
- 薬剤師としてスキルアップしたいけど、どの本を読めばいい?
- 新人時代に買っておくべき参考書を知りたい
- 現場で本当に役立つ実践書はどれ?
この記事では、公務員から病院・調剤薬局とキャリアを積んできた現役薬剤師が、実際に購入して「買ってよかった」と感じた本を15冊厳選してご紹介します。
社会人になると、まとまった学習時間を確保するのは難しいもの。だからこそ、限られた時間で学びの質を上げる本選びが重要です。
今回は「定番の必携本」から「職場別のおすすめ本」「キャリアアップに役立つ本」まで、目的別にわかりやすく整理しました。
「次に何を読めばいいかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。
薬剤師なら必ず持っておきたい定番本3選

まずは、勤務先や経験年数を問わず、すべての薬剤師が持っておきたい定番の参考書を3冊紹介します。
これらは「辞書」として手元に置いておくべき本です。困ったときにすぐ調べられる環境を整えておくことが、日々の業務の質を高める第一歩になります。
今日の治療薬
- 出版社:南江堂
- 発行:毎年改訂
『今日の治療薬』は、薬剤師の辞書ともいえる定番中の定番です。
臨床で使われる医薬品を薬効群ごとに分類し、薬価・用法用量・副作用・相互作用などの情報がコンパクトにまとまっています。
この本の特徴
- 約2,300の一般名、約16,000の製品を収載
- 薬効群ごとに図解で作用機序を解説
- 「処方Point」「薬剤Point」で同効薬の違いが一目でわかる
- 電子版(アプリ)との併用で検索性がさらに向上
私は新人時代からずっと愛用しています。調剤中に「この薬の適応は?」「相互作用は?」と疑問が生じたとき、まず開くのがこの本。毎年買い替える価値のある一冊です。
書籍版はかなり分厚いですが、スマホアプリ版なら検索機能で一瞬で情報にたどり着けます。現場での即戦力として、まず最初に揃えておきたい本です。
治療薬マニュアル
- 出版社:医学書院
- 発行:毎年改訂
『治療薬マニュアル』は、『今日の治療薬』と並ぶ二大医薬品集の一つです。
添付文書情報をベースに、薬効分類・用法用量・副作用・相互作用・禁忌などを網羅。「今日の治療薬」よりも臨床解説が詳しいのが特徴です。
この本の特徴
- 識別コードから薬剤を検索できる
- 適応外使用の情報も一部記載
- 腎機能・肝機能障害時の投与量調整の目安がわかる
- 同効薬の比較表が充実
「今日の治療薬」と「治療薬マニュアル」はどちらか一冊で十分という意見もありますが、私は両方持っています。調べたい内容によって使い分けると、より深い理解が得られます。
処方医の意図を読み取りたいとき、患者さんに納得のいく説明をしたいとき、「いざという場面」で頼れる一冊です。
今日の治療指針
- 出版社:医学書院
- 発行:毎年改訂
『今日の治療指針』は、1,100種類以上の疾患について治療方針が記載された医療者必携の書です。
『今日の治療薬』が「薬の辞書」なら、こちらは「疾患治療の辞書」。医師がどのような考え方で薬を選択しているのかを理解するのに最適です。
この本の特徴
- 疾患ごとに治療のポイント・処方例・薬剤選択の根拠を解説
- 服薬指導・薬剤情報の項目あり
- 専門医へのコンサルトのタイミングも記載
- 「今日の治療薬」とセット購入で割引あり
価格は16,500円〜20,900円と高めですが、処方意図の理解度が格段に上がります。「この患者さんにはなぜこの薬が出ているのか」を考える習慣がつき、服薬指導の質も変わりました。
全部を読破する必要はありません。日々の業務で遭遇した疾患から少しずつ読み進めるのがおすすめです。
新人薬剤師におすすめ|基礎力を固める入門書4選

