
「病院薬剤師の年収って、やっぱり低いの?」
——病院で働く薬剤師であれば、何度も何度も感じた疑問ではないでしょうか。
今回、クラウドワークスを通じて病院勤務の薬剤師29名にアンケート調査を実施。その結果、病院薬剤師の平均年収は519.4万円でした。
厚生労働省の統計による薬剤師全体の平均年収599万円と比較すると、およそ80万円の差があるのがわかります。
この記事では、アンケート結果をもとに、年齢別の給与明細例や収入に対する満足度のリアルな声をご紹介。
年収が低い理由と、病院に勤務しながら収入を上げる方法まで、私の実体験もあわせて解説します。
この記事でわかること
- 病院薬剤師の平均年収
- 収入に対する満足度のリアルな声
- 年齢別の給与明細例
- 病院薬剤師の年収が低い3つの理由
- 病院に勤めながら年収アップする方法
病院薬剤師の平均年収
病院薬剤師の平均年収
519.4万円
- 調査対象:病院勤務の薬剤師
- 有効回答:29名
- 平均年齢:34.7歳
クラウドワークスにてアンケート調査実施
今回のアンケート結果によると、病院薬剤師の平均年収は519.4万円という結果でした。
厚生労働省の統計調査によると、薬剤師全体の平均年収は599万円です。今回のアンケート結果を踏まえても「病院薬剤師の年収は低い」といわれるのは間違いではないでしょう。
ここでは、収入に対する満足度や年齢別の給与明細例をあわせて公開します。
収入に対する満足度は?
収入に対する満足度の調査結果は、以下のとおりです。
「とても満足」のコメント
- 仕事量に見合っていて、職員が皆仲が良いこと。(20代後半 女性・一般病院)
- 仕事量に見合っていてとても満足です。(30代後半 男性・公立病院)
「まあ満足」のコメント
- 業務量は多く忙しいですが、専門性を高められる環境であることが満足感につながっています。(30代前半 女性・一般病院)
- 仕事量に見合っており、残業代も1分から支給されるから。(20代後半 女性・大学病院)
- 入院患者や外来患者の治療そのものに深く関わるので自分の提案で薬が変わり、患者さんの症状がよくなっていくのを実感しやすいことです。(40代前半 女性・一般病院)
- 臨床の最前線に立っているという満足感から年収はあまり気にしていない。それに加えて手当が手厚いので満足している。(20代後半 男性・公立病院)
「どちらでもない」のコメント
- 仕事内容や責任の重さに対してやや見合っていないと感じることがあります。ただ、地方の公立病院としては福利厚生や安定性は高く、大きな不満はありません。(30代後半・公立病院)
- 年齢的にこれくらいだと思っています。(40代後半 男性・公立病院)
- 仕事量に見合っていると思う。(20代後半 女性・公立病院)
「やや不満」のコメント
- 主任として業務量が増えた割に昇給幅が小さく、責任の重さと給与が釣り合っていないと感じています。(30代前半 男性・一般病院)
- 仕事量に見合ってないと薬局・ドラッグストアの上辺だけ見てそう思っている。(30代前半 男性・一般病院)
- 残業代や当直手当はきちんと支給されますが、基本給の昇給幅が小さく、長く働いた場合の将来像が見えにくい点に不安があります。(30代前半 男性・公立病院)
- 仕事量や当直でかかる責任に見合っていない。(20代前半 女性・一般病院)
いまの収入が「とても満足」「満足」と回答した人は全体の71.4%でした。「仕事量に見合っている」「職場環境の良さ」が満足度につながっているようです。
一方、特徴的だったのは、年収が高い人ほど不満を感じている点です。やや不満と回答した人の平均年収は570万円と、満足している人(517万円)より高い収入を得ています。
不満の理由としては、「責任の重さに対して給与が見合っていない」「昇給幅が小さい」といった声が多く見られました。

