

在宅薬剤師って、何か特別な資格がいるのかな…。
在宅薬局への転職を考え始めたとき、最初にぶつかるのがこの疑問ではないでしょうか。
僕もそうでした。調剤薬局から在宅薬局に転職する前、「認定資格がないと在宅医療は難しいのではないか」と不安に思っていた時期があります。
結論から言います。在宅薬剤師に特別な資格は必要ありません。
僕自身、在宅医療に関わるの認定資格を持たないまま在宅薬局に転職し、いまは管理薬剤師として働いています。
この記事では、その実体験をもとに「本当に必要な資格とスキル」を正直にお伝えします。
この記事でわかること
- 在宅薬剤師に「薬剤師免許だけ」で転職できる理由
- あると役立つ認定資格2つの概要と取得条件
- 資格よりも大切な「在宅で活きるスキル」3つ
- 病院経験がなくても在宅薬剤師になれるか
在宅薬剤師に必要な資格は「薬剤師免許」だけ

まず、安心してほしいのですが、在宅薬剤師として働くために薬剤師免許以外の特別な資格は必要ありません。
在宅業務(居宅療養管理指導や訪問薬剤管理指導)は、薬剤師であれば誰でも行えます。「在宅療養支援認定薬剤師」などの資格がないと訪問できない、ということはありません。

僕の場合、調剤薬局を辞めて在宅薬局に転職したとき、在宅系の認定資格はゼロでした。
転職面接で「認定資格は持っていますか?」と聞かれることもなかった。正直に言えば、当時は調剤報酬の知識すら十分ではありませんでした。
それでも問題なく業務を開始できたのは、「在宅業務に必要な知識は、現場に入ってから身につけるもの」という前提があったからです。
管理薬剤師になったいま、「報酬の知識は知らないとまずいな」と日々感じていますが、それは転職後に学んでいったものです。
強いて「あったほうがいい」ものを挙げるなら、普通自動車免許です。患者さんのお宅に薬を届ける際、車での移動が基本になります。点滴や栄養剤など、重い薬剤を運ぶ場面もあるので、車の免許はあるに越したことはありません。
あると役立つ認定資格2選
「必須ではないが、持っていると信頼性が上がる」認定資格を2つ紹介します。ただし、どちらも転職前に取得する必要はありません。
まずは、転職して在宅業務の経験を積みながら、取得を目指すのが現実的です。
在宅療養支援認定薬剤師(日本在宅薬学会)
在宅医療に特化した認定資格で、在宅業務の専門性を証明できます。
取得ハードルはそれなりにありますが、「在宅をやっている薬剤師」としての信頼性を対外的に示せる唯一の資格です。

転職後、在宅業務に慣れてきたタイミングで取得を検討するのがいいと思います。
在宅療養支援認定薬剤師
プライマリケア認定薬剤師(日本プライマリ・ケア連合学会)
僕が個人的におすすめしているのがこちらです。
在宅医療は「総合診療」の側面が強く、患者さんの疾患は多岐にわたります。
生活習慣病、難病、がん、精神疾患──ひとつの専門に深く潜るより、広く浅く知識を持っているほうが現場で困りません。
プライマリケア認定薬剤師の学習範囲は、まさにそれに合致しています。
僕自身はこの資格を持っていません。学会には所属していますが、資格はまだ未取得です。それでも在宅業務で困ったことはないです。
ただ、以前お世話になった医師がこの資格を持っていて、「なんでも経験している、知っていることの強さ」を間近で見ていたので、取得を目指す価値はあると思っています。
プライマリ・ケア認定薬剤師
資格よりも大切な「在宅で活きるスキル」3つ

資格の話をしておいてなんですが、正直なところ、在宅薬剤師として働くうえで資格よりも重要なものがあります。
僕が実際に現場で「これがないときつい」と感じたスキルを3つお伝えします。
① 幅広い疾患への対応力

在宅の患者さんは、複数の疾患を抱えている方がほとんどです。
糖尿病と心不全を併発している方、パーキンソン病の方、嚥下障害がある方、がんの終末期で疼痛管理が必要な方──1日の訪問で、まったく異なる疾患の患者さんに対応します。