ここからは、薬剤師1〜3年目の方に特におすすめの本を紹介します。
新人時代は「何がわからないかもわからない」状態になりがち。まずは基礎をしっかり固め、現場での疑問を一つずつ解消していくことが成長への近道です。
薬局ですぐに役立つ 薬の比較と使い分け100
- 著者:児島悠史
- 出版社:羊土社
- 発行年:2017年(増補改訂版あり)
『薬の比較と使い分け100』は、似たような薬の違いを徹底比較した新人薬剤師のバイブルです。
「ガナトン」と「ガスモチン」の違いは?「ロキソニン」と「セレコックス」はどう使い分ける?——こうした現場でよく遭遇する疑問に、わかりやすく答えてくれます。
この本の特徴
- 同効薬の微妙な違いが一目でわかる
- 作用機序から丁寧に解説
- 薬の発売時期(時系列)がわかり、理解が深まる
- 読み物としても面白く、挫折しにくい
新人時代、先輩から「この2つの薬の違いは?」と聞かれて答えられなかった経験が何度もありました。この本を読んでからは、自信を持って説明できるようになりました。
定価3,800円(税別)でこの内容はコスパ最強。まず1冊目に買う本として、自信を持っておすすめします。
薬がみえる vol.1〜4
- 出版社:メディックメディア
- 発行:シリーズ累計300万部以上
『薬がみえる』シリーズは、薬理学の定番テキストです。
「病態→薬→臨床効果」の流れを図解で学べる構成が特徴。文章だけでは理解しづらい神経伝達や酵素の働きを、イラストで視覚的に理解できます。
この本の特徴
- フルカラーのイラストで直感的に理解できる
- 丸暗記ではなく「理解して覚える」構成
- 国家試験対策としても使える
- アプリ・Webコンテンツで復習も可能
学生時代に買わなかった人も、現場に出てから読み直すと「なるほど、そういうことか!」と腑に落ちることが多いです。薬理学の本で勉強するより実践向きの一冊です。
病気がみえる シリーズ
- 出版社:メディックメディア
- 発行:全15巻
『病気がみえる』シリーズは、病態の基本から治療の全体像を学べる医療者共通のテキストです。
「薬がみえる」が薬理学なら、こちらは病態生理学。処方意図を理解するには、まず病気を知ることが不可欠です。
この本の特徴
- 図やイラストが豊富で視覚的に理解しやすい
- 疾患の病態・検査・治療がまとまっている
- 医師・看護師も使用するスタンダードな教科書
- 担当する診療科に合わせて巻を選べる
病棟担当を任されたばかりの頃、カルテを読んでも処方意図がつかめず焦っていました。先輩に勧められてこのシリーズを読み始めてから、医師や看護師との会話がスムーズになりました。正直、この本に出会っていなければ心が折れていたかもしれません。
まずは自分が担当する診療科の巻から購入するのがおすすめです。
処方がわかる医療薬理学
- 出版社:学研メディカル秀潤社
- 発行:毎年改訂
『処方がわかる医療薬理学』は、病態→薬理→治療薬の流れで学べる実践的な参考書です。
薬効群ごとに治療薬を一覧で比較できる構成で、「なぜその薬が処方されるのか」が自然と理解できます。
この本の特徴
- 病態と薬理をセットで学習できる
- 商品名・効能効果・作用機序・副作用・アドバイスが表形式で整理
- 毎年アップデートされる人気書籍
- シンプルでわかりやすい構成
「薬の比較と使い分け100」が1対1の比較なら、この本はカテゴリー全体を俯瞰できます。両方持っておくと、知識の厚みが違います。
調剤薬局薬剤師におすすめ|実務に直結する本4選

