

在宅薬剤師に興味はあるけど..
きついとか、大変って聞くと不安になります。
正直に言います。在宅薬剤師の仕事は、きつい部分があります。僕自身、続けるか迷った時期もありました。

でも10年目のいま、在宅薬局で管理薬剤師を続けるという道を選択しました。
なぜなら、調剤薬局では味わえない「医療者として働いている」という手応えが、キツさや大変さを上回っているからです。
この記事では、10施設+個人宅20名をほぼ一人で担当している僕が、在宅薬剤師の「きつい」をごまかさずにお伝えします。
きれいごとは書きません。その上で、「それでも続けている理由」も正直にお話しします。
この記事でわかること
・在宅薬剤師がきつい・大変と感じる具体的な場面5つ
・調剤薬局と在宅薬局、「きつさの質」はどう違うのか
・きつさを乗り越えるコツと、それでも僕が続けている理由
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在宅薬剤師がきつい・大変と感じる5つの場面
はじめに、実際にきつい・大変だと感じている場面を5つお伝えします。
ネットの一般論ではなく、在宅薬局で3年働いた僕のリアルな実感です。
① 書類作成の量が想像以上に多い
在宅業務には、患者さんごとに多くの書類が必要です。
契約書・重要事項説明書の取り交わし、報告書の作成、計画書の更新。
訪問から薬局に戻ったあと、外来の処方せんをさばきながらこれらの書類を仕上げる必要があります。
1件の訪問で終わるのは服薬指導だけではありません。むしろ、訪問後の事務作業が在宅業務の半分を占めていると感じることもあります。
調剤薬局では処方箋を処理すれば仕事が完結しますが、在宅はその先に「記録と報告」がセットでついてきます。
ここが最初に「大変だな」と感じるポイントです。
② 在宅業務をほぼ一人で担っている
これは僕の職場の話ですが、在宅関連の業務はほぼ一人で担当しています。
薬剤師3名体制の薬局で、施設約15か所+個人宅約20名の在宅患者を抱えています。そのうち僕が10施設+個人宅全員を担当し、外来投薬は他の薬剤師がメインです。
体調を崩しても代わりがいない。急な訪問依頼があっても自分で対応するしかない。
「ワンオペ在宅」は、精神的にも体力的にもきつい場面があります。
ただし、すべての在宅薬局がこうではありません。複数の薬剤師で在宅を分担している薬局もあります。
そのため、転職時に勤務体制を確認しておくことが大切です。
③ 在宅医療に共感してくれる仲間がいない
個人的に一番しんどいのがこれです。
一緒に勤務するスタッフは病院経験者がほとんどおらず、在宅医療の面白さを共有できる相手がいません。「この患者さん〜〜だったんですよ」なんて話をしても、ピンときてもらえない。
在宅業務に対する温度差がある。これが孤独感につながります。
在宅薬剤師の「きつさ」は、業務量だけではありません。「一人で頑張っている」という感覚が積み重なることが、じわじわと精神的な負荷になります。
④ 患者さんとの距離が近いぶん、精神的な負荷がある
在宅の患者さんは70〜80代が中心で、終末期の看取りに関わることもあります。
調剤薬局では薬をカウンター越しに渡して終わりですが、在宅では患者さんの生活空間に入ります。寝たきりの方や、末期がんの方と、定期的に顔を合わせる日々が続きます。
担当していた患者さんが亡くなったとき、胸にくるものがありました。「もっとできることはなかったか」と考える夜もあります。
この精神的な負荷は、外来中心の調剤薬局ではほとんど経験しません。
在宅薬剤師ならではの「きつさ」です。
⑤ 調剤業務との両立が求められる
在宅専業の薬剤師は少数派。多くの場合、外来の調剤業務もこなしながら在宅訪問を行います。

僕の薬局では1日70〜120枚の処方箋が来ます。
その合間に在宅訪問のスケジュールを組み、移動し、訪問し、薬局に戻って書類を作成しなければなりません
在宅薬局では、時間管理・やりくりが常に求められます。
「午前中に3件訪問して、午後は外来をさばいて、夕方に報告書を仕上げる」。こんな日が週に何度もあると、体力的にもきつさを感じます。
調剤薬局と在宅薬局、どっちがきつい?
「在宅はきつい」と聞くと、「じゃあ調剤薬局のほうがラクなの?」と思うかもしれません。
でも、これは比較の軸が違います。きつさの「質」が違うんです。
調剤薬局のきつさ=「単調さ」と「閉塞感」
僕が調剤薬局で1年間働いたとき、毎日定時で帰れていたのに、なぜかしんどかったんです。
DO処方が半数以上。
かける言葉もテンプレート化していいきました。
「変わりありませんか?お大事にしてください」
同じ処方をさばき、定時で帰る日々..。
体はラクだけど、心が消耗していくような感覚でした。
「これを定年まで続けるのはつらい」と感じたのを覚えています。
在宅薬局のきつさ=「責任」と「孤独」
一方、在宅薬局のきつさは「体も心も使う」タイプです。

