

公務員の薬剤師って、年収はどれくらいなんだろう……。安定していそうだけど、低いって聞くし。
公務員薬剤師は、安定しているけれど年収は低いと言われがちです。実際のところはどうなのでしょうか。
僕は新卒で公立病院に入り、公務員の薬剤師として4年目の途中まで働きました。この記事では、国の資料で見た平均と、僕の公立病院の給与明細を並べて、公務員薬剤師の年収を確かめます。
先に結論を書くと、若いうちは低い。でも給料表で毎年確実に上がるので、長く勤めるなら悪くありません。若いうちに年収を上げたいなら、民間のほうが早いです。ただ、福利厚生や安定、仕事のやりがいまで含めれば、十分な職場だったと僕は思っています。
この記事でわかること
- 国と地方の公務員薬剤師の平均年収
- 公立病院で働いた僕の初任給と昇給のペース
- 公務員ならではのボーナスと手当
- 公務員薬剤師の年収が「低い」と言われる理由
- 公務員薬剤師が働く場所の種類
公務員薬剤師の年収|国と地方の平均
まずは国の資料で、公務員として働く薬剤師の平均を見てみます。地方公務員と国家公務員で、資料が分かれています。
地方公務員の薬剤師・医療技術職の平均
総務省の調査では、地方公務員の「薬剤師・医療技術職」の平均は次のとおりでした。
| 項目 | 金額など |
|---|---|
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 給料月額(手当を除く) | 約32.3万円 |
| 手当を含めた月額 | 約39.7万円 |
| ボーナス(年額) | 約162万円 |
※総務省「令和7年地方公務員給与実態調査」(2025年4月1日時点)。手当を含めた月額は残業代なども含みます。ボーナスは2024年度に実際に支払われた期末手当と勤勉手当の合計です。
手当を含めた月額を12か月分にして、ボーナスを足すと、年収の目安は約638万円になります(残業代や通勤手当も含めた目安です)。
国家公務員の医療職(薬剤師など)の平均
国の病院などで働く薬剤師には、「医療職俸給表(二)」という給料表が使われます。人事院の調査では、この給料表で働く人の平均は47.0歳で、月額は約38.3万円でした。
ボーナスにあたる期末手当と勤勉手当は、いまの法律で年4.65か月分です。地方公務員のボーナスの月数も、国に合わせている自治体が多いです(2024年度は、一般行政職で47都道府県のうち42が国と同じ月数)。
※人事院「令和8年国家公務員給与等実態調査」(2026年4月1日時点)。月額は俸給と手当の合計で、ボーナスは含みません。ボーナスの月数は給与法の定め(2026年度)、都道府県の数は総務省の資料によります。2026年8月の人事院勧告で、ボーナスは年4.70か月分への引き上げが勧告されています(2026年10月時点で法律は改正されていません)。
平均の数字を見るときの注意
この平均には、気をつけたい点が2つあります。
- 薬剤師だけの平均ではない(ほかの医療職も同じ区分に入っている)
- 平均年齢が40代で、勤続の長い人の給料も入っている
つまり、20代で働き始めた人がすぐにこの額をもらえるわけではありません。病院の種類ごとの平均は、「病院薬剤師の年収は低い?」で紹介しています。
公務員薬剤師の初任給と昇給|僕の公立病院の明細
ここからは、僕が公立病院で受け取っていた給料です。平均とは違う、若いうちの実際の数字になります。

初任給は手取り約17万円
2016年に入ったとき、初任給は基本給が20万5,300円、手取りは約17万円でした。
ちなみに、いまの国家公務員の決まりでは、6年制の薬学部を出た薬剤師は給料表の「2級15号俸」から始まり、いまの給与法の額は月25万6,000円です(地域手当などは別・2026年10月時点)。時期も国と地方も違うので、僕の初任給とそのまま比べることはできません。地方公務員は、自治体ごとに決まっています。
昇給は年に数千円から1万円ほど
昇給は、給料表に沿って1年に数千円から1万円ほどでした。3年たっても、基本給は約2万円しか上がっていません。
その代わり、給料表を見れば、何年目にいくらになるかが最初から分かります。毎年少しずつ確実に上がっていく。それが僕の働いた公立病院の給料でした。
辞めるころの年収は約420〜450万円
4年目は、残業代を含めた月給が額面で29〜34万円ほどでした。辞めるころの年収は約420〜450万円です。年ごとの年収は、noteの給与明細の記事(有料)に書いています。
公務員薬剤師のボーナスと手当|決まった月数で出た賞与と残業代
民間と比べて「公務員ならでは」と感じたのは、ボーナスと残業代がきちんと出たことです。

