
また今日も、あの先輩に怒鳴られた..
調剤室の空気がピンと張り詰めたまま、誰も口を開かない。間違えた私が悪いのは分かっている。
でも、何度も人前で責められるたびに、「もう限界かもしれない」と心がささくれていく。
――“薬剤師の職場”って、どうしてこんなに息苦しいんだろう?
実は、同じような悩みを抱える薬剤師は少なくありません。
薬剤師の離職理由の多くは、人間関係のストレスです。
「性格がきつい」「怖い」「話しかけづらい」――そんな職場の空気に疲れ、やむなく転職を考える人が増えています。
本当に大切なのは「誰が悪いか」を決めることではなく、あなたが安心して働ける環境を見つけることです。
この記事では、
- 性格がきつい薬剤師が生まれる背景
- 実際に起こりがちなトラブルのパターン
- ストレスから解放される職場の選び方
を、現役薬剤師が実体験をもとに解説します。
性格がきつい人を変えることは難しくても、「関わり方」や「働く場所」を変えると、驚くほど心が軽くなります。
『転職=逃げ』ではありません。
我慢が限界になる前に、自分らしく働ける職場を探してみてください。
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薬剤師の性格がきつくなる原因は職場環境にあり!

「性格がきつい薬剤師」は、生まれつきそういう人と思われがちですが、職場環境が人をきつくさせてしまうケースは意外にも多いものです。

調剤業務は常に時間との戦いです。
ひとつの入力ミス、薬剤の取り違えが大きな事故につながるプレッシャーの中で「早く!」「間違えないで!」と強い口調になってしまう。
そんな毎日の積み重ねが、気づけば「きつい言い方しかできなくなっていた」という人も少なくありません。
薬剤師の現場には、特有の上下関係の厳しさがあったり、人手不足が慢性化したりしている職場もあります。
教育や引き継ぎの時間が十分に取れず、
「教える余裕がない」「自分もいっぱいいっぱい」という状況が続くと、後輩や新人への接し方がつい冷たくなってしまうものです。
薬局や病院など職場によっても温度差があります。

どの現場にも、心をすり減らす見えない圧力が存在します。
必ずしも、『性格のきつい薬剤師=悪い人』というわけではありません。
その裏には「責任感」「焦り」「孤独」「疲れ」が潜んでいることが多いです。
環境や関わるスタッフが変われば、表情や仕事ぶりも驚くほどやわらぐ薬剤師を、私自身も見てきました。
だからこそ、「どうしてあの人はあんなにきついんだろう?」と感じたら、少しだけその薬剤師の背景に目を向けてみてください。
もし、あなた自身が「最近きつくなってきたかも」と思うなら、環境を見直すサインかもしれません。
【実録】私が出会った「性格がきつい薬剤師」5選

私もこれまで、いくつもの現場でさまざまなタイプの「性格がきつい薬剤師」と出会ってきました。
ここでは、その中でも印象に残っている5人のエピソードを紹介します。
見て見ぬふりを決め込む冷静系――病院薬剤師のY主任
私がこれまで出会った中で、最も性格がきつい薬剤師が、病院勤務時代のY主任(女性)でした。
新卒で入職した公務員病院で、新人として毎日必死。そんな私の直属の主任がYさんだったのです。
セントラル業務は、午前中はフル稼働。
とにかく忙しく、人手が少しでも足りないと現場が一気に混乱します。
通常は新人と主任が中心になり、手が空いた病棟担当者が交代でヘルプに入る体制でした。
ところが…。
ほかの病棟担当者が積極的に手伝ってくれる中、Yさんだけ一切動かない。
どんなに忙しくても、「今ちょっと手が離せないの」と言い訳をして、まるで他人事のように病棟にこもっていました。
しかし実際は、手が離せないのではなく、セントラル業務が「できない」のをごまかしていたようです。
あとから聞いた話では、彼女は以前から先輩や看護師との関係も悪く、業務の評価が下がって比較的仕事が少ない婦人科病棟へ配置換えになっていたとか。
そのときの私は、「どうして主任なのに、新人よりも働かないんだろう」
と、怒りと失望でいっぱいでした。
ただ今になって振り返ると、彼女の冷たさの裏には、仕事への自信のなさや孤立感があったのかもしれません。
知識マウントが大好き――薬局薬剤師のS先輩
続いての舞台は、調剤薬局です。
ここで出会ったのが『知識マウントおじさん』こと、S先輩。「俺、もともと医学部志望だったんだよね」が口癖でした。
確かに知識は豊富で、質問すれば何でもスラスラ答えてくれます。
薬理系の話になると目を輝かせ、最新の論文まで引っ張り出してくるほど。ただ…
肝心の投薬業務になると、まったく動かないのです。
週明けの月曜日、待合室が患者さんでごった返しになっている中でも、S先輩はカウンターの奥で腕を組み、他人の仕事を評論。