調剤薬局で働く薬剤師には、服薬指導・薬歴・疑義照会に直結する実務書が欠かせません。
ここでは、調剤薬局の現場で「本当に使える」と感じた4冊を紹介します。
誰も教えてくれなかった実践薬歴
- 著者:山本雄一郎
- 出版社:じほう
- 発行年:2024年(改訂版)
『誰も教えてくれなかった実践薬歴』は、薬歴の書き方を体系的に学べる唯一無二の指南書です。
「何を聞いて、何を書けばいいのかわからない」という悩みを解決してくれます。2024年の改訂版では、電子薬歴や薬機法改正にも対応しています。
この本の特徴
- 患者情報の引き出し方から言語化の方法まで網羅
- SOAPの書き方を具体例で解説
- 電子薬歴時代に対応した最新版
- 薬歴監査のポイントも学べる
ゴミ薬歴を量産していた新人時代の私を救ってくれた一冊です。薬歴は「時間がないから適当でいい」ものではなく、患者さんを守るためのツールだと気づかせてくれました。
調剤薬局に勤めるなら、必ず読んでおきたい本です。
妊娠と授乳 改訂3版
- 編集:伊藤真也、村島温子
- 出版社:南山堂
- 発行年:2020年
『妊娠と授乳』は、妊産婦への服薬対応に特化した専門書です。
「この薬は妊娠中に飲んでも大丈夫?」「授乳中に使える鎮痛剤は?」——こうした質問に、エビデンスに基づいて回答できるようになります。
この本の特徴
- 1,200種類以上の薬剤について妊娠・授乳中のリスクを整理
- 国内外の文献・ガイドラインに基づく評価
- 困ったときにすぐ調べられる辞書的構成
- 添付文書だけではわからない情報が満載
調剤薬局では、妊娠・授乳中の服薬相談を受ける機会が意外と多いです。この本があれば、患者さんに根拠を示しながら安心感を提供できます。
ドラッグストア勤務の方にもおすすめの一冊です。
しくじり処方提案
- 著者:花井雄貴
- 出版社:じほう
- 発行年:2022年
『しくじり処方提案』は、ベテラン薬剤師の失敗体験から学べるユニークな参考書です。
「失敗は成功のもと」と言いますが、実際の臨床現場で避けられる失敗は避けたいもの。本書では、経験豊富な薬剤師が自身の失敗を赤裸々に紹介し、薬物療法のピットフォールを解説しています。
この本の特徴
- 処方提案の失敗事例を多数収載
- 失敗の原因と対策を丁寧に解説
- 省察的実践を紙面上でシミュレーションできる
- 疑義照会のスキルアップに最適
「なんでこんな処方に気づかなかったんだろう」と後悔した経験は、薬剤師なら誰でもあるはず。他人の失敗から学ぶことで、自分の失敗を減らせます。
薬剤師のための医薬品情報のトリセツ
- 著者:菅原鉄矢
- 出版社:金芳堂
- 発行年:2023年
『医薬品情報のトリセツ』は、添付文書の先にある情報の調べ方を学べる本です。
添付文書やインタビューフォームで解決しない疑問に対して、「次に何を参照すべきか」がわかるようになります。
この本の特徴
- 添付文書・IF・ガイドライン・論文の使い分けを解説
- 情報の信頼性の評価方法がわかる
- 医薬品情報の検索テクニックが身につく
- DI業務のスキルアップに最適
情報を「調べる力」は薬剤師の基本スキル。この本を読んでから、質の高い情報に素早くたどり着けるようになりました。
病院薬剤師におすすめ|臨床力を高める実践書4選

病院薬剤師には、病棟業務・チーム医療に対応できる臨床力が求められます。
ここでは、病院勤務時代に私を支えてくれた4冊を紹介します。
薬剤師レジデントマニュアル 第2版
- 出版社:医学書院
- 発行年:2023年
『薬剤師レジデントマニュアル』は、白衣のポケットに入れて持ち歩くべき実践書です。
「今日の治療指針」の薬剤師特化型コンパクト版というイメージで、病棟や夜勤中に「すぐ答えが欲しい」場面で活躍します。
この本の特徴
- 標準薬物治療をコンパクトに収載
- 臨床検査値の基準値一覧を掲載
- フィジカルアセスメントの基礎も網羅
- 処方提案のポイントも記載
病院薬剤師1年目のとき、先輩から「とりあえずこれをポケットに入れておけ」と言われて購入。気になったことをその場で解決する習慣がつき、成長スピードが上がりました。
抗菌薬の考え方、使い方 ver.5
- 著者:岩田健太郎
- 出版社:中外医学社
- 発行年:2022年
『抗菌薬の考え方、使い方』は、感染症治療の考え方を根本から学べる名著です。
単なる抗菌薬の一覧ではなく、「なぜこの抗菌薬を選ぶのか」という臨床的な思考プロセスを解説しています。
この本の特徴
- 抗菌薬選択の根拠と目的を明確に解説
- 薬物動態・感染症の病態・適用菌種を総合的に学べる
- 新型コロナ感染症の情報もアップデート
- 感染制御認定薬剤師を目指す方にも最適
抗菌薬の作用機序を暗記しても、感染症治療は成り立ちません。「なぜこの薬を使うのか」を考える力がつく一冊です。
感染症プラチナマニュアル
- 著者:岡秀昭
- 出版社:メディカル・サイエンス・インターナショナル
- 発行:毎年改訂
『感染症プラチナマニュアル』は、感染症診療の実践的なポケットブックです。
研修医や医師が参考にするレベルの高度な情報が、コンパクトにまとまっています。
この本の特徴
- 抗菌薬の使い分け・感染症の診断アプローチを解説
- 図やフローチャートで情報が整理されている
- 初期治療の考え方がわかる
- 毎年改訂で最新情報に対応
感染症の基礎を学んだ後に読むと、「この感染症にこの抗菌薬を選ぶ理由」がスッと頭に入ってきます。
エキスパートが教える 輸液・栄養剤選択の考え方
- 監修:向山政志、平田純生
- 出版社:医学書院
- 発行年:2016年
『輸液・栄養剤選択の考え方』は、栄養療法の基本を学べる実践書です。
NST(栄養サポートチーム)に参加する薬剤師にとって、必須の知識がまとまっています。
この本の特徴
- 点滴の種類・投与設計をわかりやすく解説
- 経腸栄養についても網羅
- 「なぜこの栄養剤を選ぶのか」の根拠が身につく
- 在宅医療でも活用できる
NSTのカンファレンスには、この本を持参して参加していました。根拠を持って栄養剤を選べる力は、薬剤師としての価値を高めます。
キャリアアップを目指す中堅薬剤師におすすめの本2選

