
「薬剤師なのに、薬剤師として働いている実感がない」──そう感じたことはありませんか?
僕はあります。調剤薬局で1年働いたとき、毎日定時で帰れていたのに、なぜかしんどかった。職場環境は良かった。残業もなかった。
──でも、病院時代に当たり前にあった「忙しさの中の達成感」が、まるごと消えていたんです。

在宅薬局に転職してわかったのは、やりがいは「関わり方」で決まるということでした。
この記事では、実際に在宅薬局で働く僕の体験をもとに、在宅薬剤師ならではのやりがいをリアルにお伝えします。
この記事でわかること
- 在宅薬剤師のやりがいを感じる瞬間
- 調剤薬局と何が違うのか
- やりがいを感じやすい人・感じにくい人の特徴
在宅薬剤師のやりがい5選──現役管理薬剤師が本音で語る
在宅薬剤師のやりがいは「患者さんに感謝される」というひと言では語りきれません。
具体的な5つの場面に分けてお伝えします。
① 患者さんと「続き」がある

調剤薬局では、患者さんとの関わりはカウンターで完結します。薬を渡して、次に来局するまで何があったかは分かりません。

ですが、在宅医療の現場は違います。
定期的に患者さんのお宅を訪問します。「コタロさん、また来てくれた」と顔を覚えてもらえる。先週話していた体調の変化を、時系列を追いながら確認しに行きます。
この「続き」があることが、仕事の手応えをガラッと変えてくれました。
「昨日、こんなことがあったんですよ」と話しかけてくれる患者さんが増えるにつれ、ただ薬を届けているのではなく、患者さんの暮らしを支えているという感覚が生まれてきます。
② チーム医療の一員として「相談される」

在宅薬局では、医師・看護師・ケアマネ・リハスタッフと日常的に連携します。
最初のうちは「電話をもらうのを待つ」だけかもしれません。でも信頼関係が積み上がってくると、「この薬、どう思いますか?」と医師から相談されることも。
看護師から「さっきの患者さん、浮腫が悪化してきてて…。薬の影響って考えられますか?」と相談を受けるようになります。
調剤薬局の疑義照会は「指摘するだけ」で終わることが多いです。ですが、在宅では「代替案を一緒に考える」場面に変わります。
③ 専門知識が「命に直結する」と感じる場面がある

大げさかもしれませんが、これが一番お伝えしたいことです。
ある夜、看取り段階のがん患者さんが急変しました。担当医師から「麻薬を処方したい。すぐに対応できますか?」と電話が入りました。
もちろん、すぐに薬局に向かい、調剤して届けます。そのスピードが、患者さんの疼痛コントロールに直結するからです。
処置が終わったあと、患者さんのご家族から「本当に助かりました」と言われたとき、自分が薬剤師である意味を全身で感じました。
医師からも「対応が早くて助かった」と言ってもらえました。こうした経験は、門前薬局で何年働いても、なかなか経験できない場面だと思います。
④ 「ありがとう」が直接届く

調剤薬局でも「ありがとう」はもらえます。でも正直なところ、薬剤師としての専門性への感謝なのか、薬を渡してくれたことへの感謝なのか、区別がつきにくいことがある。
在宅医療の現場では違います。
患者さんの自宅で、名前を呼ばれて感謝される。医師や看護師から「先生のおかげで助かった」と言ってもらえる。それは薬剤師として関わったことへの、明確な感謝です。
「役に立てて良かった、また頑張ろう」と素直に思える。これが、調剤薬局ではなかなか味わえない感覚です。
⑤ 成長している実感が毎日ある

日本は高齢化が進んでいます。在宅医療の需要は増え続けていて、それを毎日の業務の中で肌で感じています。
複雑な多剤処方、麻薬管理、終末期ケア──知識の幅が広がるにつれ、自分が必要とされている実感も積み上がっていく。
「この仕事を続けていれば、もっと専門家として成長できる」という手応え。これが仕事を続ける大きな原動力になっています。
正直に言うと──在宅薬剤師がしんどいと感じる場面も

きれいごとだけでは伝わらないので、しんどい場面も書きます。
一人で判断しなければならない場面が多い
個人宅への訪問は、ほぼ一人です。
患者さんの変化に気づいたとき、すぐに相談できる同僚はいません。「これは医師に報告すべきか?」という判断を、その場でしなければならない場面があります。
在宅業務への温度差がある職場もある
僕の薬局では、在宅業務はほぼ僕一人で担当しています。
他のスタッフが外来中心のため、在宅の大変さが伝わりにくいことがあります。在宅医療に興味を持つ仲間がいない孤独感は、正直しんどい部分です。
それでも続けている理由はシンプル。「医療者として頼りにされている」という感覚が、毎日少しずつ積み上がっているからです。

しんどさよりもやりがいが上回っている、というのが正直な気持ちです。
▶︎ 詳しい解説はコチラ
調剤薬局と比べると、何が違うのか
一言で表すなら、やりがいの「届き方」が違うと思っています。
調剤薬局のやりがいは、正確に・素早く・丁寧に処理することの中にあると思っています。それは確かに大切な仕事です。
でも僕には、「誰かの生活を直接支えている」という実感が足りませんでした。
在宅医療では、患者さんの生活の中に入っていきます。薬だけでなく、その人の一週間を一緒に見ていく。その「関わり方の深さ」が、やりがいの質を変えます。
こんな薬剤師が在宅のやりがいを感じやすい

在宅が向いているかどうかは、「何にやりがいを感じるか」で決まります。

「どちらが上、下」という基準はありません。
ただ、いまの仕事に「何かが足りない」と感じているなら、その感覚は在宅薬局を選択肢に含めるサインかもしれません。
▶︎ あわせて読みたい
在宅薬剤師への転職を考えているなら
在宅薬剤師のやりがいを実感できるかどうかは、職場選びで大きく変わります。
「在宅あり」と書いてあっても、訪問件数が少なく実態はほぼ調剤薬局と変わらない、というケースもあります。

求人を見るときに確認したいのは次の3点です。
これらを転職エージェント経由で事前に確認するのが一番確実です。僕が実際に使った3社を比較した記事も参考にしてみてください。
▶︎ あわせて読みたい
まとめ:
在宅薬剤師のやりがいを5つ挙げました。
やりがいは「忙しさ」で生まれるのではなく、「関わり方の深さ」で生まれます。
調剤薬局時代の僕が感じていた「何かが足りない」という感覚の正体は、まさにこれでした。
もし、あなたも同じようなモヤモヤを感じているなら、在宅薬剤師という働き方を一度調べてみてください。
下記リンク記事で詳しく解説しています。

コメント