
- 薬剤師としての将来のキャリアに漠然とした不安がある
- 年収アップやキャリアチェンジをしたいけれど、何から始めればいい?
- 薬剤師がダブルライセンスを取得するのは大変なのかな?
薬剤師としての専門性を深める一方で、将来のキャリアの選択肢に不安を感じていませんか?他のスキルを身に付け、自分の市場価値を高めたいと考える方も多いはずです。
この記事では薬剤師がダブルライセンスを取得するメリット・デメリットやおすすめの資格、具体的な取得ステップを解説します。記事を読めば自分に合った資格の見つけ方や、キャリアアップに向けて必要な行動がわかります。
計画を立てて取り組めば、薬剤師として働きながらでもダブルライセンスの取得は可能です。ダブルライセンスを取得して新たな強みを身に付け、キャリアの可能性を広げましょう。
薬剤師のダブルライセンスのメリット3選

薬剤師がダブルライセンスを取得するメリットは以下の3つです。
- キャリアの幅が広がる
- 年収アップの可能性が高まる
- 患者へのトータルケアが可能になる
キャリアの幅が広がる
薬剤師がダブルライセンスを取得すると、別の専門性が加わるため新たな分野で活躍する道が開けます。取得した資格を生かして、以下のようなキャリアの選択肢を持てるようになります。
- 製薬会社やCRO、行政機関などへの転職
- 現在の職場での役割拡大
- 薬局経営、ヘルスケア分野のコンサルタントなどの独立や開業
- 薬剤師の知識を生かした新たな分野での活躍
- ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方
もう1つの資格を持つことで薬剤師以外の職種にも挑戦でき、自分の希望に合った働き方を見つけやすくなります。子育てなどで一度現場を離れた方にとってダブルライセンスは、復職の際のアピールポイントにもなります。
年収アップの可能性が高まる

ダブルライセンスを取得すると別の分野のスキルが身に付き市場価値が高まるため、年収アップが期待できます。薬剤師の専門性に加えて、幅広い業務に対応できるようになるため評価が上がり、条件の良い仕事を選べる可能性も広がります。ダブルライセンスの取得で収入アップが見込まれるケースは以下のとおりです。
- 現職で昇進する
- 資格手当が支給される
- 好条件の企業へ転職する
- 転職時の給与交渉に成功する
- 独立・開業に成功する
ダブルライセンスは今の職場での給料アップだけでなく、転職や独立といったキャリアの選択肢にも有効です。
患者へのトータルケアが可能になる
ダブルライセンスを取得するメリットは、薬剤師の専門性と取得した資格の知識を生かして、より広い視点から患者を支えられることです。薬の効果は食事や運動、心の状態などの生活習慣にも大きく影響を受けます。2つの資格から患者を深く理解し、一人ひとりに合わせた最適なサポートが可能です。
ダブルライセンスを取得すると、患者を総合的に支援する以下のような関わりができるようになります。
- 薬物治療に加えて食事や運動、メンタルヘルスのアドバイスを行う
- 薬の効果を最大限に引き出し、副作用を減らすための生活指導を行う
- 在宅医療で他の専門職と連携し、チーム医療の質を高める
ダブルライセンスを生かすことで薬以外の健康相談にも対応できる専門家として信頼を得られます。
薬剤師のダブルライセンスのデメリット2選

薬剤師のダブルライセンスの取得には以下の2つのデメリットがあります。
- 勉強と仕事の両立に時間管理力が求められる
- 専門性が分散して強みが薄れるリスクがある
勉強と仕事の両立に時間管理力が求められる
ダブルライセンスを目指すうえで大きな壁となることが、勉強と仕事の両立です。仕事と家事、育児をこなしながら資格取得を目指すには、高い時間管理能力が欠かせません。
時間を有効に活用するには、通勤や休憩などの隙間時間を使う工夫や、資格取得への強い意志が必要です。資格によっては取得まで数年かかるため、長期的な自己管理能力と忍耐力が求められます。
専門性が分散して強みが薄れるリスクがある
薬剤師のダブルライセンスは専門性が分散し、自分の強みが薄れてしまうリスクがあります。2つの資格を学び続けることは難しく、知識が中途半端になって強みがあいまいになる恐れがあるためです。
各分野の専門家と比べた場合に知識の深さで見劣りしてしまい、採用担当者に自分の強みが伝わりにくいこともダブルライセンスの懸念点です。複数の資格を持つことが必ずしもプラスに働かないケースもあることを理解しておく必要があります。
薬剤師におすすめのダブルライセンス