当時の私も、給料が割に合わないと感じていたので、今回のアンケート結果には共感できました。
下記リンク記事では、薬剤師の年収データをより詳しくまとめています。ぜひあわせてご覧ください。
病院薬剤師の給与明細例
20代の病院薬剤師Aさんのモデルケース
- 26歳 女性・薬剤師3年目
- 近畿地方・公立病院勤務
- 正職員・役職なし
- その他手当:通勤手当の支給あり
- 満足度:まあ満足
| 年収 | 基本給 | ボーナス(夏) | ボーナス(冬) | その他手当 |
| 4,750,000 | 250,000 | 500,000 | 500,000 | 5,000 |
| 残業時間 | 残業手当 | 夜勤手当 | 住宅手当 | 保有資格 |
| 月12時間 | 18,000 | 20,000 | 20,000 | なし |
30代の病院薬剤師Bさんのモデルケース
- 31歳 男性・薬剤師6年目
- 九州 沖縄地方・一般病院勤務
- 正職員・役職なし
- その他手当:通勤手当の支給あり
- 満足度:やや不満
| 年収 | 基本給 | ボーナス(夏) | ボーナス(冬) | その他手当 |
| 5,500,000 | 320,000 | 320,000 | 320,000 | 10,000 |
| 残業時間 | 残業手当 | 夜勤手当 | 住宅手当 | 保有資格 |
| 月20時間 | 40,000 | 15,000 | 20,000 | なし |
30代の病院薬剤師Cさんのモデルケース
- 37歳 女性・薬剤師15年目
- 関東地方・一般病院勤務
- 正職員・役職なし
- その他手当:通勤手当の支給あり
- 満足度:まあ満足
| 年収 | 基本給 | ボーナス(夏) | ボーナス(冬) | その他手当 |
| 4,380,000 | 340,000 | − | − | 15,000 |
| 残業時間 | 残業手当 | 夜勤手当 | 住宅手当 | 保有資格 |
| 月0時間 | − | − | 10,000 | なし |
40代の病院薬剤師Dさんのモデルケース
- 40歳 女性・薬剤師6年目
- 中部地方・一般病院勤務
- 正職員・役職なし
- その他手当:通勤手当の支給あり
- 満足度:まあ満足
| 年収 | 基本給 | ボーナス(夏) | ボーナス(冬) | その他手当 |
| 5,040,000 | 300,000 | 400,000 | 50,000 | 5,000 |
| 残業時間 | 残業手当 | 夜勤手当 | 住宅手当 | 保有資格 |
| 月20時間 | 40,000 | − | 10,000 | NST |
40代の病院薬剤師Eさんのモデルケース
- 48歳 男性・薬剤師27年目
- 関東地方・公立病院勤務
- 正職員・主幹級
- その他手当:通勤手当の支給あり
- 満足度:まあ満足
| 年収 | 基本給 | ボーナス(夏) | ボーナス(冬) | その他手当 |
| 7,220,000 | 440,000 | 660,000 | 1100,000 | 15,000 |
| 残業時間 | 残業手当 | 夜勤手当 | 住宅手当 | 保有資格 |
| 月30時間 | − | − | − | なし |
アンケートの回答内容を見ると、仕事内容や業務量に加え、職場環境が収入の満足度に関係しているのが分かりました。
病院で働く上で、ほかの薬剤師スタッフはもちろん、医師や看護師をはじめとする医療スタッフとの関係性はとても大切です。
病院薬剤師の年収が低い理由

病院薬剤師の年収は、薬局・ドラッグストア勤務と比較して低い傾向にあります。「やりがいはあるけど、給料が…」という声は、今回のアンケート結果からもよく聞こえてきた本音です。
ここでは、その背景にある3つの要因を解説します。
病院の収益構造が影響している
病院薬剤師の給与が上がりにくい根本的な理由は、病院の収益構造にあります。
病院の主な収入源は診療報酬ですが、医療費抑制政策のもとで報酬改定のたびに厳しい状況が続いています。
特に薬剤部門は、コストセンターとして見られがち。直接的な利益を生み出す部署とは認識されにくいのが現実です。
調剤薬局であれば、処方せん1枚ごとに調剤報酬(売上)が発生し、給料として映される仕組みになっています。
しかし病院では、薬剤師の業務が病院全体の収益の中に埋もれてしまい、個々の貢献が給与として還元されにくい構造になっているのです。
仕事が加算として反映されていない

病院薬剤師の業務は年々、高度化・多様化していますが、その働きが診療報酬上の加算として十分に評価されていないという問題があります。
病院薬剤師の業務内容
- セントラル業務(調剤・注射薬の払い出し)
- 抗がん剤のミキシング
- TDM(薬物血中濃度モニタリング)
- 抗菌薬の適正使用
- NST(栄養サポートチーム)業務
- 医薬品情報管理(DI業務)
- 委員会活動 など
これらのすべてが算定可能な業務として認められているわけではなく、いわば「サービス業務」として行われているのが実情です。
過去の診療報酬と比較すると、加算として算定できる業務は増えたものの、実際の業務量や専門性に見合った評価とは言い難い状況です。
「これだけ働いているのに、なぜ給料に反映されないのか」という現場の声は、まさにこの制度上の課題を反映しています。
若手の在籍数が多いから
病院薬剤師の平均年収が低く見える要因のひとつが、若手薬剤師の在籍率の高さです。

