薬剤師におすすめの就職先とは？自分に合う職場を見つけるポイントも解説

• 今の職場以外にどんな就職先があるのか知りたい
• 子育てと両立できる薬剤師としての働き方を探している
• 薬剤師の年収に不安があり、将来のキャリアプランも描きにくい

薬剤師の資格を生かせる職場は多様にあります。しかし、選択肢が多すぎて自分に合う就職先がわからないと感じる薬剤師は多いはずです。

薬剤師が就職先を決める際は自己分析によってキャリアの軸を定め、さまざまな選択肢を比較検討しましょう。記事の内容を参考に自分の優先順位や就職先の将来性を見極め、後悔のない就職を実現してください。

薬剤師が活躍できるおすすめの就職先8選

薬剤師が活躍できるおすすめの就職先として以下の8選を紹介します。

• 調剤薬局
• ドラッグストア
• 病院
• 製薬企業
• 公務員薬剤師
• 大学や教育機関
• CRO
• 食品メーカー

調剤薬局

調剤薬局は全国に数多くの求人があり、薬剤師にとって代表的な就職先です。調剤や服薬指導、薬歴管理などが調剤薬局で働く薬剤師の主な業務です。調剤薬局での仕事は患者と直接コミュニケーションを取る機会が多く、地域医療に貢献できるやりがいも感じられます。

調剤薬局で経験を積めば、管理薬剤師やエリアマネージャーに昇格したり、将来的には独立開業したりなどのキャリアアップも可能です。正社員だけでなく、パートや時短勤務といった柔軟な働き方も調剤薬局では選べます。研修制度が充実しているため、初めての就職先や子育て後の復職の場に調剤薬局が選ばれることも多くあります。

ドラッグストア

調剤業務だけでなく市販薬(OTC医薬品)販売にも関わりたい薬剤師にとって、ドラッグストアは魅力的な就職先です。ドラッグストアで働く薬剤師は調剤や服薬指導に加え、顧客の相談に応じて市販薬や化粧品を提案する業務も行います。

ドラッグストアでは品出しや在庫管理などの店舗運営にも携わり、経営的な視点を養うことも可能です。ドラッグストアは調剤薬局や病院に比べて給与が高い傾向にあり、大手企業が運営している場合は福利厚生も整っています。薬剤師がドラッグストアで経験を積めば、店長やエリアマネージャー、本社の専門職などの多様なキャリアアップが可能です。

病院

病院はチーム医療の一員として専門知識を生かしたい薬剤師におすすめの就職先です。病院で働く薬剤師は医師や看護師といった他の専門家と協力しながら、患者の治療に深く関わります。最先端の医療に触れる機会が多く、スキルアップしやすい環境がある点も病院勤務の薬剤師の魅力です。

病院で働く薬剤師は専門性を高めて、がん専門薬剤師などの道を目指せます。病院勤務の薬剤師の給与は調剤薬局やドラッグストアより低い傾向にあり、当直や夜勤がある病院もある点は注意が必要です。子育て中の薬剤師は、院内に保育所がある病院や時短で働ける制度が整っている病院を選ぶことがおすすめです。

製薬企業

製薬企業は薬剤師が新薬開発などを通じて医療の発展に直接関われる、社会貢献度の高い就職先です。製薬会社で働く薬剤師は以下の業務を担います。

• 薬の開発
• 薬の情報提供・収集
• 医療機関で使用する資料の作成
• 医師からの高度な質問に対する回答サポート
• 薬の品質管理
• 法規制や行政手続き

製薬企業で働く薬剤師の年収水準は全体的に高く、福利厚生も充実している傾向があります。土日祝日休みが基本となり、ワークライフバランスをとりやすい点も製薬企業勤務のメリットです。製薬企業の薬剤師は専門性が高く求人数が限られているため、他の職場に比べて転職の難易度は高い傾向があります。

公務員薬剤師

公務員薬剤師は国や地方自治体の一員として、人々の健康を支える重要な役割を担う仕事です。公務員薬剤師の勤務先は都道府県庁や保健所、公立病院など多岐にわたります。医薬品・食品の許認可や環境衛生・感染症対策、衛生研究所での試験検査などが公務員薬剤師の主な業務です。

