

在宅薬剤師って、1日のうち何をしているんだろう?
調剤薬局で働いていると、在宅の仕事は想像しにくいですよね。僕自身、転職前は「在宅=薬を届けるだけ」だと思っていました。
在宅薬局で働くようになって、いちばん変わったのは薬局の中にいる時間です。いまは、薬局にいる時間のほうが短い日もあります。
この記事では、僕の働き方をもとに、在宅薬剤師の仕事内容を1日の流れに沿って紹介します。
この記事でわかること
- 在宅薬剤師と調剤薬局の、1日の過ごし方の違い
- 在宅薬剤師の1日の流れ(よくある3つの日)
- 施設と個人宅で、それぞれやること
- 医師・看護師・ケアマネとの連絡と記録
- 職場ごとの違いを見学で確かめる方法
在宅薬剤師の仕事内容は「薬局の外」が中心|調剤薬局とのいちばんの違い

在宅薬剤師の仕事内容を調剤薬局と比べると、いちばんの違いは働く場所です。
調剤薬局にいた頃の1日
調剤薬局にいた頃は、1日の仕事がほぼ薬局の中で終わっていました。処方せんは1日70〜80枚ほどで、そのうち半分以上が前回と同じ内容の処方でした。
来局する患者さんの流れにあわせて、受付・調剤・投薬をくり返す。1日の形は、毎日ほとんど同じでした。
いまは薬局の外が中心
いまの職場では、施設や個人宅へ出かける時間が1日の中心です。薬局の中で仕事が完結しないことが、在宅の大きな特徴です。
| 調剤薬局 | 在宅薬局(僕の職場) | |
|---|---|---|
| 働く場所 | ほぼ薬局の中 | 施設・個人宅・薬局を行き来する |
| 1日の予定 | 来局する患者さんの流れで決まる | 往診医の予定・臨時処方・施設からの相談で変わる |
| 主に話す相手 | 患者さん・薬局のスタッフ | 患者さん・ご家族・施設の看護師やヘルパーさん・医師・ケアマネ |

午前も午後も外に出て、薬局にはほとんどいない日もあります。
在宅薬剤師の1日の流れ|9:00出勤〜18:30退勤

僕の1日には、決まった時間割はありません。決まっているのは、9時に出勤して18時半に帰ることくらいです。
僕の職場の体制
僕の薬局は薬剤師3名体制で、施設約15か所と個人宅約20人を担当しています。個人宅以外は、すべて施設の患者さんです。
1日の処方せんは70〜120枚ほど。そのうち、およそ半分が施設と在宅の患者さんの処方せんです。在宅の業務は、ほぼ僕一人で担当しています。
よくある3つの日
1日の過ごし方は、日によって大きく3つに分かれます。
- 午前に外へ出る日:午前に施設や個人宅を回り、午後は薬局の中で過ごす
- 午後に外が集中する日:午前は薬局の中で過ごし、午後にまとめて回る
- 午前も午後も外の日:薬局にいる時間のほうが短い
外に出ていない時間は、薬局の中で施設の薬の調剤、外来の処方せんへの対応、翌日の配達の準備、訪問の記録をしています。
その日の形を決める3つのこと
その日がどの形になるかは、朝の時点では決まりきっていません。左右するのは次の3つです。
- 往診医の予定
- 臨時処方
- 施設からの相談や依頼
午後に配達へ行くつもりでいても、急な依頼があれば午前中に施設や個人宅へ向かいます。
施設から相談や依頼があったときも、すぐに対応するために訪問します。

