高時給で魅力的に見える派遣薬剤師ですが「やばい」という噂を聞いて、求人に応募できない人も多いのではないでしょうか。派遣薬剤師は自由な働き方ができるメリットがある一方で、キャリアアップが難しいというデメリットがあることも事実です。
この記事では派遣薬剤師が「やばい」と言われる理由や、向いていない人と向いている人の特徴などを解説します。記事を読めば派遣薬剤師の働き方の実態を正しく理解し、自分が向いているかを判断できるようになります。
派遣薬剤師は専門性を深めにくく即戦力を求められるなど、働きにくさを感じる場面もあるため注意が必要です。しかし、派遣薬剤師がやばいと言われる理由を把握し自分に合った職場を選べば、理想のワークライフバランスを実現できます。
派遣薬剤師がやばいと言われる6つの理由
派遣薬剤師がやばいと言われる理由は以下の6つです。
同じ職場の勤続年数に上限がある
派遣薬剤師は法律によって同じ職場で働ける期間に上限が設けられています。働ける期間に上限があるため、気に入った職場であっても離れなければいけない場合があります。上限がある理由は労働者派遣法の決まりである「3年ルール(※1)」があるため、派遣薬剤師は同じ場所で働き続けることができないからです。
3年ルールは派遣で働く人のキャリアアップや、正社員雇用を促す目的で定められました。しかし、派遣先の職場が正社員雇用を望まない場合、慣れ親しんだ職場を離れて新しい派遣先を探す必要があります。
※1 3年ルールには、無期雇用派遣や産休・育休の代替といった3年以上働ける例外のケースもあります。
ボーナスや退職金がない場合が多い
基本的に派遣薬剤師は正社員と違い、ボーナスや退職金は支給されません。正社員との金銭的な待遇の違いが「派遣薬剤師はやばい」と言われる理由の一つです。派遣薬剤師は派遣先の企業に直接雇用されているわけではないため、ボーナスや退職金の支給対象から外れてしまいます。
まとまった退職金も基本的にはないため、派遣薬剤師はiDeCoやNISAなどを活用して自分で将来の資産を準備する必要があります。派遣会社によっては独自の退職金制度を設けている場合もあるため、登録時に福利厚生について確認しておきましょう。
専門性が深まりにくい
派遣薬剤師は任される業務内容が限られたり契約期間が短かったりするため、特定分野における専門性を深めにくいとされています。派遣薬剤師の業務は調剤や監査、投薬といった基本的な内容が中心です。在庫管理や新人教育など薬局運営に関わる経験は積みにくい傾向にあります。
派遣薬剤師は数か月単位の短期契約が多いため、専門知識を深める前に職場が変わるケースも多く見られます。派遣先の研修や勉強会に参加しにくいため、スキルアップは自己学習が中心です。薬剤師としての専門性を高めるためには、自分自身で学ぶ機会を作る工夫が必要になります。
派遣への風当たりが強い職場がある
派遣薬剤師は正社員と立場が違うことから、一部の職場では風当たりが強くなる場合があります。正社員との働き方や待遇の違いが原因で、人間関係の悩みを抱えてしまう派遣薬剤師もいます。派遣への風当たりが強い職場では以下のことがありがちです。
- 嫉妬や陰口を言われる
- 孤立する
- 一方的に責任を押し付けられる
派遣薬剤師は「どうせすぐにやめる」という目で見られ、職場の飲み会やイベントに誘われず疎外感を感じることもあります。職場環境によっては派遣薬剤師という立場が働きにくさの原因になることも考えられるため、出向く企業は慎重に選びましょう。
即戦力を求められる
派遣薬剤師は入社後すぐに活躍できる即戦力として期待されます。派遣先の薬局は人手不足の解消を急いでいるため、一般的に新人研修に時間をかける余裕がありません。即戦力として期待される派遣薬剤師には以下のような高いスキルと素早い適応力が求められています。
- 実務をすぐにこなす
- 短期間で仕事に適応する
- 円滑なコミュニケーションで仕事を遂行する
派遣薬剤師は研修やOJT(※2)がほとんどないため、勤務先独自のルールや薬歴システムに自力で適応することを求められます。派遣薬剤師は高い時給をもらっている分「できて当たり前」という無言のプレッシャーを感じやすい職業でもあります。