薬剤師におすすめのダブルライセンスについて4つの分野別に紹介します。
- 医療系資格:管理栄養士や看護師
- 法律系資格:弁理士や行政書士
- ビジネス系資格:中小企業診断士やMBA
- IT関連資格:データサイエンティストやプロジェクトマネージャー
医療系資格:管理栄養士や看護師
薬剤師が管理栄養士や看護師といった医療系の資格を持つことは、患者へのケアの質を高めるうえで有効です。薬剤師が食事や身体の状態を評価できるようになり、多角的な視点から患者を支えられるようになります。
管理栄養士を取得すれば薬と食事の両面から生活習慣病の指導ができ、在宅医療では服薬と栄養の管理を一手に担えます。看護師を取得すれば患者の身体の状態を的確に把握するスキルが身に付き、質の高い処方提案が可能です。訪問看護では服薬指導と処置を1人で完結でき、活躍の場が広がります。
法律系資格:弁理士や行政書士

薬剤師の専門知識は弁理士や行政書士と相性が良く、法律分野のキャリアの可能性を広げられます。弁理士や行政書士の業務において医薬品や化学、薬事法の専門知識が役立つため、薬剤師の経験が強みになります。
弁理士は特許などの知的財産を守り、新薬開発を支える専門家です。薬剤師の知識は医薬品・化学分野の特許戦略の立案や、製薬会社の知的財産部・特許事務所での専門業務に生かせます。
行政書士は街の法律家として、役所への手続きを代行します。薬局・ドラッグストアの開設や運営に関わる法律知識が求められるため、薬剤師の経験が有効です。
ビジネス系資格:中小企業診断士やMBA
薬剤師の知識に経営の視点を加えたい人は、中小企業診断士やMBA(経営学修士)が向いています。薬局の経営者を目指したり、企業でキャリアアップしたりと、将来の選択肢が大きく広がります。経営を学ぶことで組織全体を動かすスキルが身に付くため、経営者側の課題を解決したい人に中小企業診断士やMBAがおすすめです。
中小企業診断士は薬局経営に役立つマーケティングや財務、人事管理の知識が身に付き、独立開業やマネジメント職へのキャリアアップに役立ちます。MBAでは経営戦略や組織論を体系的に学べます。MBAを取得すると製薬会社や医療系コンサルティングファームなどへの転職や、経営幹部を目指す際に有効です。
IT関連資格:データサイエンティストやプロジェクトマネージャー
薬剤師の専門知識は医療業界のIT分野でも生かせます。IT関連で薬剤師と相性が良い資格は、データサイエンティストやプロジェクトマネージャーです。薬の効果や副作用のデータを分析する仕事や、新薬を開発する計画を管理する仕事において、薬剤師の経験が役立ちます。
データサイエンティストは医薬品に関する膨大なデータを分析し、新薬の開発や薬の適正使用に関わる専門家です。AI分野のG検定・E資格や、統計の知識を示す統計検定はデータサイエンティストのスキルを証明する資格です。データサイエンティストは製薬会社やCRO(医薬品開発業務受託機関)、医療データを扱うIT企業などで活躍できます。
プロジェクトマネージャーは新薬開発や医療システムの導入といった計画全体を管理するリーダー役です。プロジェクトマネージャーのスキルを証明する資格に、国際資格のPMPや、国家資格のプロジェクトマネージャ試験があります。PMPやプロジェクトマネージャ試験は、製薬会社や病院の管理部門へ転職する際に、管理能力を客観的に示せます。
薬剤師がダブルライセンスを取得するための4ステップ

計画的に取り組めば薬剤師として働きながらでも、ダブルライセンスの取得は可能です。ダブルライセンスを成功させる4つのステップは以下のとおりです。
- 自己分析とキャリアプランの設計をする
- 資格試験に関する情報を収集する
- 学習スケジュールを立て、時間管理をする
- モチベーションを維持しながら試験に挑む
自己分析とキャリアプランの設計をする
ダブルライセンスの取得を成功させるには、まず自己分析とキャリアプランの設計から始めましょう。自分の強みや将来の目標をはっきりさせることで、本当に必要な資格が見えてきます。現状の働き方や今後のキャリアについて把握するために、以下の点を書き出してみましょう。
- 身に付けたスキルや知識
- 自分の強みと弱み
- 求める収入
- 仕事のやりがい
- ワークライフバランス
- 理想の働き方
- 活躍したい立場
- ライフプラン
明確な目標を持たないまま資格の勉強を始めると、挫折したり資格を生かせなかったりする恐れがあります。現実的なキャリアプランを立てるには、復職や子育てといったライフプランの変化も考慮しましょう。
» 薬剤師の就職先8選と自分に合う職場の見つけ方を解説!
資格試験に関する情報を収集する