僕は病院勤務の経験があったので、この点はスムーズでした。
たとえば、パーキンソン病の重症度分類(Hoehn&Yahr分類)を理解していたおかげで、医師との専門的なやり取りについていけた場面があります。
「ステージ3だから○○の対応が必要ですね」という会話が自然にできると、医師からの信頼も積み上がります。
ただ、これは「転職前に完璧に知っておけ」という意味ではありません。在宅医療に詳しい先輩がいる職場を選べば、経験を重ねるたびに学んでいけます。
② 多職種とのコミュニケーション力

在宅では、ケアマネ・医師・看護師・リハスタッフ・患者さんの家族と日常的にやり取りします。調剤薬局では「薬剤師同士+患者さん」がほぼ全てでしたが、在宅では関わる人の数が桁違いです。
特に大事なのは「報告・連絡・相談」のスピード感です。患者さんの体調変化を感じたら、すぐに医師や訪問看護師、ケアマネに報告する。待っていても誰も気づいてくれません。
病院経験がある人は、多職種連携に慣れているので即戦力になりやすいです。そうでなくても、「自分から声をかけることに抵抗がない人」は在宅に向いています。
在宅薬局での仕事内容について詳しく知りたい方は、下記リンク記事をあわせてご覧ください。
▶︎ あわせて読みたい
在宅薬剤師の仕事内容|1日のスケジュールから多職種連携のリアルまで
③ 調剤報酬・介護報酬の基礎知識

これは「必須」とは言い切れませんが、管理薬剤師やマネージャー職を目指すなら避けて通れません。
居宅療養管理指導の算定要件、地域支援体制加算の基準、在宅薬学総合体制加算などetc..
──正直、転職前の僕はこの辺りの知識がほとんどありませんでした。
最初の調剤薬局で1年働いた間、報酬関連の知識が必要だと感じる場面がなかったんです。
それが、管理薬剤師になった途端に「知らないとまずい」と痛感しました。薬局の売上に直結する知識だからです。
「転職前に完璧にする必要はありません。でも、学ぶ姿勢だけは最初から持っておいてほしい」と、いうのが僕の本音です。
在宅薬局の管理薬剤師について詳しく知りたい方は、下記リンク記事を参照してください。
▶︎ あわせて読みたい
管理薬剤師とは?仕事内容・年収・要件を現役が解説
病院経験なしでも在宅薬剤師になれる?

「病院で働いたことがないけど、在宅はできる?」という疑問もよく見かけます。
結論から言うと、病院経験がなくても在宅薬剤師にはなれます。 ただし、「学べる環境を選ぶ」ことが前提です。
病院経験がある場合
注射薬の知識、多職種との連携経験、専門用語への慣れ──病院で身につけたスキルは在宅でそのまま武器になります。
僕自身、病院4年間で培った経験が在宅で一番活きたと感じています。
病院経験がない場合
在宅医療に詳しい先輩薬剤師が在籍している薬局を選ぶのが最も現実的なルートです。

一人薬剤師の在宅薬局に未経験で飛び込むのは、さすがにきついと思います。
「在宅をやりたいけど経験がない」という人は、転職エージェントに正直に相談するのがおすすめです。教育体制の整った薬局を紹介してもらえます。
僕が調剤薬局で1年働いたとき、勉強会はあっても症例検討会はゼロでした。
疑義照会も日数合わせや残薬調整が中心で、代替案を提案するところまで踏み込めない雰囲気がありました。
その環境では、在宅に必要な「一歩踏み込む力」は身につかなかったと思います。
だからこそ、転職先選びが大事なんです。
まとめ:資格より「一歩踏み出す勇気」のほうが大事

この記事のポイントをまとめます。
僕は認定資格なしで在宅薬局に転職して、今は管理薬剤師として手当月6万円をもらっています。転職前にあれこれ資格を揃えるより、まず現場に飛び込んで学ぶほうが圧倒的に成長できる。これは実感です。
「在宅薬剤師という選択肢があるんだ」と知ったなら、次は求人を見てみるだけでも一歩前進です。
転職エージェントを使って在宅求人を探したい方は、以下の記事を参考にしてください。僕が実際に使った3社を本音で比較しています。
3社すべて使った僕が本音で比較
【FAQ】在宅薬剤師の資格に関連する質問
この記事を書いた人

コタロ
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- 薬剤師11年目・在宅薬局の管理薬剤師
- 4度の転職を経験
- 年収400万→720万円までアップ
- くすりの窓口コラム執筆中
公務員→薬局→病院×薬局のダブルワーク→在宅薬局(継承予定)
薬剤師の仕事や不満について本音で発信しています。

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