病院は臨床経験を積める貴重な場であり、新卒・若手薬剤師にとって人気の就職先となっています。
医師や看護師と連携しながらチーム医療に携わりたい、専門薬剤師の資格を取得したいといった志を持つ薬剤師が多く集まるため、必然的に20代〜30代前半の層が厚くなります。
一方で、ある程度経験を積んだ中堅以降の薬剤師は、年収アップを求めて薬局転職や企業転職を狙うケースも少なくありません。
結果として、病院に残るのは給与水準がまだ低い若手が中心となり、全体の平均年収を押し下げる構造が生まれています。
病院薬剤師として働くメリット

病院薬剤師は年収面では他の職場と比較して低い傾向にありますが、それでも多くの薬剤師が病院勤務を選ぶのには理由があります。
ここでは、病院薬剤師だからこそ得られる3つのメリットを紹介します。
臨床に携われる環境で働ける
病院薬剤師の最大の魅力は、患者さんの治療に直接関わる臨床現場で働けることです。
調剤薬局では処方せんを受け取った段階から関わりが始まりますが、病院では入院から退院まで、患者さんの治療経過をリアルタイムで追っていきます。
検査値の推移を確認しながら処方提案したり、副作用の初期症状をいち早く察知したりと、薬物療法の最前線でスキルを発揮できるのが病院という環境です。
注射薬の調製や抗がん剤のミキシング、TPNの管理など、病院でなければ経験できない業務も数多くあります。

「薬の知識を臨床で活かしたい」という薬剤師にとって、これ以上ない職場といえるでしょう。
医療従事者として経験値が得られる
病院勤務で積み上げる経験は、薬剤師としてのキャリアにおいて大きな財産となります。
急性期病院であれば重症患者への対応、がん専門病院であれば化学療法の深い知識、精神科病院であれば向精神薬の専門性といったように、病院の特色に応じた高度なスキルが身につきます。

こうした経験は、調剤薬局・ドラッグストアで働いて得られるものではありません。
さらに、カルテから患者情報を読み解く力、医師の治療方針を理解する力、看護師と連携して患者ケアを行う力など、医療従事者として不可欠なスキルが自然と磨かれていきます。
将来どのようなキャリアを選ぶにしても、病院で培った経験値は必ず活かせます。
チーム医療の一員としてのやりがい
病院薬剤師は、多職種連携の中で「薬の専門家」としての役割を担い、チーム医療の一翼を担います。
医師、看護師、管理栄養士、理学療法士など、さまざまな専門職と日常的に連携しながら患者さんの治療にあたるのが病院の特徴です。
処方提案が採用されたとき、自分の介入で患者さんの状態が改善したとき、「あなたがいてくれて助かった」と言ってもらえたとき——こうした瞬間に感じるやりがいは、病院薬剤師ならではのものです。
ひとりで完結する仕事ではなく、チームの中で自分の専門性を発揮し、患者さんの回復に貢献できる実感。これこそが、年収だけでは測れない病院薬剤師の大きな魅力といえるでしょう。
病院薬剤師として年収アップするには

病院薬剤師の年収は他の職場と比べて低めですが、病院に勤務しながら収入を上げる方法がないわけではありません。
ここでは、病院薬剤師として年収アップを目指すための現実的な3つの方法を紹介します。
管理職に就く
病院薬剤師として年収を上げる最も確実な方法は、薬剤部内でキャリアを積み、管理職ポジションに就くことです。
主任、係長、副部長、薬剤部長と役職が上がるにつれて、基本給に加えて役職手当が支給されるようになります。
薬剤部長クラスになると年収800万円あるいは、年収1,000万円に届くケースも。病院に残りながら収入を大きく伸ばすには、管理職への昇進が王道といえるでしょう。
ただし、管理職のポストは限られています。昇進するには、長い年月と実績の積み重ねが欠かせません。
日々の業務で信頼を積み重ねることはもちろん、後輩の指導やマネジメント能力を磨き続けることが、将来的な昇進につながります。
専門資格を取得する
| 資格手当 | 人数 | 平均年収 |
| なし | 14名 | 492.9万円 |
| 月5,000円未満 | 5名 | 485.0万円 |
| 月5,000〜10,000円 | 5名 | 515.5万円 |
| 月10,000〜20,000円 | 4名 | 641.7万円 |
| 月20,000円以上 | 1名 | 675.0万円 |
専門薬剤師や認定薬剤師の資格を取得すると、年収アップにつながる可能性があります。
今回の調査では、資格手当「なし」と回答した人が半数を占めましたが、月10,000円以上の資格手当がある人の平均年収は約650万円という結果に。

