

在宅薬剤師って、年収はどれくらいなんだろう?
調剤薬局で働いていて、年収の天井を感じることはありませんか。昇給が年に数千円ほどだと、このまま10年後も同じ水準なのかと不安になる人もいると思います。
僕の年収は、新卒で入った公立病院にいたころ約420万円でした。4回の転職を経て、いまの在宅薬局では約720万円です。
在宅薬剤師の年収は高く、頑張りが年収に反映されやすいと感じています。ただ、お金が上がっただけでは満足できませんでした。この記事では、年収が上がった中身と、年収だけで選んで後悔したことの両方をお伝えします。
この記事でわかること
- 420万円から720万円になった僕の年収の推移
- 在宅薬剤師の年収が高くなる理由
- 管理薬剤師手当(月6万円)で変わったこと
- 調剤薬局の薬剤師との年収の比べ方
- 年収だけで職場を選んだ僕の後悔
在宅薬剤師の年収|420万→720万になった僕の推移
まずは、僕自身の年収の推移をお見せします。職場が変わるたびに、年収は少しずつ上がってきました。
4つの職場の年収
| 職場 | 年収(額面・概算) | 在籍 |
|---|---|---|
| 公立病院 | 約420万円 | 約4年 |
| 調剤薬局 | 約520万円 | 約1年 |
| 個人病院 | 約600万円 | 約2年 |
| 在宅薬局(管理薬剤師) | 約720万円 | 2023年〜 |
4回の転職で、年収が下がった回は一度もありません。個人病院から在宅薬局へ移る前に、短い期間だけ薬局でパートとして働いた時期があります(年収の流れとは分けて、表には入れていません)。
いちばん上がった在宅薬局への転職
上がり幅がいちばん大きかったのは、在宅薬局への転職です。個人病院の約600万円から、約120万円上がりました。
では、なぜ在宅薬局は年収が高くなりやすいのか。次の章で、お金の流れから説明します。
在宅薬剤師の年収が高い理由|外来にはない在宅の報酬
在宅薬剤師の年収が高くなりやすいのは、在宅の仕事には外来にはない報酬があるからです。在宅の仕事をするほど、薬局の売上が増えます。

在宅で算定できる主な報酬
| 報酬の名前 | どんなときに算定するか |
|---|---|
| 在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険) | 通院がむずかしい患者さんの自宅や施設を訪問し、薬の指導をしたとき |
| 居宅療養管理指導費(介護保険) | 介護保険を使っている患者さんに、同じように訪問して指導をしたとき |
| 麻薬管理指導加算 | 訪問の中で、医療用麻薬の使い方や管理を指導したとき |
| 在宅薬学総合体制加算 | 在宅の仕事を一定以上おこなう体制がある薬局が、調剤のときに上乗せするもの |
※報酬の名前は、2026年10月時点の調剤報酬点数表によります。
どれも、外来の調剤だけではほとんど算定しない報酬です。つまり、在宅の仕事そのものが薬局の売上を押し上げるしくみになっています。
技術料が月約200万円増えた僕の薬局
いまの薬局で在宅業務に本腰を入れた結果、薬局の技術料は月約200万円増えました。1年にすると、約2,400万円です。
在宅の頑張りが給料に反映されやすいのは、このように成果が売上の数字ではっきり見えるからです。
在宅薬剤師の年収と管理薬剤師手当|月6万円で変わったこと
僕の年収約720万円には、管理薬剤師の手当も入っています。手当の額と、肩書きで変わったことをお伝えします。

