
やりがいを求めたら年収は下がる。
給料を優先したらやりがいがない..
薬剤師のキャリアって、どこかでこのジレンマにぶつかりませんか?
僕もそうでした。公立病院で年収420万円。やりがいはあったけれど、奨学金の返済もあって生活はカツカツ。
調剤薬局に転職したら年収は上がったけれど、毎日同じことの繰り返しで、気がつけば「給料をもらうために働いている」だけの状態に…。
でも、4度の転職を経て辿り着いたいまの職場――在宅薬局で、僕はようやく「年収もやりがいも、両方手に入れる方法はあったんだ」と実感しています。
年収420万円 → 720万円。この記事では、その過程で何があったのか具体的にお伝えします。
薬剤師が年収とやりがいを両立できる職場は「在宅薬局」だった
結論から言います。
僕が4度の転職を経てたどり着いた答えは、在宅薬局でした。
| 職場 | 年収(概算) | やりがい |
|---|---|---|
| 公立病院 | 約420万円 | あった |
| 調剤薬局 | 約520万円 | 失った |
| 個人病院 | 約600万円 | 芽生えた |
| 在宅薬局(現在) | 約720万円 | 取り戻した |
「楽ではない。けど、やりがいを感じられるし、成果は給料として反映されやすい」
これが、在宅薬局で働いている僕の正直な感想です。
なぜ在宅薬局なのか。理由は3つあります。
- チーム医療の「当事者」として働ける ── 医師・看護師・ケアマネと対等に連携し、患者さんの生活を支える実感がある
- 頑張りが売上に直結する ── 在宅業務の調剤報酬は外来より高く、件数を増やした分だけ薬局の売上が上がる
- 年収の天井が高い ── 管理薬剤師手当、地域支援体制加算など、努力次第で年収を伸ばせる仕組みがある
この3つが噛み合っているのが、在宅薬局の強みです。
以下、それぞれ詳しく話していきます。
調剤薬局で「やりがい」を失う3つの理由
在宅薬局の話をする前に、まず調剤薬局時代のことを正直に書きます。
多くの薬剤師がキャリアのどこかで感じる「つまらなさ」。僕自身、調剤薬局に転職して数ヶ月で感じました。
変わり映えのないルーチンワーク
処方箋を受け取る → 調剤する → 監査する → 投薬する。
この繰り返しが1日中、毎日続きます。病院時代は病棟に上がって患者さんの様子を見たり、カンファレンスで医師と議論したりする場面がありました。でも調剤薬局にはそれがない。
「今日も同じだったな」と思いながら帰る日が増えていきました。
患者さんと「医療者として」向き合えない
調剤薬局の投薬時間は、長くても5分。短ければ1分です。
その短い時間で「お変わりないですか?」「お薬の説明をしますね」――これだけで終わってしまう。患者さんの生活背景や、本当に困っていることまで踏み込めない。
病院時代に感じていた「この人の治療に自分が関わっている」という手触りが、完全に消えていました。
給料をもらう「手段」になっている
やりがいがなくなると、仕事の目的が「給料をもらうこと」にすり替わります。
年収520万円。公立病院時代より100万円上がったのに、全然嬉しくなかった。「このまま何十年も同じことを続けるのか」と考えると、正直しんどかったです。
在宅薬剤師の仕事で感じる「やりがい」の正体
在宅薬局に転職して、やりがいが「戻ってきた」と感じています。
でも、病院時代とは少し違う。在宅のやりがいには、調剤薬局では絶対に味わえない独特の手触りがあります。
チーム医療の形が違う ── ピラミッド型からスクラム型へ
公立病院はピラミッド型でした。医師がトップにいて、その下に看護師、薬剤師、リハスタッフ……と役割が階層的に並ぶ。薬剤師の立ち位置は、正直そこまで高くなかったです。
在宅医療は違います。僕の感覚ではスクラム・円陣型。医師も看護師もケアマネも薬剤師も、みんなが患者さんを中心に一致団結して、それぞれができるベストを尽くす。
