魅力的なキャリアといえます。

キャリアの幅が広がる

調剤薬局やドラッグストアでの勤務においても、「スポーツファーマシスト在籍」という看板を掲げることで、スポーツ愛好家やアスリートを顧客として呼び込むことができ、薬局の特色を打ち出せます。

製薬企業においても、新薬開発の際に禁止物質との関連を検討したり、スポーツ栄養補助食品の開発に携わったりする機会があります。

講演活動やセミナー講師、執筆活動など、専門家としての情報発信の場も広がります。

スポーツファーマシストになるには?資格の詳細

スポーツファーマシストの資格について詳しく解説します。

資格取得の条件

スポーツファーマシストの資格を取得するためには、まず薬剤師免許を有していることが絶対条件です。薬剤師国家試験に合格し、正式に薬剤師として登録されている必要があります。

さらに、スポーツファーマシスト認定委員会(J-FairnessとJADAにより構成)が実施する「公認スポーツファーマシスト認定制度」の規定に従い、指定された講習会を受講し、知識到達度確認試験に合格しなければなりません。

受講開始の時点で薬剤師の資格を有していれば、病院、薬局、企業など、どのような勤務形態の薬剤師でも挑戦できます。

資格取得にかかる費用

スポーツファーマシストの資格取得には、以下のような費用が必要です。

項目費用
受講料(テキスト代含む)9,900円(税込)
認定料(4年分)22,000円(税込)
合計31,900円(税込)

資格取得後も、4年ごとの更新時に更新料(受講料9,900円+認定料22,000円=31,900円)がかかります。継続的な学習と費用負担が求められる資格であることを理解しておきましょう。

資格の更新方法

スポーツファーマシストの認定期間は4年間で、期間終了後も資格を維持するためには更新手続きが必要です。

資格維持のためには毎年、eラーニングで実務講習を受講する必要があり(費用無料)、4年目にあたる年にはeラーニングで基礎講習と実務講習を受け、もう一度知識到達度確認試験を受けなければなりません。

継続的な学習が求められる制度設計は、アンチ・ドーピング規則が毎年更新され、新たな禁止物質が追加されることに対応するためです。

コタロ
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常に最新の知識を保持することが、スポーツファーマシストとしての責任といえます。

スポーツファーマシストになるには?資格取得の流れ

資格取得の具体的な時期の目安はこのようになります。

STEP
7月頃

受講申込開始/受講料:9,900円(税込)

STEP
8月〜10月頃

基礎講習受講期間(eラーニング)

STEP
1〜2月頃

実務講習受講期間
認定申請・知識到達度確認試験/認定料:22,000円(税込)

STEP
4月1日 認定

基礎講習会に参加する

スポーツファーマシスト認定への第一歩は、J-Fairnessが主催する基礎講習会への参加です。2025年度からは、アンチ・ドーピング規則を中心に、スポーツ薬理学、スポーツ医学、スポーツ科学に関する内容を広く学ぶカリキュラムとなっています。

基礎講習会では、世界アンチ・ドーピング規程の概要、禁止物質リストの見方、治療使用特例(TUE)制度の詳細、ドーピング検査の流れ、サプリメントの安全性評価などを学びます。

受講申し込みは、スポーツファーマシスト公式サイトから行います。2025年度の受講期間は8月から10月までとなっており、eラーニング形式で自分のペースで学習を進めることができます。

実務講習を受ける

基礎講習会を修了した後は、実務講習の受講が必要です。
実務講習では、スポーツファーマシストとして実際に現場で役立つスキルを、より実践的に学びます。

学習内容の一例
  • 薬局・医療機関でのスポーツファーマシスト業務の実際
  • 禁止物質を含む医薬品の検索方法
  • Global DRO(ドーピング禁止薬情報検索システム)などのオンラインツールの使い方
  • アスリートからの質問への対応例やコミュニケーション方法

eラーニング形式で提供されるため、自宅や職場から自分のペースで学習することが可能です。

知識到達度確認試験を受ける

すべての講習を修了した後、知識到達度確認試験を受験します。この試験は、基礎講習会と実務講習で学んだ内容の理解度を確認するためのもので、オンライン形式で実施されます。

知識到達度確認試験の内容は、講習全体の理解度を確認するために行われます。
出題範囲と形式は以下の通りです:

  • 一定の正答率を達成すれば合格
  • 世界アンチ・ドーピング規程(WADAコード)
  • 禁止物質リストの内容と運用
  • 治療使用特例(TUE)制度
  • スポーツ薬理学・スポーツ医学・スポーツ科学
コタロ
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試験に合格し、認定登録料を納付すると、晴れてスポーツファーマシストとして認定されます。認定証が交付され、スポーツファーマシスト検索システムに登録されます。

