

また今日も、あの先輩にきつく言われた……。職場の人間関係に、もう疲れてしまった。
調剤室の空気が張り詰めたまま、誰も口を開かない。間違えた自分が悪いのは分かっている。でも、人前で責められるたびに、心がすり減っていく。
そんな毎日に疲れて、転職を考えている薬剤師の方もいると思います。
僕は、公立病院・調剤薬局・個人病院・在宅薬局と、4種類の職場で働いてきた薬剤師です。いまは在宅薬局で管理薬剤師をしています。その中で、性格がきつい薬剤師に何人も出会ってきました。
この記事では、僕が実際に出会った5人の話と、人間関係がつらいときの対処法、そして人間関係で転職を迷ったときの考え方をお伝えします。
この記事でわかること
- 僕が病院と薬局で出会った、性格がきつい薬剤師5人の実例
- 人間関係がつらいときの対処法5つ
- 人間関係を理由に転職していいかの線引き
- 転職先の人間関係を、入る前に確かめる方法
薬剤師の人間関係がきつかった相手5人|病院と薬局で出会った実例

まずは、僕がこれまでの職場で出会った5人を、職場ごとに紹介します。人に恵まれた職場にも、こういう人はいました。
公立病院:忙しくても手伝わない主任
新卒で入った公立病院は、信頼・尊敬できる人が多い職場でした。その中で、いちばん性格がきつかったのが、直属の主任でした。
午前中のセントラル業務(病院の調剤室でまとめて行う調剤)は、とにかく忙しい時間帯です。新人と主任が中心になり、手が空いた病棟担当者が交代でヘルプに入る体制でした。
ほかの病棟担当者が手伝ってくれる中、主任だけは一切動きません。どんなに忙しくても「今ちょっと手が離せないの」と言って、病棟にこもっていました。
そのときの僕は、「どうして主任なのに、新人よりも働かないんだろう」と、怒りと失望でいっぱいでした。
調剤薬局:知識マウントが大好きな先輩
調剤薬局で出会ったのが、ある先輩です。「俺、もともと医学部志望だったんだよね」が口癖でした。
知識は豊富で、質問すれば何でもスラスラ答えてくれます。ただ、投薬の仕事になると、まったく動きません。
待合室が患者さんでいっぱいの月曜日。カウンターの奥で腕を組んでいるその先輩に、「少し手伝ってもらえますか?」と声をかけました。返ってきたのは、この一言です。
「誰にでもできる仕事は好きじゃないんだよね。」

……いや、じゃあ医者になってくださいよ。
知識があること自体は、素晴らしいと思います。でも、それを現場でどう生かすかが本当の実力ではないでしょうか。
調剤薬局:二面性のある管理薬剤師
最初に働いた調剤薬局は、社長さんやスタッフさんに恵まれた職場でした。そこの管理薬剤師は、薬剤師の仲間からの評判がよく、仕事も真面目。僕も最初は「頼れる上司だな」と思っていました。
ところが、事務員さんたちの間では「怖い人」として有名でした。立場の弱い相手には態度が変わり、強い口調で怒鳴ったり、机を叩いたり、物を投げつけたりすることまであったそうです。
その行為は社長の耳にも入り、管理薬剤師は解雇になりました。
立場で態度を変えることほど、人としての信用を失う行為はありません。どれだけ仕事ができても、周りを傷つけてしまえば、信頼される薬剤師ではいられないと思います。
個人病院:看護師を怒鳴ったヘルプの薬剤師
個人病院には、常勤の薬剤師とは別に、週に1〜2回だけヘルプに来る薬剤師がいました。常勤でもないのに、まるで現場のリーダーのように振る舞い、指示は我流で報告もなし。後処理に追われることが何度もありました。
ある日、1年目の看護師さんが薬のことを質問しに来たとき、その薬剤師は突然声を荒らげました。
「そんなことも知らないのか!」
後日、看護部から「薬剤師が怒鳴った」とクレームが入りました。同じチームの仲間を傷つけることは、どんな理由があっても許されないと思います。
僕はこの件を院長に報告し、その薬剤師は契約を打ち切られることになりました。
個人病院:先輩の言うことを聞かない後輩
同じ個人病院には、最初、僕と先輩薬剤師の2人がいました。そこに入ってきたのが、後輩の薬剤師です。
とにかく、先輩の話を聞きません。アドバイスをしても、返ってくるのは「でも私、こう思うんで」。自己判断で動いてはミスをして、フォローするこちらが毎回ヘトヘトでした。
少し注意すると、「それっておかしくないですか?」と返ってくる。その一方で、事務スタッフの優しい言葉だけは素直に聞く、という一面もありました。
職場の空気はどんどん険悪になり、僕自身も体調を崩して倒れてしまいました。

最後は、後輩が院長に訴えを起こして退職。そのあと先輩も辞めて、薬剤師は僕ひとりになりました。

1人が入ってきたことで、職場の人間関係がここまで崩れるのかと思い知りました。ひとり薬剤師になってからの話は、薬剤師を辞めたいと思ったらの中で書いています。
薬剤師の人間関係がつらいとき|僕が大切にしている対処法5つ

