
- 薬剤師を辞めて違う仕事がしたい!
- 患者さんからのクレームで心が折れそう..
- 自分らしく働ける場所があるのでは?
薬剤師の仕事に対して悩みやストレスを抱え、ほかの仕事に就きたいと考えるのは珍しくありません。
ですが、6年かけて手に入れた薬剤師免許。
長い時間とお金をかけて手に入れたのに、薬剤師を辞めるのはもったいないと思い、薬剤師を辞められない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、薬剤師の資格を活かせる9つの仕事を紹介し、異業種転職を成功させるコツもお伝えします。
この記事を読むことで、薬剤師のスキルを活かせる異業種について理解し、自分にあった仕事が見つけられます。
薬剤師を辞めて違う仕事がしたいと考える理由
薬剤師を辞めて違う仕事がしたいと考える、主な理由は以下の4つです。
人間関係の問題
薬剤師を辞めたいと思う理由のほとんどが人間関係の問題です。人間関係のトラブル要因を以下にまとめました。
人間関係トラブルの要因
- 物理的に狭く閉鎖的な職場環境
- 上司やスタッフからのハラスメント
- 患者さんからの厳しい言葉・クレーム
調剤薬局や院内の薬剤部は、職場環境が物理的に狭く、行動範囲も限られます。
このような閉鎖的な職場環境下では、性格が合わないスタッフとのコミュニケーションだけでもストレスを感じてしまいます。
一部の職場では、嫌がらせや高圧的な態度を見せる管理薬剤師や調剤事務がいるのも事実です。
そのような環境下で、患者さんから心ない言葉を受けてしまうと精神的に耐え切れず「辞めたい」と思ってしまいます。
» 薬剤師が辞めたいと感じるプレッシャーについて
労働環境の厳しさ
労働環境の厳しさも薬剤師を辞めたくなる理由のひとつです。薬局に限らず、マンパワー不足の病院やドラッグストアは少なくありません。

私が経験したブラックな労働環境を以下にまとめました。
ブラックな労働環境
- 残業時間が月40時間を超える
- 昼休憩中もまともに取れない
- 薬剤師1人でオンコール待機
薬剤師が少ない職場の場合、休みが取れない・取りにくいため、心身ともに疲れてしまいます。
相談できる薬剤師やスタッフがいないと、孤独を感じてしまうため、辞めたいという思いが強くなるのは仕方がないことです。
キャリアの限界
キャリアに限界を感じて「辞めたい」と思う薬剤師も数多くいます。

このような不満・悩みを特に抱えやすいのが薬局薬剤師です。
ルーチンワークばかりの毎日を過ごし、自身の成長を感じられない薬剤師は少なくありません。
管理薬剤師やエリアマネージャーなど、キャリアアップの枠が少なく、昇進できる薬剤師は一握りです。
給料アップのチャンスも少ないことから、薬剤師を辞めて違う仕事がしたいと考えるのは自然な流れといえるでしょう。
将来の不安
薬剤師業界に対する将来の不安も薬剤師を辞めたいと思う要因です。
薬剤師業界の不安要素
- 社会保険制度の限界
- 薬剤師の飽和
- AI技術の進歩
社会保険制度が破綻してしまうと、薬剤師の収入源は最悪の場合ゼロになります。

首都圏や地方都市では薬剤師は充足しており、一部の地域では飽和状態といわれています。
AI技術の進化・導入によって、機械が行える対物業務はどんどん増える一方です。
超高齢社会に突入し、人口減少がはじまった現状を考えると、将来に不安を感じる薬剤師がほとんどではないでしょうか。
社会的なニーズはもちろん、現場で使える人材でなければ、薬剤師として生き残れません。
» 【薬剤師の将来性】必要とされる人材・スキルについて詳しく解説!
薬剤師を辞めて違う仕事に転職するメリット・デメリット
薬剤師をやめて転職するメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
メリット