この「チームの形の違い」が、やりがいの質を大きく変えました。
調剤薬局では「処方箋を出す医師」と「受け取る薬剤師」という一方通行の関係でしたが、在宅では医師から直接電話がかかってきて「この患者さん、薬どうしましょう?」と相談される。対等にディスカッションできる。
「医療者らしく働けている」 という感覚が、在宅にはあります。
調剤薬局では絶対に味わえない瞬間
ある日、看取りのがん患者さんが急変しました。
主治医から「麻薬を処方したい」と電話があり、すぐに対応。スピーディに準備を整えたことで、疼痛コントロールを素早く行うことができました。
そのとき、患者さんのご家族からも、医師・看護師からも「助かりました」と言ってもらえた。
「役に立てて良かったな。また頑張ろう」
この感覚は、調剤薬局のカウンター越しでは絶対に味わえません。
関わる人がグッと増える
在宅薬局では、患者さんだけでなく、ケアマネ、医師、看護師、リハスタッフ、患者さんのご家族と日常的に接します。調剤薬局時代とは比較にならないくらい、関わる人が多い。
その分、コミュニケーションの負荷は上がります。でも、その「大変さ」自体がやりがいに変わっていく。自分の仕事が目に見える形で誰かの役に立っている実感があるからです。
▶︎ あわせて読みたい
在宅薬剤師の仕事内容|調剤薬局との違いを現役が1日の流れで解説
在宅薬剤師の年収が高い理由|技術料が月200万円アップした話
「やりがいがあるのはわかった。でも年収はどうなの?」
ここが一番気になるところだと思います。正直に話します。
在宅の調剤報酬は外来より高い
同じ患者さんで比較した場合、在宅のほうが居宅療養管理指導の分だけ、ざっくり1件あたり約5,000円高くなります。
つまり、在宅の患者さんを増やせば増やすほど、薬局全体の売上が上がる。この構造が、在宅薬局の年収を押し上げる土台になっています。
僕が在宅に本腰を入れた結果
在宅業務に力を入れ始めてから、月の技術料が約200万円アップしました。
これは僕一人の力というよりも、薬局全体で在宅に注力した結果です。ただ、在宅件数を増やすきっかけを作ったのは自分だったので、その分が評価にも反映されました。
管理薬剤師手当 ── 月6万円
在宅薬局で管理薬剤師になったことで、月6万円の手当がつきました。年間72万円。これだけでかなり大きいです。
ただし、管理薬剤師は「なれば自動的に年収が上がる」ものではありません。手当はあくまで一部で、本質は「在宅業務で売上を上げられる人材」として評価されること。肩書きだけでは年収は変わりません。
地域支援体制加算の取得
転職時は未算定だった地域支援体制加算も、在宅件数の増加により算定要件を満たし、取得できました。
きっかけは、ある診療所から末期がん患者さんの看取り対応を相談されたこと。前任者はリソース不足を理由に断ろうとしていましたが、僕は「やります」と引き受けました。
その対応がきっかけで信頼関係が生まれ、その診療所の患者さん全体を担当することに。結果として在宅件数が大幅に増え、算定要件をクリアできました。
在宅の年収は「努力次第で伸ばせる」 ── これが調剤薬局との一番大きな違いだと感じています。
▶︎ あわせて読みたい
在宅薬剤師の年収は高い?|420万→720万になった僕のリアルな内訳
僕が4度の転職で辿り着くまで【体験談】
「在宅薬局がいい」と言われても、すぐに決断できる人は少ないと思います。
僕だってそうでした。4度の転職を経て、ようやくここに辿り着いています。
1社目:公立病院(年収420万円)
新卒で入った公立病院。やりがいはありました。病棟業務、カンファレンス、他職種との連携――「医療者として働いている」実感がたしかにあった。
でも、年収420万円。一人暮らしでカツカツ。奨学金の返済もある中で、「やりがいだけでは生活できない」という現実に直面しました。