5人の話を紹介しましたが、大切なのは「では、どうすればいいのか」です。5人と働いた経験から、僕が大切だと思う対処法を5つ紹介します。ポイントは、相手を変えようとしないことです。
対処法①:基本は聞き流す
性格がきつい人の言葉を、真正面から受け止めないことがいちばんの防御です。

あ、また言ってるな〜。
これくらい軽く受け流すのが、ちょうどいいと思います。聞き流すことは逃げではなく、自分の心を守るスキルです。しつこい相手には「はい」「確認しておきますね」で早めに話を終えましょう。
対処法②:感情と事実を分ける
きつく言われると、頭が真っ白になって「自分がダメなんだ」と思い込みがちです。
「きつく言われた」という感情と、「何を指摘されたか」という事実を分けて考えると、必要以上に傷つかずに済みます。指摘が正しければ直せばいい。言い方がおかしいだけなら、それは相手の問題です。
対処法③:味方を1人つくる

人間関係のストレスは、1人で抱え込むと何倍にも重くなります。同僚でも、別の店舗の薬剤師でも、外部の相談窓口でもかまいません。本音を話せる人を1人つくってください。
新卒の公立病院で僕を救ってくれたのは、「困ったら俺に言え」と言ってくれた先輩でした。休日でも夜でも関係なく、相談に乗ってくれる人でした。

あの先輩がいなければ、病院時代を乗り越えられなかったかもしれません。
対処法④:記録を残す
それでも状況が変わらず、相手の言動が明らかに度を越しているときは、記録を残してください。
- いつ、どこで、誰に、何を言われたか
- その場にいた人
- メールやチャットの画面の保存
管理薬剤師の件は、事務員さんたちの声が重なって社長に届きました。ヘルプの薬剤師の件は、看護部からのクレームという事実があったから、僕も院長に報告できました。感情ではなく、事実で伝える。そのために、記録が役に立ちます。
対処法⑤:環境を変えるという選択肢を持つ
①〜④は、いまの職場で乗り切るための方法です。でも、それだけでは限界があります。僕も後輩の件では、体調を崩すところまでいきました。
「いざとなれば辞められる」と思えるだけで、心の余裕は変わります。今すぐ転職しなくても、ほかの選択肢があると知っておくことが、自分を守ることにつながります。
薬剤師が人間関係で転職するか迷ったら|職場全体が合わないなら辞めていい
「性格が合わない人がいるだけで辞めていいのかな」と迷う方もいると思います。僕の考えをお伝えします。
特定の人が嫌なだけのとき
嫌な人がいるから辞める。次の職場にも嫌な人がいたら、また辞める。これを繰り返すと、転職が、嫌な人から離れるためだけの手段になってしまいます。この考えにも、一理あると思っています。
職場全体が合わないとき
一方で、職場全体が合わないなら、辞めるしかないと思います。
辞めたいという気持ちは、心の声です。その声に従っていい。ただ、次の職場を探す準備は、粛々と進めておきましょう。
まだ辞めると決められない人は、単発の派遣で、ほかの職場を1日だけ見てみるのもひとつの方法です。いまの職場の副業のきまりを確かめてから、考えてみてください。単発派遣のサービスは、ファルメイトの評判で紹介しています。
薬剤師の転職先の人間関係|見学で見てほしい3つ

転職するなら、次の職場で同じ思いをしないことが大切です。
求人票で分からない人間関係
給料や仕事の中身は、求人票に書いてあります。でも、職場の人間関係は書いてありません。
年収や仕事の中身で4種類の職場を比べた薬剤師の職場の種類でも、満足度を決めたのは「誰と働くか」でした。
いまの職場は、先方の都合で見学ができないまま入社しました。在宅の業務にはやりがいを感じていますが、同じ志を持つ仲間がいないことに、いまもストレスを感じることがあります。
見学で見てほしい3つ
人間関係が悪い職場かどうかは、見学で働いている人の様子を見るとヒントがあります。5人と働いた経験から、見てほしいところは次の3つです。
- 忙しい時間帯に、手の空いた人が手伝い合っているか
- 事務さんやパートさんへの話し方
- 薬剤師が何人いて、困ったときに相談できる相手がいるか
薬局の人間関係がしんどくて転職するなら、なおさら自分の目で確かめてほしいと思います。見学で聞く質問は、6か所見学した経験から調剤薬局の見学で聞く質問に並べました。
薬剤師の人間関係に疲れたときのまとめ|我慢だけが選択肢じゃない

性格がきつい薬剤師との向き合い方を、僕の経験からお伝えしました。
- 人に恵まれた職場にも、性格がきつい人はいる
- 対処法は、聞き流す・感情と事実を分ける・味方を1人・記録を残す・環境を変える選択肢を持つ
- 特定の人が嫌なだけなら、転職が手段になってしまうことも。職場全体が合わないなら辞めていい
- 辞めたい気持ちには従っていい。ただ、準備は粛々と
- 転職先の人間関係は、入る前に見学で確かめる
聞き流して乗り越えたこともあれば、体調を崩して倒れたこともあります。その経験から言えるのは、我慢だけが選択肢じゃないということです。
5人の話で書いたような職場を避けたいなら、見学の日程は転職エージェントに頼むと楽です。僕が2回使ったときの話はこちらです。

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