先輩、少し手伝ってもらえますか?
と声をかけ、返ってきた言葉は衝撃的でした。
誰にでもできる仕事は好きじゃないんだよね。
..いや、じゃあ医者になってくださいよ(笑)
S先輩はプライドが非常に高く、自分の専門性を誇示することで、存在価値を保っていました。
心のどこかで『誰にでもできる仕事=自分の地位を脅かすもの』と感じていたのかもしれません。
知識があること自体は素晴らしいと思います。
ただ、それを現場で『どう生かすか』が本当の実力ではないでしょうか。
結局のところ、S先輩のように「頭は動くけど、手は動かない」タイプが職場の信頼を一番失うのだと痛感しました。
怒鳴り散らす権威型――看護師に高圧的だった薬剤師M

2つ目の病院勤務時代にも、忘れられない性格がキツい薬剤師がいました。
出向で週に1~2回だけヘルプに来ていた、薬剤師のMさんです。
このMさん――とにかく態度が大きい。
常勤でもないのに、まるで自分が現場のリーダーかのように振る舞い、
指示も我流、報告もなし。後処理に追われることが何度もありました。
極めつけは、ある日の出来事。
新人看護師さんが薬剤部へ質問に来たとき、Mさんは突然、声を荒らげて怒鳴ったのです。
そんなことも知らないのか!
相手は1年目の看護師さんです。
通常であれば、優しく教えてあげれば何の問題もありません。
なのに、あの剣幕では誰だって萎縮してしまいます。
案の定、後日「薬剤師が怒鳴った」と看護部からクレームが入りました。
その時の私は、とても腹だたしい気持ちだったのを忘れられません。
患者さんだけでなく、同じチームの仲間を傷つける行為は、人としてアウトです。
最終的に、私はこの件を病院長に報告。
Mさんは派遣契約を打ち切られることになりました。
あのときの病院長に対して平謝りする姿を見て、「立場が人を偉くするわけじゃない」と痛感。
薬剤師という肩書きよりも、人としての在り方が問われる瞬間でした。
パワハラ暴君?――二面性のある管理薬剤師A
次に紹介するのは、管理薬剤師のAさんです。
彼は薬剤師仲間からの評判がよく、仕事も真面目。私も最初は「頼れる上司だな」と思っていました。
ところが、事務員さんたちの間では、『怖い人』として有名だったのです。

え、あのAさんが? そんな人には見えないけど…。
そう思っていたのも束の間、噂は事実でした。
Aさんは立場の弱い相手には態度を一変させるタイプだったのです。
強い口調で怒鳴りつけたり、時には机を叩く、さらには物を投げつけることまであったそうです。
まさに、典型的なパワハラ。
表向きは温厚で頼もしいリーダーでも、裏では職場を萎縮させる恐怖の管理者だったのです。
結局、その行為は社長の耳にも入り、Aさんは解雇処分になりました。
立場や肩書きで態度を変えることほど、人としての信用を失う行為はありません。
どれだけ仕事ができても、周囲を傷つける言葉や態度を取ってしまえば、『信頼される薬剤師』ではいられないのです。
権利主張が止まらない――プライド高めの後輩薬剤師K
最後に登場するのは、私の中で“最強の後輩”と呼んでいる女性薬剤師Kさん。
これまで出会った中でも、性格のキツさNo.1級でした。
とにかく、先輩の話をまったく聞ききません。
アドバイスをしても、返ってくるのは「でも私、こう思うんで」
自己判断で行動してはミスを連発し、フォローするこちらが毎回ヘトヘトでした。
さらに厄介だったのは、自分の権利ばかり主張する姿勢です。
出勤時間、休憩時間、休日申請――
ことあるごとに規定を盾に取り、少しでも注意すると「それっておかしくないですか?」と反論してくるんです。
その一方で、事務スタッフの優しい言葉だけは素直に受け入れるという二面性も。
先輩との信頼関係を築こうとせず、「自分は間違っていない」という姿勢を貫く彼女に、次第に職場全体の空気もピリピリしていきました。
結果的に、周囲の先輩たちは精神的に疲れ果て、
私自身も体調を崩して倒れてしまいました。

どんなに知識があっても、チームとして協調できなければ職場は回りません。
彼女の存在は、まさにそれを痛感させられる出来事でした。
性格がきつい薬剤師と上手く付き合う方法