手当は月6万円・年72万円
在宅業務に本腰を入れて技術料が増えたあと、僕は管理薬剤師になり、手当として月6万円がつくようになりました。
1年にすると72万円です。いまの約720万円は、この手当と在宅業務の実績が合わさった金額です。
肩書きだけでは変わらない裁量
とはいえ、管理薬剤師は経営者ではありません。お金がかかる話は、社長の了承がなければ動けません。
それでも、在宅の成果が売上の数字で見える立場になり、「自分の仕事が薬局を支えている」と感じられるようにはなりました。管理薬剤師の仕事の中身は、管理薬剤師とは?年収・仕事内容・メリット・デメリットを現役が解説にまとめています。
在宅薬剤師の年収を調剤薬局と比べる|統計と僕の実額
在宅薬剤師の年収は、ほかの薬剤師と比べて本当に高いのか。国の調査の数字と、僕の実額を並べてみます。
| 区分 | 年収(給料+賞与) |
|---|---|
| 保険薬局の薬剤師(平均) | 約480万円 |
| 保険薬局の管理薬剤師(平均) | 約726万円 |
| 僕(在宅薬局の管理薬剤師) | 約720万円 |
※平均は第25回医療経済実態調査(令和7年11月・令和6年度の数字・法人の保険薬局)によります。
在宅薬剤師だけに絞った国の統計は、見つけられませんでした。そのため、在宅だけの平均と比べることはできません。
並べてみると、僕の約720万円は管理薬剤師の平均と同じくらいです。薬剤師の平均の約480万円と比べると、240万円ほど高いことになります。僕の場合は、管理薬剤師の手当に在宅業務の実績が上乗せされて、この金額になっています。
病院の薬剤師の年収は、病院薬剤師の年収は低い?|30代の目安と2つの病院の給与明細で比べています。
在宅薬剤師の年収を上げるために僕がやった3つのこと
年収が420万円から720万円になったのは、転職のたびに年収を意識して動いてきた結果です。やったことは3つあります。
① 希望年収をエージェントに伝える
1回目の転職では勝手が分からず、遠慮して希望を伝えませんでした。その結果、受け身の転職になりました。
2回目からは、希望の年収をはっきり伝えるようにしました。個人病院へ移るときはファーマキャリアの担当者が交渉してくれて、年収は約520万円から約600万円に上がりました。引越し費用も全額、会社が負担してくれました。
そのときのやりとりは、ファーマキャリアの評判|年収80万UPした薬剤師が本音で語るメリット・デメリットに書いています。
② 在宅に力を入れている薬局を見極める
求人に「在宅業務あり」と書いてあっても、施設に薬を届けるだけの薬局もあります。
在宅薬局へ移るときは、転職エージェントに個人宅への訪問実績・在宅専任の薬剤師がいるか・算定実績の3つを確かめてもらいました。そのうえで、本当に在宅に力を入れている薬局を選びました。
③ 在宅業務で成果を出す
入ってからは、在宅業務を最優先にしました。施設との契約を増やし、個人宅の訪問も増やしました。前の章で書いた技術料の増加は、この積み重ねです。
きっかけの1つは、ある診療所から、末期がん患者さんの看取りの対応を相談されたことです。人手が足りないことを理由に断る話も出ていましたが、僕は「やります」と引き受けました。
そこから診療所との信頼関係ができ、その診療所の患者さん全体を担当することになりました。在宅の件数が大きく増え、転職したときは算定していなかった地域支援体制加算(2026年度の改定で、いまは「地域支援・医薬品供給対応体制加算」)も取れるようになりました。
在宅の仕事の1日の流れは、在宅薬剤師の仕事内容|調剤薬局との違いを現役が1日の流れで解説にまとめています。
在宅薬剤師の年収だけで選んだ僕の後悔|誰と働くか
ここまで年収が上がった話をしてきましたが、いまの職場に満足しているかと聞かれると、そうではありません。

お金が上がっても満足できなかった理由
理由は、一緒に働く人が合わないことです。年収は過去いちばん高いのに、満足度は低いままです。
職場の満足度は、お金だけでは決まりませんでした。誰と働くかで大きく変わると、身をもって知りました。
入る前に確かめられなかったこと
年収と在宅の中身は、エージェントを通して確かめていました。ただ、いまの職場は先方の都合で見学ができず、社長との面談だけで決めました。面接で逆質問もしませんでした。
どんな人と働くのかは、知らないまま入ったことになります。これから在宅薬局へ移る人には、年収と同じくらい、見学で職場の人を見ることをおすすめします。見学で何を聞けばいいかは、調剤薬局の見学で聞く質問|6か所見学して分かった見るべき点にまとめました。
在宅薬剤師の年収でよくある質問|未経験・地域・管理薬剤師の3問
在宅薬剤師の年収について、よく聞かれる3つに答えます。
在宅薬剤師の年収は高い|決め手は誰と働くか
在宅薬剤師の年収について、僕の実額をもとにお伝えしました。
- 僕の年収は公立病院の約420万円から、在宅薬局で約720万円に
- 在宅の仕事には外来にない報酬があり、薬局の売上を押し上げる
- いまの約720万円は、管理薬剤師手当(月6万円)と在宅業務の実績を合わせた金額
- 国の調査では、保険薬局の薬剤師の平均は約480万円・管理薬剤師は約726万円
- 年収が上がっても、一緒に働く人が合わなければ満足はできない
年収に天井を感じているなら、在宅薬剤師は調べてみる価値のある働き方です。そのうえで、年収と同じくらい、誰と働くかを確かめてください。
在宅業務ありの求人は、転職エージェントで見てみるのが早いです。

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