業務量は確かに多い。
判断を一人で下す場面も多いです。
でも、調剤薬局にはなかった「手応え」がある。「今日もちゃんと医療者として働けた」という実感、仕事の中で成長しているのが自覚できます。
結局、どちらを選ぶ?
「安定を取るか、やりがいを取るか」という二択ではありません。
自分が「きつい」と感じるポイントが「単調さ」なのか「責任の重さ」なのかで、合う職場は変わります。
どちらにもきつさはあるけれど、その中身が全然違います。
在宅薬剤師のきつさを乗り越える3つのコツ
「きつい」とわかった上で、どう向き合えばいいのか。僕が実際にやっている対処法を3つ紹介します。
① 過去の同僚・先輩とのつながりを大切にする
職場に在宅医療の話ができる仲間がいないなら、外にいる仲間とつながりましょう。

僕は、病院時代の同僚や先輩と連絡をとり続けています。
近況報告をしたり、愚痴を聞いてもらったりします。「わかるわ、大変だよな」と言ってもらえるだけで気持ちが軽くなるものです。
薬剤師会の研修や地域の多職種連携の集まりに参加するのもおすすめです。在宅に関わっている薬剤師と知り合えると、孤独感がかなり和らぎます。
② 「きつい」を「数字で報われる」に変換する
在宅業務は大変ですが、その分だけ薬局の売上に直結します。
僕が在宅に本腰を入れた結果、月の技術料が約200万円アップしました。居宅療養管理指導、在宅薬学総合体制加算、麻薬管理指導──在宅ならではの調剤報酬を算定できるようになったからです。
在宅業務は確かにきつい。でも、自分の頑張りが数字として現れます。
これは、調剤薬局のルーティン業務では感じにくい実感です。
努力が給料や評価に反映される環境は、きつさを乗り越える大きな原動力になります。
③ 辞めるとしても「ステップアップの転職」にする
正直、続けるか迷った時期もありました。
でも、「仕事がきつい」「職場の人間が嫌だから」を理由に辞めると、転職が逃げの手段になってしまいます。
それでは、次の職場でも同じ失敗を繰り返すリスクがあります。
仮に辞めるとしても、「この経験を活かして次はこうしたい」と言える転職にしたい──僕はそう考え、いまの職場で在宅のスキルと実績を積み上げる選択をしました。
経営方針と自分の考えが合わないと感じることも少なくありません。でも、それすらも「反面教師として見ている」と割り切ることで、学びに変えられています。
それでも僕が在宅薬剤師を続けている理由
ここまで「きつい」ばかり書いてきましたが、では、なぜ続けているのか。
答えはシンプルです。「医療者らしく働けている」という感覚が、きつさを上回っているからです。
病院時代にあった「忙しさの中にある達成感」を、在宅薬局で取り戻すことができました。
患者さんの名前を覚え、毎週の変化に気づき、医師や看護師と一緒に治療方針を考えてサポートする。この「関わりの深さ」は、調剤薬局では得られなかったものです。
もちろん、きつい日もあります。孤独を感じる日もあります。それでも、「今日もちゃんと薬剤師として働けたな」と思える日のほうが、圧倒的に多いです。
在宅薬剤師のきつさを知った上で、「それでもやってみたい」と思えるなら、挑戦する価値は十分にあります。
在宅薬剤師のやりがいについて、もっと知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
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よくある質問
Q. 在宅薬剤師は未経験でもなれますか?
在宅未経験でもなれます。ただし、在宅業務に詳しい先輩が在籍する薬局を選ぶことが大切です。
いきなり一人で在宅を任される環境は、きつさが倍増します。
▶︎ 詳しくはこちら
Q. 在宅薬剤師の年収はきつさに見合いますか?
僕の場合、調剤薬局時代の年収520万円から、在宅薬局で720万円まで上がりました。
管理薬剤師手当に加え、調剤報酬が売上に直結するため、頑張りが年収に反映されやすい環境だと思います。
▶︎ 詳しい解説はコチラ
Q. 在宅薬剤師に向いているのはどんな人?
患者さんと深く関わりたい人、チーム医療に興味がある人、「医療者として役に立っている」実感がほしい人は向いています。
逆に、ルーティン業務で安定したい人には合わないかもしれません。
▶︎ 詳しい解説はコチラ
まとめ:在宅薬剤師はきつい。でも、きれいごと抜きで「やってよかった」
在宅薬剤師の仕事は、確かにキツくて大変なところがあります。
書類の量、ワンオペの負荷、孤独感、精神的なプレッシャー、調剤との両立──簡単な仕事ではありません。
でも、その「きつさ」の中に、調剤薬局では味わえない手応えがありました。
努力が数字に表れ、患者さんから直接感謝され、「薬剤師として働いている、成長している」と実感できる。
もし、きつい部分を知った上で「それでもやってみたい」と思えたなら、まずは在宅薬局の求人を見てみるところから始めてみてください。
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