手当が出ない人の平均年収(約493万円)と比べると、約150万円の差があります。
ただし、資格手当だけでなく、役職や経験年数も影響している可能性もあります。
「資格取得=年収アップ」と直接的な関係性まで言及できませんが、昇進に関係したり、転職活動の評価につながったりするのは間違いありません。
管理職への道が開ける、より好条件の病院で働けるなど、専門資格の保有は長期的なキャリア形成でプラスに働きます。
人材不足の病院で働く
薬剤師の確保に苦戦している病院へ転職することで、年収アップできるケースがあります。私自身、地方の病院へ転職したことで年収70万円アップを実現しました。
| 調剤薬局 | 病院 | |
| 年収 | ||
| 基本給 | ||
地方の病院では薬剤師の確保が難しく、人材不足を補うために好条件を提示しているところが多く見られます。
都市部では年収400万〜500万円台が相場の病院勤務でも、地方では同等の業務内容で年収500万〜600万円以上を提示する病院も珍しくありません。

地方では家賃・生活費が都市部より抑えられるため、額面以上に手残りが増えるというメリットも。
住宅手当や引っ越し費用の補助を用意している病院もあり、Uターン・Iターン転職を検討する価値は十分にあるでしょう。
ただし、生活環境の変化も伴うため、あなたのライフスタイルと照らし合わせた慎重な判断は必要になります。
私が病院転職の際、お世話になった転職エージェントの詳細は、下記リンク記事を参照してください。
【FAQ】病院薬剤師や年収に関連したよくある質問

- 病院薬剤師でも年収1000万は実現できる?
- このまま病院薬剤師を続けるべき?
病院薬剤師でも年収1000万は実現できる?
実現できますが、病院薬剤師として年収1000万円に到達するのは、ほんのひと握りです。
もし、本気で病院薬剤師として年収1000万円を狙うなら、薬剤部長または副病院長のような経営上層部に就く必要があります。
病院薬剤師に固執しないなら、薬局や製薬会社、ほかの業界なども視野に入れたキャリアプランを考えてみてください。
このまま病院薬剤師を続けるべき?
「このまま病院で働くべきか」悩んでいるあなたには、私の考える判断基準を3つお伝えします。

- 判断基準①:やりがいを感じているか
- 病院薬剤師の魅力は、チーム医療への参加や専門性の高い業務です。
「医療従事者として働いている実感がある」
「患者さんの治療に貢献できている」
こうしたやりがいを感じているなら、年収が低くても続ける価値はあるでしょう。 - 判断基準②:生活に支障が出ていないか
- 「奨学金の返済がきつい」「貯金ができない」など、生活に支障が出ている場合は転職を検討すべきです。
やりがいがあっても、生活が苦しければ長く続けることはできません。 - 判断基準③:職場環境は良好か
- 人間関係やハラスメントに悩んでいるなら、無理に続ける必要はありません。
私が病院を辞めた理由は、職場環境の悪化でした。
年収が上がっても、働き続けられなければ意味がない——これは、実体験だからこそ言えることです。
まとめ:病院薬剤師として年収アップは可能

今回のアンケート調査では、病院薬剤師の平均年収は519.4万円という結果になりました。
薬剤師全体の平均と比較すると低い水準ですが、収入に「満足」と答えた人は全体の71.4%を占めています。
年収だけを見ると厳しく映るかもしれませんが、病院薬剤師には、
- 臨床現場で働ける
- チーム医療に携われる
- 専門性を高められる
といった、ほかの職場では得がたいメリットがあります。
一方で、年収アップの道がないわけではありません。今回の調査でも、管理職への昇進や専門資格の取得によって年収600万〜700万円台を実現している薬剤師がいるのがわかりました。
大切なのは、年収・やりがい・職場環境のバランスを見極めることです。「いまの働き方に納得できているか」を軸に、あなたに合ったキャリアを選んでいきましょう。
もし、いまの年収や職場環境に少しでも不安を感じているなら、情報収集から始めてみるのをおすすめします。

転職にはリスクが伴いますが、転職活動はノーリスクです。
条件を見てから判断しても遅くはありません。
実際に使ってよかったのはコチラ
この記事を書いた人

コタロ
@
- 薬剤師11年目・在宅薬局の管理薬剤師
- 4度の転職を経験
- 年収400万→720万円までアップ
- くすりの窓口コラム執筆中
公務員→薬局→病院×薬局のダブルワーク→在宅薬局(継承予定)
薬剤師の仕事や不満について本音で発信しています。

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