薬剤師から違う仕事への職種は新しい挑戦です。これまでとは異なる視点から医療や健康に関わることで、新たなやりがいの発見につながります。
転職する業種によっては、薬剤師よりも高い年収が得られる可能性もあるのが最大のメリット。
薬剤師の知識をベースに、マーケティングやデータ分析、ライティングなどの新たなスキルを身につけられます。

ライフワークバランスを重視するなら、土日祝日が休みで残業が少ない業種で働きましょう。
デメリット

薬剤師を辞めて違う仕事に転職することで、安定性を失ったり、転職活動が成功しなかったりする可能性もあります。

その結果、収入が一時的に減少することも考えなければなりません。
いくら薬剤師としての経験があっても未経験の分野では新入社員と同じです。
新しい仕事に慣れるまでストレスを感じるのはもちろん、待遇や給与に関しても、はじめのうちは何事も経験と思って覚悟する必要があります。
薬剤師を辞めて違う仕事へ転職したい人におすすめの仕事

薬剤師を辞めて違う仕事へ転職したい人におすすめの仕事は以下の通りです。
医薬情報担当者(MR)
厚生労働省の統計調査によると、MRの平均年収は579.5万円です。薬剤師の専門性を活かせる営業職といえるでしょう。
» 令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省
MRは、経験とともに年収アップが期待できるため、製薬業界でのキャリア形成に適しています。
治験コーディネーター(CRC)

CRCばんくの調査によると、CRC未経験者の初年度年収は、350~450万円です。
経験を重ねるごとに年収は上がり、管理職まで昇進すると900万円ほどもらえる企業もあります。
» 治験コーディネーターの給与・年収|CRCばんく
マイナビコメディカルの求人情報によると、治験コーディネーターの平均年収は約370~430万円、CRCばんくの調査では未経験者の初年度年収は350~450万円程度となっています。
CRCがいるからこそ、適切に治験は行えます。薬剤師の知識も活かせるため、やりがいある仕事といえるでしょう。
» 治験コーディネーターの仕事内容など|ジョブメドレー
臨床開発モニター(CRA)
薬剤師とCRAの年代別の年収を以下の表にまとめました。
年収 | ||||
---|---|---|---|---|
年代 | 20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50歳~ |
CRA | 521万円 | 628万円 | 788万円 | 849万円 |
薬剤師 | 423万円 | 586万円 | 636万円 | 608万円 |
国内企業か外資系企業かによって、年収や勤務内容・忙しさは異なりますが、新薬の開発に欠かせない大切な仕事です。
CRAとして働いていたaikoさんから当時の話をインタビューした記事もあります。あわせてご覧ください。
» 【独自取材】元CRAのaikoさんから仕事内容ややりがいなどインタビュー!
研究職
新薬の開発や既存薬の改良など、創薬分野で活躍でき、専門性が高く将来的にも価値のあるキャリアです。企業や研究機関によって年収は大きく異なりますが、550-650万円程度が相場です。(業界相場)
メディカルライター
臨床試験の報告書、薬事申請書類、医学論文などの作成を担当し、薬剤師の専門知識を活かしながらライティングスキルも身につけられます。フリーランスや在宅ワークも可能で、経験により450-700万円程度の年収が期待できます。(業界相場)

研究職やメディカルライターの平均年収は業界相場です。仕事内容が多岐に渡り、個人の仕事の実力や範囲で収入に大きく差がでます。
公務員薬剤師
厚生労働省、都道府県庁、保健所などで医薬品の承認審査や薬事監視を担当し、公務員としての安定性と専門性を両立できます。給与は公務員給与表に基づき、400-550万円程度が相場です。
公務員薬剤師について詳しく知りたい方は、以下の記事を御覧ください。
公務員薬剤師とは?基本情報からメリット・デメリットまで徹底解説!
教員や講師
臨床経験のある薬剤師は実践的な知識を伝えられる貴重な人材として評価されます。大学教員の場合、以下のような年収が一般的です。
教授: 平均年収約1070万円
准教授: 平均年収約860万円
講師: 平均年収約720万円
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査
学校薬剤師という選択肢
学校薬剤師として小・中・高等学校の環境衛生管理に携わる道もあります。年に数回、多くとも月に1回ペースでの勤務のため副業として行うことが一般的です。
薬品管理や環境測定、健康相談など、薬剤師の専門知識を教育現場で活かせる魅力的な仕事です。