スポーツファーマシストになるには?必要なスキル・資質

スポーツファーマシストとして活躍するためには、専門知識だけでなく、アスリートや指導者と協働できる幅広いスキルと人間力が求められます。

必要なスキル

スポーツファーマシストとして活躍するためには、以下のスキルが求められます。

情報収集能力と継続学習の姿勢

アンチ・ドーピング規則は毎年更新され、禁止物質リストにも変更が加えられます。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)やJ-Fairnessから発信される最新情報を常にチェックし、知識をアップデートし続ける必要があります。

コミュニケーション能力

アスリートや指導者、医師、トレーナーなど、さまざまな立場の人々と円滑に意思疎通を図る能力が求められます。

情報検索スキル

Global DROなどのオンラインツールを使いこなす能力も求められます。医薬品やサプリメントの成分を迅速に検索し、禁止物質との関連を正確に判断する技術は、実務において頻繁に使用します。

Global DROとは?

Global DROでは、薬の名前(商品名)や成分名を入力するだけで以下のような情報を即座に確認できます。

  • その薬が競技中・競技外で禁止されているかどうか
  • 禁止物質リストに該当する成分が含まれているか
  • 治療使用特例(TUE)が必要な場合の判断材料

日本語でも利用でき、日本で販売されている医薬品情報も反映されています。

スポーツファーマシストに向いているのは、スポーツが好きで、アスリートの活躍を支援したいという強い意欲を持つ人です。

競技の公正性を守り、クリーンなスポーツ環境を実現することに情熱を感じる人は、この仕事に大きなやりがいを見出せるでしょう。

向いている人の特徴

細かい規則や複雑な情報を正確に理解し、整理できる几帳面な性格の人も適性があります。継続的な学習を苦にしない向上心の強い人も、スポーツファーマシストに向いています。

人の役に立つことに喜びを感じる奉仕精神を持つ人も適しています。

スポーツファーマシストの活動は、アスリートの健康と競技の公正性を守るという社会的意義の大きい仕事です。金銭的報酬以上のやりがいを感じられる人が、この道に向いています。

スポーツファーマシストを目指す際によくある質問

よくある質問は以下の通りです。

スポーツファーマシストに英語力は必要?

スポーツファーマシストとして活動する上で、英語力があると大きなアドバンテージになります。

世界アンチ・ドーピング規程の原文は英語で作成されており、国際大会でのドーピング検査サポートや、海外のアスリートへの対応では英語が必須となります。

ただし、国内での基本的な活動においては、日本語の資料やツールが充実しているため、英語が苦手でも十分に活動できます。将来的に国際的な場で活躍したい場合は、英語力の向上に取り組むことをおすすめします。

資格取得に必要な勉強時間はどれくらい?

スポーツファーマシストの資格は、薬剤師の認定資格の中では比較的チャレンジしやすい資格とされています。

薬剤師としての基礎教養と、アンチ・ドーピングに対する興味関心があれば合格できる内容となっています。

講習会で配布されるテキストや資料をしっかりと読み込み、eラーニングの講義を視聴して理解を深めることで、知識到達度確認試験に対応できます。

約1年程度で資格取得が可能なスケジュールとなっており、仕事と両立しながら無理なく取得できる資格です。

スポーツファーマシストの年収はいくら?

スポーツファーマシストの資格を持つことによる直接的な年収への影響は限定的です。

なぜなら、スポーツファーマシストは職業名ではなく、薬剤師が持つ付加的な専門資格だからです。

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は599万3,200円と報告されています。

スポーツファーマシストの資格を持っていても、基本給が大幅に上昇することは通常ありません。

ただし、スポーツ医学専門のクリニックやスポーツチームの専属薬剤師として採用される場合、専門性が評価されて通常より高い待遇を得られる可能性があります。

スポーツファーマシストの資格は、収入面よりも、キャリアの選択肢を広げ、やりがいのある活動に参加できるという点で価値があると考えるべきでしょう。

まとめ

スポーツファーマシストは、薬剤師としての専門知識にアンチ・ドーピングとスポーツに関する専門性を加えた、スポーツ界に不可欠な存在です。資格取得には、基礎講習会と実務講習の受講、知識到達度確認試験の合格が必要で、費用は31,900円(税込)かかります。

資格を取得することで、以下のような多様なキャリアパスが開けます。

トップアスリートとの関わり
オリンピックや国際大会などで、選手の健康と公正な競技を支える役割を果たすこともあります。

アスリートへの薬物相談・服薬指導
競技中や治療時に使用できる薬を判断し、安全な使用をサポートします。

アンチ・ドーピング教育の実施
学校やスポーツ団体で、ドーピング防止に関する講習や啓発活動を行います。

スポーツ医学の現場での活動
スポーツドクターやトレーナーと連携し、医療チームの一員として選手を支援します。

地域や大会での医療サポート
大会時の医薬品管理や相談対応など、現場での実務を担います。

クリーンでフェアなスポーツ環境を守り、アスリートの夢を支えるスポーツファーマシスト。薬剤師としてのキャリアに新たな可能性を加えたい方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

\公認スポーツファーマシスト/

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