※2 OJTとは、On the Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング) の略で、職場で実務を通じて行う教育・訓練方法のことです。
キャリアアップが難しい
派遣薬剤師という働き方は期間や業務内容を定めて契約することが多いため、責任のある立場に就けずキャリアアップが困難です。仕事にやりがいを感じ始めたとしても、期限があるためキャリアアップを諦めて他の職場に行かなければいけません。
派遣薬剤師という働き方を選ぶ際にはキャリアが途切れることを前提として仕事に就いてください。
派遣薬剤師に向いていない人の特徴3選
派遣薬剤師の働き方は柔軟性がある反面、すべての人に適しているわけではありません。派遣薬剤師に向いていない人の特徴は以下のとおりです。
安定した雇用や収入を重視する人や管理薬剤師などの役職を目指す人は、派遣薬剤師とは違う雇用形態を検討しましょう。
長期的な安定を重視する人
長期的な安定を重視する人には派遣薬剤師という働き方を「やばい」と感じる場合があります。派遣薬剤師は1つの職場で長く働き続けることが難しく、雇用や収入が不安定になりやすいからです。
高い時給が派遣薬剤師の魅力ですが、長期的に見ると安定しているとは言い難いことに不安を感じる人は多くいます。安定した生活基盤を築きたいと考える人にとって、派遣薬剤師は不安を感じやすい働き方です。
人間関係をじっくり築きたい人
人間関係をじっくりと築きたい人には派遣薬剤師はあまり向いていません。派遣薬剤師は数か月単位の契約で職場が変わる場合もあり、同僚と深い関係を築く前に契約期間が終わってしまう可能性があるためです。
派遣薬剤師は職場を転々とすることが多いため、職場が変わるたびにゼロから人間関係を築く必要があります。「一時的な助っ人」という立場から正社員の輪に入りにくかったり、契約が終わるたびに関係がリセットされたりするのも問題です。
キャリアアップを重視する人
派遣薬剤師は正社員であれば経験できる以下のようなキャリアアップの機会を得にくいことが実情です。
- 役職への昇進
- マネジメント経験
- 資格取得に必要な実務経験
- 研修や学会への参加機会
派遣薬剤師は業務内容が限定されるため、1つの分野の専門性をじっくり深めていくことが難しい環境です。長期的な視点でキャリアを築いていきたい人には、派遣という働き方が足かせになる可能性があるため注意が必要です。
派遣薬剤師に向いている人の特徴3選
派遣薬剤師に向いている人の特徴は以下のとおりです。
ライフスタイルに合わせて働きたい人
ライフスタイルを重視して働きたい人にとって、派遣薬剤師はおすすめの働き方です。派遣薬剤師は正社員やパートと比べて勤務時間や働く期間、場所といった条件を自分の都合に合わせて柔軟に選べます。派遣薬剤師なら以下のようなライフスタイルに関する希望を叶えやすくなります。
- 子育てと介護を両立したい
- 残業が少ない職場で働きたい
- 扶養の範囲内で働きたい
- パートナーの転勤に合わせて働きたい
- 決まった期間だけ働きたい
コミュニケーション能力が高い人
コミュニケーション能力が高い人は派遣薬剤師として活躍できます。派遣薬剤師は働く場所が定期的に変わるため、その都度新しい人間関係を築く必要があるからです。医師や看護師、初対面の患者と短期間で良好な関係を築くスキルがあれば、派遣薬剤師の仕事は円滑に進みます。
以下のような特徴を持つ人は派遣薬剤師に向いています。
- 適切な挨拶や質問ができる
- 他職種の方と円滑に連携できる
- 謙虚な姿勢で業務に取り組める
- 誰とでも信頼関係を築ける
人との関わりを楽しみ積極的にコミュニケーションを取れる人は、派遣薬剤師の仕事を「やばい」と感じにくい傾向にあります。
短期間でまとまった収入を得たい人
派遣薬剤師は正社員やパートに比べて時給が高い傾向にあるため、短期間で効率的にお金を稼げます。派遣薬剤師はあらかじめ契約期間が決まっているため、目標金額に合わせて集中して働くことが可能です。以下の状況にある人や目標を持つ人にとって派遣薬剤師は良い仕事です。
- 一定期間でまとまった収入を得たい
- 期間内に集中して稼ぎたい
- 開業資金や留学費用などを貯めたい
高時給の派遣薬剤師案件を選んで働けば、少ない労働時間で効率良く収入を得られます。
» 薬剤師パートは厳しいと感じる5つの理由と状況を打破する方法を解説！