ダブルライセンスで取得する資格が決まったら、試験に関する情報を多角的に調べましょう。試験の詳細情報を事前に把握すれば、自分に合った学習計画を立てやすくなります。スムーズに準備を進めるために以下の情報を集めましょう。
- 試験の難易度
- 受験資格や実務経験の有無
- 試験の日程や方式
- 費用
- 学習方法
- 合格者の体験談
日程や費用など試験の基本情報は公式サイトで確認すると安心です。資格取得にかかる期間や効果的な学習方法は、合格者の体験談を参考にするとイメージがつかみやすくなります。
学習スケジュールを立て、時間管理をする
仕事や家事、育児と両立しながらダブルライセンスを取得するには、時間を有効活用する必要があります。具体的な学習スケジュールを立てて、無理なく続けましょう。試験日から逆算して月・週・日ごとの目標を設定し「今日取り組む内容」を明確にすると、行うべきことがはっきりします。時間管理のコツは以下のとおりです。
- 学習時間を固定する
- 隙間時間を活用する
- アプリや手帳で計画と進捗を管理する
計画通りに進まない場合に備えて、週に1日は予備日を設けておくと、遅れを取り戻しやすくなります。
モチベーションを維持しながら試験に挑む
ダブルライセンスを取得するには、試験当日までモチベーションを保って取り組むことが不可欠です。気持ちを立て直せる工夫があると、長い学習期間を乗り超えられます。モチベーションを維持する方法は以下のとおりです。
- 将来像を明確にする
- 仲間と交流する
- 小さな目標を設定する
- リフレッシュの時間を持つ
- ご褒美を設定する
- 周囲の協力を得る
自分に合った方法でモチベーションの低下に対処すれば、学習を安定して続けられます。
薬剤師がダブルライセンスを取得した後のキャリアパスの例

薬剤師がダブルライセンスを取得すると、キャリアパスは大幅に拡大します。以下にキャリアパスの例を3つ紹介します。
- 調剤薬局でのキャリアパス
- 病院や医療施設でのキャリアパス
- 独立や開業のキャリアパス
調剤薬局でのキャリアパス
薬剤師のダブルライセンスは調剤薬局でのキャリアの可能性を大きく広げます。別の分野の知識を持つことで、店舗運営や地域貢献など、より広い視点で薬局の仕事に関われるようになるからです。調剤薬局では以下のようなキャリアパスが考えられます。
- 管理栄養士の資格を生かし、服薬指導と栄養相談を行う
- 中小企業診断士やMBAの知識を生かし、薬局長やエリアマネージャーとして店舗運営を担う
- 取得した資格にもとづく専門相談会や健康イベントを企画・運営する
- 在宅医療に特化し、看護師などの知識を生かして医療スタッフとの連携をスムーズに進める
- 本社の管理部門へ異動し、経営企画や新規事業開発など他資格と専門性を合わせた業務に挑戦する
取得した資格を生かせば、調剤薬局を起点に地域医療や経営、企画などの多様な分野で活躍の場を広げられます。
病院や医療施設でのキャリアパス

病院や医療施設でダブルライセンスを生かすと、薬剤師の専門性を超えた多様なキャリアを築けます。薬剤師が他の分野の資格を持つことで、チーム医療でより重要な役割を担い、病院全体の運営にも貢献できます。病院や医療施設でのキャリアパスと活用法は以下のとおりです。
- 看護師資格
- 患者の状態を理解し、専門的な服薬指導や副作用のチェックを行える
- 管理栄養士資格
- 栄養サポートチーム(NST)において、薬と栄養の両面から患者を支える役割を担える
- MBAや中小企業診断士
- 薬剤部の管理職や病院の経営に関わる部門で活躍できる
- データサイエンティスト
- 院内の薬に関するデータを分析し、医療の質の向上や病院経営の改善に役立てられる
- 治験コーディネーター(CRC)
- 薬剤師の知識を生かし、病院内で行われる新しい薬の開発をサポートできる
病院や医療施設では薬剤師の資格と取得した資格を組み合わせれば、より専門的な役割を担えます。
独立や開業のキャリアパス
ダブルライセンスを取得した薬剤師は、組織に属さずに独立や開業を目指すキャリアパスも視野に入ってきます。薬剤師の知識に別のスキルを掛け合わせると独自のサービスを提供でき、自分だけのビジネスを始められます。薬剤師が独立や開業を目指すキャリアパスは以下のとおりです。
- 中小企業診断士:経営相談薬局の開業
- 行政書士:開業コンサルタント
- 管理栄養士:地域密着型薬局の立ち上げ
- ITスキル:システム開発で起業
- フリーランス:薬事コンサルタント・メディカルライター
薬剤師の資格と他の専門性を組み合わせれば、独立・開業によって自分の強みを生かした働き方を実現できます。
薬剤師のダブルライセンスで活躍の幅を広げよう

薬剤師がもう1つの資格を持つダブルライセンスは、キャリアの可能性を大きく広げる強みとなります。薬剤師の専門性に他分野のスキルが加わることで、ケアの質が向上し、独立・開業など多方面での活躍が期待できます。
学習スケジュールを立てて計画的に取り組めば、仕事や家庭、子育てと両立しながらでもダブルライセンスの取得は可能です。自己分析とキャリアプランの設計を行い、自分に合った資格を見つけることから始めましょう。


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