ある程度の経験を積んだ後は、専門性を高める学習にシフトしていきましょう。
ここでは、中堅薬剤師のスキルアップに役立つ2冊を紹介します。
腎機能別薬剤投与量POCKETBOOK
- 出版社:じほう
- 発行:定期改訂
『腎機能別薬剤投与量POCKETBOOK』は、腎機能に応じた投与量調整のバイブルです。
高齢化が進む現代において、腎機能低下患者への投与設計は薬剤師の重要な業務。本書があれば、精度の高い用量提案が可能になります。
この本の特徴
- 腎排泄型薬物の投与量調整を網羅
- eGFR・CCrに応じた具体的な用量を記載
- ポケットサイズで携帯しやすい
- 処方チェックの精度が格段に上がる
腎機能チェックは、教えてもらわないとなかなか身につかないスキルです。この本を使いこなせるようになると、処方提案の幅が一気に広がります。
薬剤師のためのEBM活用法と論文の読み方
- 著者:上田昌宏
- 出版社:金芳堂
- 発行年:2023年
『EBM活用法と論文の読み方』は、医学論文を実務に活かすための入門書です。
論文を読んだことがない薬剤師でも、基礎から丁寧に学べる構成になっています。
この本の特徴
- EBMの5つのステップをわかりやすく解説
- 仮想症例をベースに実践的に学べる
- 統計データの活用方法もカバー
- 論文検索の方法から批判的吟味まで網羅
「論文を読む」と聞くと身構えてしまいますが、この本なら挫折せずに学べます。エビデンスに基づいた服薬指導ができるようになると、患者さんからの信頼も変わります。
まとめ:自分に合った1冊を見つけて、学びを継続しよう

薬剤師としてスキルアップするために、今回紹介した15冊を目的別に整理しました。
| カテゴリ | おすすめの本 |
|---|---|
| 定番の必携本 | 今日の治療薬 治療薬マニュアル 今日の治療指針 |
| 新人薬剤師向け | 薬の比較と使い分け100 薬がみえる 病気がみえる 処方がわかる医療薬理学 |
| 調剤薬局向け | 誰も教えてくれなかった実践薬歴 妊娠と授乳 しくじり処方提案 医薬品情報のトリセツ |
| 病院薬剤師向け | 薬剤師レジデントマニュアル 抗菌薬の考え方・使い方 感染症プラチナマニュアル 輸液・栄養剤選択の考え方 |
| 中堅向け | 腎機能別薬剤投与量POCKETBOOK EBM活用法と論文の読み方 |
すべてを一度に揃える必要はありません。 まずは自分の課題に合った1冊から始めて、少しずつ知識を積み上げていきましょう。
本を読むことで視野が広がり、「もっと成長したい」「もっと力を発揮できる場所を見つけたい」という気持ちが芽生えることもあります。
後悔のないキャリアを歩めるよう、学びを継続していきましょう。
この記事を書いた人

公務員薬剤師からスタートし、病院薬剤師、調剤薬局とキャリアを積む。
現在は管理薬剤師として働きながら、副業Webライターとしても活動中。
これまでに購入した薬学書籍は100冊以上。
「本当に役立った本だけを紹介したい」という思いから、実際に購入・活用した本のみを厳選して紹介しています。

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