2社目:調剤薬局(年収520万円)
年収を上げるために転職。100万円アップしたものの、前述の通りやりがいを完全に失いました。
「このまま何十年も同じことを繰り返すのか」と考えるのがしんどかった時期です。
3社目:個人病院(年収600万円)
ここで初めて、在宅医療と出会いました。
訪問診療チームとの日常的なやり取りの中で、「病院の機能を患者さんの家に拡張した感覚」を体験。在宅医療の将来性と面白さを肌で感じました。
ただ、職場環境の変化があり、退職を決意。次の転職先を考えるときに「在宅に特化した薬局」という選択肢が自然と浮かびました。
4社目:在宅薬局(年収720万円・現在)
今の職場です。年収もやりがいも、ようやく両方手に入った。
楽かと聞かれたら、楽ではないです。書類作成は多いし、孤独を感じる場面もある。でも、「医療者らしく働けている」という感覚が、日々の仕事を支えてくれています。
在宅薬局への転職を成功させるポイント
「在宅薬局に興味が出てきた」という方に、転職前に知っておいてほしいことがあります。
「在宅業務あり」の求人はピンキリ
転職サイトで「在宅あり」と書いてあっても、中身はピンキリです。
- 施設に配達するだけで、居宅療養管理指導を算定していない
- 地域支援体制加算を取るためだけに、片手間で在宅をやっている
こういうパターンは、やりがいも年収アップも期待できません。
面接・見学で確認すべきこと
僕が実際に確認した項目をいくつか挙げます。
- 麻薬の取り扱い件数はどれくらいですか?
- 無菌調製(クリーンベンチ)はやっていますか?
- 往診同行はしていますか?
- 居宅療養管理指導の算定件数は月どれくらいですか?
- 在宅専任の薬剤師はいますか?
これらの質問に具体的な数字で答えてくれる薬局は、本気で在宅をやっています。
転職エージェントを使うべき理由
在宅薬局の求人は、一般の転職サイトだけでは見つけにくいです。非公開求人も多く、転職エージェント経由のほうが条件の良い求人に出会える確率が高いというのが僕の実感です。
エージェントを使うメリットは3つ。
- 「在宅に力を入れている薬局」をピンポイントで紹介してもらえる
- 年収・勤務条件の交渉を代行してもらえる
- 面接前に薬局の内部情報を教えてもらえる
僕が実際に使って信頼できると感じたエージェントを3社、別の記事で詳しくまとめています。
▶︎ あわせて読みたい
薬剤師転職エージェントおすすめ3選|全部使った僕が本音で比較
まとめ:やりがいも年収も、在宅薬局なら諦めなくていい
「やりがいを求めたら年収が下がる」「年収を優先したらやりがいがない」
冒頭でこのジレンマを書きました。でも、在宅薬局ではこの二択にならないんです。
- チーム医療の「当事者」として、やりがいのある仕事ができる
- 在宅業務の調剤報酬構造が、頑張りを年収に反映してくれる
- 管理薬剤師や地域支援体制加算など、年収を伸ばす仕組みがある
僕自身、420万円からスタートして720万円まで来ました。転職のたびに「次はもっと自分に合った場所があるはず」と動き続けた結果です。
もちろん、在宅薬局が万人向けだとは思いません。合う人・合わない人がいます。
でも、もし今「年収もやりがいも中途半端だな」と感じているなら、在宅薬局という選択肢を調べてみる価値はあると僕は思います。
まずは転職エージェントに「在宅に力を入れている薬局の求人はありますか?」と聞いてみるだけでもOKです。それだけで、見える世界が変わるかもしれません。
すべてのサービスが無料で使える

コタロ
- 薬剤師10年目・在宅薬局の管理薬剤師
- 4度の転職を経験
- 年収420万→720万円までアップ
- くすりの窓口コラム執筆中
公務員→薬局→病院→薬局→在宅薬局(継承予定)
在宅薬局の仕事やキャリアの悩み・不満について、本音で発信しています。

コメント