公務員薬剤師になるためには公務員試験の合格が必須で、採用枠も少ないため、就職の難易度が高い点には注意が必要です。公務員薬剤師には数年ごとに部署移動や転勤がある点も覚えておきましょう。

大学や教育機関

大学や教育機関は薬剤師の知識を生かして活躍できる就職先です。大学の薬学部で教員や研究者になれば、講義や実習指導、学生の研究サポートを通じて次世代の薬剤師を育てるやりがいを感じられます。小・中・高等学校の「学校薬剤師」として、医薬品の管理や薬物乱用防止教育を行う働き方もあります。

大学で働く薬剤師は夏休みなどの長期休暇が取得しやすく、子育てとの両立やワークライフバランスの確保ができる点が魅力です。大学教員のポストは少ないため、博士号や豊富な研究実績を持つ薬剤師のみが選ばれる狭き門と言えます。

CRO

CRO(開発業務受託機関)は新薬開発の最前線で専門性を高めたい薬剤師におすすめの就職先です。CROとは製薬会社の代わりに、新しい薬が安全で効果があるかを確かめる「臨床試験(治験)」の一部を担う企業を指します。薬剤師はCROで臨床開発モニターやデータマネジメント、PV(※)などの業務を担います。

一般的な調剤薬局やドラッグストアに比べて、給与水準が高い傾向にある点はCRO勤務の魅力です。在宅勤務やフレックスタイム制度を導入している企業が多く、仕事とプライベートの両立がしやすい点もCRO勤務の薬剤師の特徴です。

※ PVとは、医薬品の安全性を監視・評価し、副作用などのリスクを最小限に抑えるための活動のことです。

食品メーカー

食品メーカーでは薬剤師が持つ医薬品の専門知識を生かして、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品の開発が行われています。

大手企業ではカレンダー通りの休みが取れる点や、充実した福利厚生が整っている点も食品メーカー勤務の薬剤師の大きな魅力です。

薬剤師の年収

薬剤師の年収について以下のポイントに分けて解説します。

• 就職先別の平均年収
• 地域による年収の違い
• 勤務年数による年収の違い

就職先別の平均年収

薬剤師の年収は就職先によって大きく異なります。それぞれの職場で求められる専門性や仕事内容は違うため、給与水準にも差が生まれるからです。就職先ごとの平均年収と特徴を以下にまとめました。

就職先	平均年収	特徴
調剤薬局	450～650万円	役職や働く地域によって給与が異なる
ドラッグストア	500～700万円	役職に就くと高給与が目指せる
病院	400～650万円	初任給は低めだが、経験を積むごとに上がっていく
製薬企業	600～1,000万円	MRや研究開発などの職種ごとに給与が異なる
公務員薬剤師	400～700万円	給与は年功序列で安定している
大学や教育機関	400～800万円	助教や教授などの役職で給与が大きく異なる
CRO	500～800万円	成果や英語力によって高収入が得られる場合がある
食品メーカー	450～700万円	会社の規模によって給与水準が異なる

地域による年収の違い

薬剤師は同じ仕事内容でも、地域の違いで年収に100万円以上の差が生じることがあります。都市部よりも薬剤師が不足している地方の方が、年収が高くなることが一般的です。

同じ都道府県内でも、中心部より郊外や離島で働く薬剤師の方が給与は高くなる傾向があります。転職を考えている薬剤師はUターンやIターンで地方への就職先を目指すことも一つの手です。

勤務年数による年収の違い

薬剤師の年収は勤務年数が長くなるにつれて上がっていく傾向があります。経験を積むことで薬剤師としてのスキルが向上し、より責任のある仕事を任されるようになるからです。勤務年数による薬剤師の年収の目安は以下のとおりです。

• 1～3年目：400～550万円
• 4～10年目：500～650万円
• 10年以上：700万円以上

薬剤師の年収は50代でピークを迎え、以降は少しずつ下がっていくことが一般的です。調剤薬局やドラッグストアの昇給は緩やかである一方、製薬企業は成果次第で大幅に給与アップするなど、就職先による違いもあります。