派遣薬剤師の職場選びで失敗しない方法5選
派遣薬剤師として快適に働くためには適切な職場選びが重要です。自分に合わない環境を選ぶと就業後に後悔する可能性があります。派遣薬剤師の職場選びで失敗しない方法は以下のとおりです。
希望条件の優先順位を明確にする
派遣薬剤師の職場選びで後悔しないためには、自分の希望条件に優先順位をつけることが重要です。希望条件が完璧にそろう職場を見つけるのは困難です。「これだけは譲れない」という条件を決めておくと、数多くの求人の中から自分に合った職場を効率的に見つけ出せます。
派遣薬剤師の職場選びの際には給与や通勤時間、勤務時間・日数、業務内容についてどれを一番大切にしたいか考えてみてください。何が一番大切かを自分の中で明確にすれば「やばい」と感じる派遣薬剤師の職場を回避できます。
勤務条件を具体的に確認する
働き始めてから「やばい職場だった」と後悔しないために、勤務条件を詳細に確認することは大切です。求人票の情報だけでは派遣薬剤師としての実際の働き方をイメージしにくいからです。職場見学や面談の際には、以下のような点を企業の担当者に質問してみましょう。
- 交通費・残業代は出るか
- 契約期間・更新条件は求人票の情報で間違いないか
- 勤務時間・残業はどの程度か
- 休暇・急な休みへの対応はできるか
- 処方箋枚数・扱う薬に特殊なものはないか
詳細な勤務条件を担当者に聞いておくと、入社後のギャップを減らしスムーズに勤務を開始できます。
派遣の受け入れ実績を確認する
派遣先を選ぶ際には、職場が派遣社員の受け入れにどれだけ慣れているかを示す実績をよく確認しましょう。派遣薬剤師の受け入れに慣れている職場は、業務の指示系統や教育体制が整っている傾向にあります。派遣薬剤師に慣れている職場を選べば「やばい」と感じるような職場への入社を防げます。
派遣会社の担当者には、以下の点を具体的に質問して職場の実態を把握しましょう。
- 過去に派遣薬剤師を受け入れた経験があるか
- 現在、他に派遣スタッフが働いているか
- これまでの派遣スタッフの契約更新率や定着率はわかるか
- 派遣社員への教育体制や業務の指示系統の現状がわかるか
- 過去に派遣薬剤師とのトラブルはあるか
派遣会社からの情報は自分に合った環境かどうかを判断するうえで大切な情報源となるため活用しましょう。
複数の派遣会社を比較する
派遣会社を選ぶときは1社だけでなく、最低でも2〜3社に登録して比較することがおすすめです。派遣会社によって抱えている求人やサポート体制は大きく異なります。同じ職場を紹介されたとしても、派遣会社によって時給や福利厚生の条件が違う場合があります。
複数の派遣会社に登録したら以下のポイントを比べてみましょう。
- 扱う求人の条件
- 派遣会社の得意な分野
- 非公開求人の数
- サポート体制の内容や手厚さ
- 福利厚生
- 働き方の柔軟性
登録後にじっくりと派遣会社を比べれば、理想の働き方が実現できる派遣会社が見つかりやすくなります。
実際に働く環境を自分の目で確認する
職場選びで後悔しないためには契約前に必ず職場見学を申し出て、働く環境を自分の目で確かめることが大切です。求人情報だけではわからない職場のリアルな雰囲気や人間関係を事前に知ることで、やばい職場を避けられます。
派遣薬剤師の職場見学では以下のようなポイントを重点的に確認しましょう。
- スタッフの表情・雰囲気
- 清掃状況
- 設備の状態
- 通勤ルート
事前に自分の目で見て聞いて感じることで、安心して働き始められる職場かどうかの判断が可能になります。
やばいと言われる派遣薬剤師のリスクを理解して賢く働こう
派遣薬剤師は「やばい」という評判だけで判断せず、働き方のリスクを正しく理解してから仕事に就きましょう。派遣薬剤師は雇用の不安定さといったデメリットがある一方で、高時給や自由な働き方が実現できるメリットもあります。
自分のライフプランやキャリアプランと照らし合わせ、派遣薬剤師という働き方が自分に合っているかを見極めることが重要です。リスクを理解し賢く活用すれば「派遣薬剤師はやばい」と思うことなく、理想のワークライフバランスで働けます。
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