ここでは、現場で実際に効果があった「心を守る3つの対処法」を紹介します。
ポイントは、相手を変えようとしないことです。
自分の反応を変えるだけで、驚くほどラクになります。
基本的には聞き流してOK
性格のきつい薬剤師に対しては、真っ向から受け止めないのが一番の防御策です。
これ、シンプルですが本当に効果的です。
性格がきつい薬剤師の多くは、プライドが高く、自己主張が強め。
悪気なく人を傷つけるような言葉を投げかけてくることもあります。
そんな相手に真面目に反応していたら、どんなに心が強い人でも、いずれメンタルが持ちません。

あの人、また変なこと言ってるな〜。
これくらい軽く受け流すのがちょうどいいです。
相手はあなたを傷つけるつもりがなくても、
結果的にストレスを与える自覚なき攻撃者であることが多いです。
だからこそ、「まともに相手をしない」「心に入れない」ことが何よりの対処法になります。
聞き流すことは、逃げではありません。
自分の心を守る、立派なスキルです。
しつこい人は「はい」と言っておこう
性格がきつい薬剤師の中には、こちらが聞き流しても、
「ちゃんと聞いてる?」
「私の言ってること分かる?」
さらに食い下がってくるタイプがいます。
そんな相手には、とにかく早めに話を終わらせることを最優先しましょう。
反論したり正論を返したりしても、火に油を注ぐだけです。

はーい。
(うるさい人だなぁ)
――これで十分です。
「はい」「そうですね」「確認しておきますね」
たった一言で、相手のマウント欲を満たしつつ、自分の心を守れます。
心理学では、こうした対応を『Yesセット』と呼び、無用な衝突を避けるためのテクニックとされています。
ムダな会話や感情的なやり取りに巻き込まれるのは、時間も心も消耗するものです。
自分のエネルギーを守るための「はい」だと思って、さっと会話を切り上げてしまいましょう。
それでもダメなら無視するのもアリ
もう限界だと感じたら、無理に関わらない勇気を持ちましょう。
最悪、業務上の最低限のやり取り以外は無視でOKです。
正直なところ、尊敬できない人に真剣に向き合う必要はありません。
何を言っても通じない相手、理不尽に人を攻撃する相手に、あなたの大切な時間やエネルギーを使うのはもったいないことです。

性格のきつい薬剤師を敵に回しても困らないものですよ。
性格の悪い人は、誰にとってもやっかいな存在。
あなた一人が嫌っているわけではなく、多くの人が距離を置きたいと思っています。
「無視」は冷たい行為ではなく、自分を守るための護身術です。
心を消耗させる関係から一歩引くことではじめて、冷静さと仕事の楽しみを取り戻せます。
性格の良い薬剤師もいる!

ここまで性格の悪い人の話ばかりで嫌な気分になったかもしれません。
ですが、性格の良い薬剤師も存在します!
実際に出会った人たちを少しだけ紹介しますね。
雰囲気づくりの天才!笑顔が素敵なMさん
出会った後輩の中で素敵だと思った女性薬剤師のMさん。
仕事ができるとか頭のいいタイプの子ではありませんでしたが、とても謙虚な子で、どんな人に対しても低姿勢。
笑顔が絶えないので、周りも自然と癒される後輩でした。
注意を受けても素直に聞き入れてくれるし、仕事のメリハリもしっかりしています。
注意を受けた相手にも話しかけてくるので、職場内が悪い雰囲気になることはありませんでした。
後輩ではありましたが、人としてしっかりした子だな、と尊敬しているひとりです。
漢気!自己犠牲もいとわない同期のT君
同期入職したT君は、心のあり方がとてもかっこいいのが印象的。
「看護師さんが困れば患者さんが困る」
そう言って、積極的にスタッフと連携を取りに行く彼は、信頼も厚く頼りにされる人材でした。

俺も負けてられない!
そう思って、彼のいいところを真似していましたね。
同い年だけれど大人っぽい考え方で、こんなに尊敬できる奴はいないと断言できる人柄でした。
困ったら俺に言え!頼れる先輩Hさん
最初に勤めた病院の男性薬剤師のH先輩。

僕はこの人のおかげで考え方が変わりました。
長い目線で長期的に指導してくれた恩人です。
とにかく、「何か困ったら俺に言え」と言ってくれる頼もしさ。
それが、休日であろうと、夜間帯であろうと関係ありません。
損得勘定で動くような人ではないところに感動しました。

H先輩が困っていたら、力になれるようになりたい!
そう思うくらい、たくさんのサポートをしてくれました。
先輩のおかげで、「誰かのために」と考えられるようになったのかもしれません。
まとめ

性格の悪い薬剤師に対しては、まともに相手する必要はありません。
基本的にはスルーして、「はい」と聞き流すくらいで大丈夫です。
嫌な人ばかりに思うかもしれませんが、素敵な薬剤師は必ずいます。
自分自身まで嫌な薬剤師にならないよう、距離を置いて仕事をしていきましょう!
『転職=逃げ』ではありません。
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