薬剤師が自分に合った就職先を選ぶコツ

薬剤師が自分に合った就職先を選ぶコツは以下の5点です。

• 自己分析でキャリアプランを明確にする
• 情報収集や企業研究を徹底する
• 職場の雰囲気が良いか確かめる
• 自分の優先順位を明確にする
• 就職先に将来性はあるか見極める

自己分析でキャリアプランを明確にする

薬剤師が自分に合った就職先を見つけるには、まず自己分析でキャリアプランをはっきりさせる必要があります。自分を深く理解すると、数多くある求人情報に惑わされずに就職先を選べるようになります。自己分析では以下の点を明確にしましょう。

• やりがいを感じる分野
• ストレスを感じること
• 自分の強み・弱み
• 仕事に求める条件
• 5年後、10年後の理想像
• 将来のライフプラン
• 興味があること
• 保有資格

情報収集や企業研究を徹底する

情報収集や企業研究を徹底すれば求人票だけではわからない企業の実態が見え、入社後のミスマッチを防げます。情報収集の方法と注目するポイントは以下のとおりです。

情報収集の方法	注目するポイント
公式サイトを調べる	福利厚生、産休・育休の取得実績など
転職エージェントから情報を聞く	非公開求人やエージェントだけが知っている内部情報
口コミサイトを参考にする	残業時間や人間関係など、実際に働いている人や辞めた人の本音
IR情報や業界ニュースを読む	会社の経営状態や将来性
応募先の見学に行く	顧客層や職場の雰囲気
説明会やセミナーに参加する	採用担当者や現場の薬剤師からの情報

研修制度や資格取得支援の有無なども、就職先の働きやすさを見極める重要な要素です。さまざまな情報を集め多角的に企業を研究すれば、自分に合った就職先を見つけられます。

職場の雰囲気が良いか確かめる

薬剤師が就職先で長く働き続けるためには、職場の雰囲気の良さも欠かせない要素となります。給与や勤務時間などの条件が良くても、職場の雰囲気が合わないと大きなストレスを感じ、仕事への意欲低下にもつながります。

求人票を見る際は写真や紹介文に注目し、職場の様子を読み取りましょう。職場見学を依頼して業務風景やスタッフ間のコミュニケーションの様子を見ることも良い方法です。面接時には産休・育休の取得実績や、急な休みに対するサポート体制などについて具体的に質問することがおすすめです。

自分の優先順位を明確にする

薬剤師が自分に合った就職先を見つける際は、自分の優先順位をはっきりさせましょう。すべての希望を完璧に満たす職場を見つけることは難しいからです。以下の項目について優先順位を決めておくと、就職先の譲れない点と妥協できる点が明確になります。

• 給与・年収
• 休日・休暇
• 勤務地
• 子育て支援
• キャリアアップの機会
• スキルアップの機会

就職先に将来性はあるか見極める

薬剤師が自分に合った就職先を選ぶうえで、将来性を見極めることは欠かせません。社会や医療のニーズは常に変化しており、薬剤師に求められる役割も多様化しています。たとえば、在宅医療の拡大やAI・デジタル技術の導入に伴い、薬剤師には新しい形の医療支援が求められていることが現状です。

時代の変化に対応できる企業でなければ、薬剤師として安定して働き続けることは困難になります。就職先を検討する際は企業の経営基盤や業績の安定性、将来の事業展開の方向性などを確認しましょう。

教育体制やキャリア支援の充実度、職場の風通しの良さといった「働きやすさ」に関する要素も見逃せません。さまざまな要素を総合的に見極め、自分のキャリアを安心して託せる就職先かどうかを判断しましょう。

薬剤師として活躍できる就職先を見極めて理想のキャリアを築こう

薬剤師として活躍できる就職先には調剤薬局やドラッグストア、製薬企業などがあります。薬剤師として理想のキャリアを築くには、多様な選択肢から自分に合った就職先を慎重に選ぶことが必要です。納得のいく就職先を見つけるために、まず自己分析で将来への希望を明確にし、就職先の情報収集を行いましょう。

粘り強く就職活動を行えば、自分に合った就職先は見つけられます。薬剤師としてのやりがいを感じられる就職先を見極め、理想のキャリアを目指しましょう。