2〜3年目のボーナスは年2回で約86〜92万円
ボーナス(期末手当と勤勉手当)は、毎年6月と12月の2回、決まった月数で確実に出ました。2〜3年目は、年2回で合わせて約86〜92万円です。
残業代と当直手当
残業代は、働いた分きちんと出ました。当直の日には、当直手当もつきました。
僕は実家から通っていたので住居手当はなく、手当は当直手当くらいでした。それでも、手当はしっかり出ていたと思います。
公務員薬剤師の年収は低い?|若いうちは低いが確実に上がる
「公務員薬剤師の年収は低い?」と聞かれたら、僕はこう答えます。若いうちは低い。でも、確実に上がる。

平均と僕の年収の差
地方公務員の平均で見た年収の目安は約638万円でも、僕の20代の年収は約420〜450万円でした。差のいちばんの理由は、平均には勤めた年数の長い40代の人も入っていることだと僕は考えています。平均はほかの医療職も含み、時期も僕のころとは違います。公務員の給料は、勤めた年数で少しずつ上がる仕組みになっています。
早く上げたいなら民間
若いうちに年収を上げたいなら、民間のほうが早いです。僕は公立病院から調剤薬局へ移り、年収は約520万円になりました。
ただ、民間は職場ごとに上がり方が違います。入る前に確かめたいことは、「薬剤師の給料が上がらない」にまとめました。
移る先を探すときは、転職エージェントに見学や面接の段取りを任せる方法もあります。僕が在宅薬局へ移るときに使ったのは、見学の日程も組んでくれるファルマスタッフです。
お金以外まで含めれば十分
一方で、公立病院は福利厚生がこれまでの職場でいちばんしっかりしていました。一緒に働く人も信頼できる人が多く、仕事も面白かったです。
お金の事情さえなければ、いまも公立病院にいたと思います。それくらい、楽しくてやりがいのある職場でした。残るか移るかの考え方は、「公務員薬剤師はもったいない?」に書いています。
公務員薬剤師の働く場所|公立病院・国の施設・県庁や保健所・麻薬取締官
公務員として働く薬剤師には、いくつかの働く場所があります。僕が経験したのは公立病院だけなので、ほかは国の資料をもとに短く紹介します。
公立病院
市や県などが運営する病院です。僕が新卒で入ったのはここで、市の職員として調剤や病棟の仕事をしていました。
国の施設
国の医療施設、矯正施設(刑務所など)、検疫所などで、国家公務員として働く薬剤師もいます。なお、国立病院機構の病院は2015年4月から公務員ではなくなっています。
県庁や保健所
県庁や保健所などの行政機関で働く薬剤師もいます。厚生労働省の統計では、衛生行政機関などで働く薬剤師は6,906人でした(2024年末)。
麻薬取締官
麻薬取締官は、厚生労働省に所属する国家公務員です。給料は医療職ではなく、行政職の給料表の額に調整額が上乗せされる形です。くわしくは「麻薬取締官の年収は低い?」で紹介しています。
公務員薬剤師の年収でよくある質問|試験と民間への転職の2問
年収と一緒に気になりやすい2つに答えます。
公務員薬剤師の年収のまとめ|平均と僕の明細で見えたこと
国の資料と僕の公立病院の明細で、年収を確かめました。
- 地方公務員の薬剤師・医療技術職は平均41.6歳で、年収の目安は約638万円
- ただ、若いうちは低い。僕の初任給は手取り約17万円、辞めるころの年収は約420〜450万円
- 昇給は年に数千円から1万円ほど。そのぶん何年目にいくらになるかが見える
- ボーナスは2〜3年目で年2回、約86〜92万円。残業代もきちんと出た
- 早く上げたいなら民間。お金以外まで含めれば、僕の公立病院は十分な職場だった
公務員として働き続けるか迷っているなら、年収だけでなく、福利厚生や一緒に働く人も合わせて考えてみてください。残るか移るかの考え方は、「公務員薬剤師はもったいない?」に書いています。

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