予定どおりに進まないのが、在宅の1日です。
在宅薬剤師の仕事内容①施設|担当の大半はこちら

僕が担当する患者さんの大半は、施設に入所している方です。施設(有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど)での仕事は、次の章で紹介する個人宅とは少し違います。
施設でやること
施設でも患者さんとお話ししますが、メインは施設の看護師やヘルパーさんとのやり取りです。
施設によって異なりますが、調剤した薬は配薬カートにセットしたり、患者さんに直接渡したりします。
施設で求められる知識
施設は個人宅に比べて決まった流れの業務が多いです。ただ、入所者の方は70〜80代で、高血圧・脳血管疾患・糖尿病・パーキンソン病など、複数の病気を抱えていることがほとんどです。
薬の種類も多く、一包化や簡易懸濁、注射の知識などが求められます。
在宅薬剤師の仕事内容②個人宅|担当は約20人

個人宅への訪問は「薬を届ける」だけではありません。患者さんの自宅にお邪魔して、次の5つを行います。
個人宅でやること5つ
調剤薬局では「薬をお渡しして終わり」となりがちです。在宅では患者さんの生活の中に入って、薬以外のことにも気を配ります。
生活の小さな変化への気づき
たとえば、前回の訪問では部屋がきれいだったのに、今回はなんだか散らかっている。本人もなんだか元気がない。
もしかしたら、何らかの病気が進んでいる影響かもしれません。

そういう小さな変化に気づけるのは、患者さんの家に実際に足を運んでいるからです。
在宅薬剤師の仕事内容③連絡と記録|医師・看護師・ケアマネとつながる

訪問から戻ったあとの連絡と記録も、大事な仕事です。
報告書と記録
訪問のあとは記録を作り、医師やケアマネに共有します。病院のようにナースステーションで顔を合わせる機会がないぶん、自分から情報を発信することが欠かせません。
報告書を丁寧に書く。変化があればすぐに電話する。こうした小さな積み重ねが、チームからの信頼につながります。
多職種との連絡の頻度
連絡の手段は電話やチャットが中心です。ケアマネが開く会議に出席することもありますが、訪問診療に毎回同行するわけではありません。
夜の臨時対応
急な連絡は、勤務時間の外にも来ます。ある日の夜中、看取りの段階にあったがん患者さんの容体が急に変わり、担当医師から「麻薬を処方したい」と電話がかかってきました。
すぐに対応して、麻薬による痛みのコントロールを始められました。ご家族からも医師からも、感謝の言葉をもらいました。
「役に立てて良かったな」と心から思えた瞬間です。
看取りに関わる重さなど、在宅ならではの大変さは在宅薬剤師はきつい?の記事にまとめています。
在宅薬剤師の仕事内容は職場しだい|見学で聞く1日の流れ

ここまで紹介したのは、あくまで僕の職場の1日です。在宅薬剤師の仕事内容は、職場によって大きく違います。
「在宅あり」でも中身はさまざま
「在宅業務あり」と書いてある求人でも、実態はさまざまです。施設に薬を配達しているだけで、実際には在宅業務をしていない薬局もあります。
見学で聞いておきたいこと
求人票だけでは、1日の流れまでは分かりません。気になる職場があれば、見学のときに次のようなことを聞いてみてください。
- 1日のうち、外に出ている時間はどれくらいか
- 担当している施設と個人宅の数
- 在宅の業務を何人で回しているか
見学での聞き方や見るべき点は、調剤薬局の見学で聞く質問の記事にまとめました。
在宅薬剤師の仕事内容のまとめ|1日の形は「薬局の外」で決まる

在宅薬剤師の仕事内容を、1日の流れに沿って紹介しました。
- 僕の職場では決まった時間割はなく、外に出る時間が日によって変わる
- その日の形を決めるのは、往診医の予定・臨時処方・施設からの相談や依頼
- 施設では看護師やヘルパーさんとのやり取り、個人宅では生活の変化に気づくことが中心
- 訪問のあとは記録と連絡。夜に急な依頼が来ることもある
薬局の中だけで終わらない働き方に興味があれば、在宅薬剤師という選択肢を知っておいて損はありません。
在宅の求人を探すときは、僕が実際に使った転職エージェントの体験談も参考にしてみてください。

コメント