理化の実験で使用する化学薬品が保管されており、これらの安全な保管、適切な使用法と保健指導のために学校薬剤師の配置が義務付けられているのです◎
スポーツファーマシスト
ドーピング防止の観点から適切な薬物療法をサポートし、オリンピックなど国際大会に関わる機会もあります。専門性が高く、400-600万円程度の年収が期待できます。ただ、実態としては 多くの方が本業の薬剤師と兼業で活動しています。
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査

うっかりドーピングの防止が大切な役割です。
データサイエンティスト
医療知識のあるデータサイエンティストは市場価値が高く、プログラミングや統計学のスキル習得が必要ですが、600-900万円の高年収も期待でき、リモートワークが可能な職場も多いです。
具体的な業務内容
治験データ解析、医療AIの開発、薬事申請データの分析など、薬剤師の医療知識とデータ分析技術を組み合わせた専門業務を担当します。薬剤師としての臨床経験が大きなアドバンテージになる分野です。
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
薬剤師を辞めて違う仕事への転職を成功させるコツ
転職を成功させるコツについて、以下の手順で詳しく解説していきます。
スキルの棚卸しをする

転職成功の第一歩は、自分のスキルと経験を正確に把握することです。
薬剤師の専門知識、患者対応で培ったコミュニケーション能力、調剤業務での責任感、医療チームでの連携経験など、様々なスキルを具体的なエピソードと共に整理しましょう。
転職の目的を明確にする

「なぜ転職したいのか」「転職先で何を実現したいのか」を明確にすることが重要です。
年収アップ、ワークライフバランス改善、新しい挑戦など、目的によって選ぶべき職種が変わります。
情報収集を徹底する

興味のある業界や職種について、仕事内容、求められるスキル、年収相場、キャリアパスなどを詳しく調べましょう。
実際にその職種で働く人に話を聞いたり、セミナーに参加したりすることでリアルな情報を得られます。
転職エージェントを活用する

薬剤師専門の転職エージェントを活用することで、一人では見つけられない求人情報や業界の内部事情を知ることができます。
履歴書作成サポート、面接対策、年収交渉の代行なども行ってくれます。
まとめ

- 人間関係の悩み
- 労働環境の厳しさ
- キャリアの限界感
- 将来への不安
転職を考える理由は人それぞれですが、これらの課題は新しい環境で解決できる可能性があります。
職種 | 平均年収 |
---|---|
医薬情報担当者(MR) | 579.5万円 |
治験コーディネーター(CRC) | 370-450万円程度 |
研究職 | 500-600万円 |
メディカルライター | 450-550万円 |
公務員薬剤師 | 640万円 |
教員・講師(大学) | 教授:1070万円 准教授:860万円 講師:720万円 |
スポーツファーマシスト | 400-600万円 |
データサイエンティスト | 508-637万円 |
MR治験関連職、研究職、メディカルライター、データサイエンティストなど、薬剤師の知識を活かせる職種は多岐にわたります。必ず、あなたに合った仕事で薬剤師の知識を生かせる分野があるはずです。

転職を成功させるためには、スキルの棚卸し、転職目的の明確化、情報収集、転職エージェントの活用が重要です。
今の状況に悩んでいるなら、まずは一歩踏み出してみてください。あなたの薬剤師としての経験は、思っている以上に多くの可能性を秘めています。
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